第1章 2話 異世界の歴史
「今から、五百年位前、世界はまだたくさんの国に分かれて戦争しあっていた。だが。ある日突然一人の人間が現れた。そいつは、それまで空想の産物とされていた魔法を使いこなしその力で被害をほとんど出すことなく各国の主権を掌握していった。そして世代が移り変わってもその息子たちが魔法を受け継ぎ、そいつの意思を継いでいった。因みに、その息子達ってのが俺たち、魔法族なんだ。そして対立していた国は、二つだけになってついにはこの世界は、一つの連合王国になる予定だったんだ」
僕は、思わず反応した。
「予定だった?」
ビーンは、僕のほうを見てうなずいた。
「あぁ それが二十年前事件が起こった。連合王国建国の調印式の日だ。二つの国の国王は調印式の会場に向かっていた。俺もその調印式の警備をしていた。俺たちアダムス王国は先に会場についた。その後にエイド王国の車がついた。だけど降りたのは、見知らぬ男とエイド国王の生首そしてあの『バケモノ』共だった。男は、『バケモノ』を使って襲い掛かってきた俺たちは、必死に戦った。そんで何とか王を避難させることができたんだ。避難させるのにかなりの犠牲を払ったけどな」
ビーンは、険しい表情になった。けどまたさっきまでのケロッとした顔に戻った。
「っとまぁ この世界の歴史は、ざっとこんなもんだ。んで次にあんたが一番気になっているだろう予言についてだ」
と言って、ビーンは、古い紙を取り出した。僕は、息を飲んで聴いた。
「このぼろい紙きれ、一週間ぐれぇ前にこの図書館の書物庫を整理している奴が見つけたやつでな これにこう書いてあんだ 『異世界 ニホン より ゼロ 現る それは 「バケモノ」で 世界を 亡くすもの 後 異世界 ニホン より レイ 現る それは あらゆる魔法で 世界を 救う 勇者 そして 全てを始める者』ってな 最初はなんかの本の切れ端の一部かと思ってたんだが、どうも変でな、ゼロなんて言葉 この世界にはねぇ。名前にしてもこんな名前のやつ 聞いたこともないんだ。ゼロって一体なんなんだ?あんた なんか知ってるか?
」僕は、呆然としていて、急に質問を返されてびっくりした。
「ほぇ? あっあぁ ゼロって数字のことですかね始まりの数字のやつ」
僕は、とっさに質問だけに答えた。するとビーンは、
「はぁ? 何言ってんだおまえ 数字の最初は、一でしょうが」僕は、なんかバカにされた気がしてちょっとムッとして言った。
「違いますよ 一より前 何もない状態のことを言うんです」僕は、ビーンのほうを向いた、そうしたらビーンは、ポカンとしている。
「あの ビーンさん?」僕は、声をかけてみた。
「いや、そんな数字聞いたことも無かったからな。驚いて... てか 予言の話だったな」
僕も あっそうだった となった。
「んでもって 異世界 ニホン 魔法 そして レイ あんたは、見事に 予言に的中してんのよ てな訳であんたが世界を救う者ってことになるな んでおそらく 国王を殺した奴がゼロということになる。そしてこの予言だとあんたがゼロを倒せ的な意味になるな どうだ 世界を救ってみるかぁ?」
ビーンは、またさっきまでの軽い感じになって言った。
「そんなこと言われても僕には、動機がありませんよ。なんでそんな「バケモノ」を使って国王を殺すようなやつを倒せみたいな予言に振り回されなければいけないんですかね。そりゃ僕だってできることなら世界を救うなんてことやってみたいですよ。だけど仮に救えたとして僕が元の世界に帰れる保証もない。そうだったら覚悟を決めてこの世界で普通に暮らしますよ。家族には悪いですけど」
ビーンは、少し笑った。
「だよなぁ ほぼ一般市民と同じようなやつにすべてを賭けるなんてできるわけないよな。だったら避難民として受け入れるか。それに今は、あの壁を作ったおかげで『バケモノ』は、入ってこれねぇ 完全に平和ってやつだ。よし じゃ あんたを歓迎すんぜミカミ・レイようこそアダムス王国へ、あんたはこれからこの国の一般人だ。何か質問は?」ビーンは、こうして話し終えようとした。
僕は、まだ肝心なことを聞いてないことを思い出した。
「あの~僕の魔法については....」僕が質問した時、ビーンは、ビクッとして言った。
「あっ 忘れてた」