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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第一章 この異世界より真実を込めて
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第1章 27話 異世界の覚醒

「僕は今、何を考えているでしょう。一、あなたが許せなくて怒り狂いそうになってる。二、悲しくて泣きだしそうになってる。どれなんでしょう」


 僕は、ゼロに問いかける。


 「知らないな、大方現実を受け入れていないってとこだろう、お前の様子を見る限りではな」意外にもゼロは答えた。


 「答えはね...これだよ...」


 僕は、ゼロに向かって剣を投げつけた。剣がゼロに突き刺さった。僕は目にもとまらぬ速度で剣を投げつけていた。衝撃で、ゼロが後ろにとんで、壁に突き刺さった。僕はそこに限界まで風と雷を銃にため込んで放った。嵐の渦となってゼロに直撃する。壁ごとゼロを吹き飛ばした。壁には穴が開いて、ゼロは五十メートルほど吹き飛んでいた。


 「今、お前は、魔法を同時に...まさか、覚醒した?」


 ゼロは驚愕の顔になっている。


 「あれ?やっぱり気づいてるんじゃないですか。自分が成し遂げたことを、誰かにやられるのは嫌ですもんね~。んで答えはね、僕は、滅茶苦茶怒り狂いそうになってるんですよ。何をそんなに怒っているかって?ビーンさんが殺されて悔しいからじゃないよ。彼は初めから死を覚悟で戦いに生きた。それを悲しんだり、それを理由に復讐するのは失礼だと思うでしょ。じゃあ何に怒るか、あなたは死をもて遊ぶからだよ。今も、あなたはあなたを追い詰めたビーン・ムゥを蹴り飛ばした。僕はそこに怒ってるんだよ。僕なら、自分を追い込んだ様な人は必ず覚える。その人に対するせめてもの礼はしなくちゃいけない。あなたにそれはない。あなたは、自分の力の為にしか生きていない」


僕は、怒りに任せて暴れそうだがなぜか冷静だった。なんとなく、ゼロがバケモノにならない理由が見えてきた。


 「言わせておけば...子供が知ったようなことを聞くんじゃない!」


 ゼロは、僕に向かって電気をため込んだ水を発射してきた。だが、


 『ズバァン!』


 僕は剣で切り裂いた。剣は光り輝いていた。電撃は分散して、水だけその場に落ちた。


 「ようやく理解できた。流血光刃。これは血を流さず国を作った剣じゃない。自分の血で魔法をブーストさせて、全ての魔法を同時に放つことができる剣。八番目の魔法が使えるようになるための物、これはすべてを切り裂けるみたいだ。何もかもね」


 僕は、剣をゼロに向けた。


 「すべての魔法を同時にだと?」


 ゼロは疑問に思っているようだ。


「はい。僕もつい最近までは魔法の威力を高めてくれるものと思っていました。でもね、今ね、どんどん理解してきているんだ。まるで、この世界がいろんなことを教えてくれているみたいにね。全ての魔法を同時に流すには自分自身の血を使う。それをこの剣は吸い取る。僕は今まで通り意識を集中させるだけでいい。そうすれば八番目の魔法が完成する。これは流血光刃。『自らの血を流して光り輝き、全てを切り裂く刃となる』これの本当の使い方だよ」


 僕はゼロに向かって、一気に間合いを詰め、剣で切り裂いた。剣は、何の抵抗もなく、ゼロを真っ二つにした。


「わかったよ。これがこんなに綺麗なのか、これは超高熱のエネルギーで出来た剣。焼き切るから血ごと蒸発してこの剣には血が付かないのか」


 僕は、どんどん理解していく。


「ぐっ!」


 ゼロは傷を治そうとした。だが、真っ二つになった体を元に戻すには、さすがに時間がかかるようだ。 僕はゼロの前に立った。


 「覚醒か。さっきあなたはそう言ったね。確かに、それが一番いい表現かもしれない。あなたは僕に覚醒を促してしまったんだよ。あなたがビーンさんを殺して蹴とばしたとき、僕の中で怒りが爆発しかけた。でもすぐに冷静さが僕の中で生まれた。そして今、全てを理解できた。バケモノにならない方法も、なる方法も。やっと、胸のつかえが降りた気がするよ」


 「理解できただと?」ゼロは僕に聞いてくる


 「うん。覚醒するには単純だけど怒りでよかった。あなたも経験があるはずだよ。あなたのほかの仲間がどんどんバケモノになってしまったとき、あなたは怒った。異常ともいえる怒りの感情が、限界を超えた怒りが、今の僕のように冷静さに変わった。それがこの世界で生き残るための手段なんだよね。それこそが覚醒するという事。この世界と一体になっていく感覚。僕は今、この状態になっているんだよ。逆にバケモノになるには、これは僕の仮定だけど恐怖心なんじゃないかな。人は恐怖した時それから逃げようとする。体の成長を止めてしまうんだ。それがこの世界に来て環境の変化に耐えられず、バケモノへと変わる。あなたには感謝しなくちゃね。あなたのおかげで僕は理解することができた。お礼にとどめを刺そうかな」僕はゼロに向かって剣を突き付ける。

 「ほぅ。やはりかなりの洞察力が、お前の中にはあるらしいな。この洞察力は持ち前なのか、この世界の環境がお前にそうさせるのか。だがお前は完全な覚醒には至ってないようだな。お前は私のように、バケモノを操ることができない。つまり、まだ私の力のほうが上だ!」


 ゼロは僕に向かって溶岩を飛ばした。僕は剣で切り裂いた。ゼロはその瞬間に一気に体を元に戻し、間合いを取った。


 「あぁそのことね。どうやら覚醒には人それぞれ周りに及ぼす影響が違うみたいだね。あなたは、バケモノを操るという影響を与えている。じゃあ僕はというとね」


 僕は何も構えず、ゼロを睨みつけた。ゼロは吹き飛び、体を木に打ち付けた。


 「なんだ、今のは、魔法じゃない、何かに殴り飛ばされた?何をしたというのだ!」


 ゼロは僕に向かって叫んだ。こいつの底はたかが知れているようだ。


 「自分の能力とか、相手にベラベラ喋るやつがいる?自分で考えてみなよ」僕は挑発した。


 「なめ腐るのもいい加減にしておいたほうがいい。お前は私を見くびりすぎだ!」


 ゼロは、僕をものすごい形相で睨みつけた。遠くから大量の足音が聞こえだした。バケモノの大群だ。数は百と言ったところか。


 「今ので分かりましたね。あなたはバケモノを操れても、最大でこの数しか操れないようだ。だから、今まであの国に攻め込めなかった。だけど親を操れば話は別だった。同時に子も操れるからね。それで数をそろえるまで待っていた。国を転覆させれるほどの戦力になるまでね」僕はゼロに余裕の表情を浮かべた。


 「ねぇ、グレイシア。フォックス。これからちょっと激しい戦いをするから、ちょっと下がっててもらっていいかな。建物の中に入ってて」


 僕は彼女たちに言った。


 「わかった」彼女はうなずいて、建物の中に入って物陰に隠れた。


 「一見おとなしい人って怒ると怖いっていうけどさぁ、ほんとにそうだねぇ。あんちゃん本当に大丈夫?」


 フォックスが僕を心配してくれた。


 僕は「問題ないよ」とだけ言った。フォックスは、うなずいて彼女と一緒に隠れた。


 「さぁ、来なよ。あなたの力、ねじ伏せてあげるからね。もういい加減暴れてもいいよね」


 僕は剣と銃、両方構えた。


 「なめ腐りやがった子供が、踏みにじってやる」ゼロの後ろに無数の目が光った。


 「行け!」


 ゼロは森の奥から、バケモノを同時の襲わせた。僕は遠くにいるバケモノは銃で焼き貫いた。そして近くまで来たバケモノは、剣で切り刻んだ。僕はどんどんバケモノをハチの巣にし、両断した。たまに、グレイシアたちを襲おうとする奴は、僕の『もう一つの力』で吹き飛ばす。


 「なっ...そんな馬鹿な。何故当たらない!お前は魔法も使わずに、どうして遠距離の敵を吹き飛ばせる!」


 ゼロが僕に聞いてくる。僕はゼロを吹き飛ばした。他の敵も倒しつつ、ゼロに言ってやった。


 「今ので理解できなかったら、あなたは只の馬鹿だな」


 僕の言葉に、ゼロは再び立ち上がり僕を睨みつける。


 「くそっ!何故だ!透明人間でも居るというのか!」ゼロの言葉に僕は少し感心した。


 「惜しい。でも透明人間じゃないよ。まぁ、ここまで答えが出てきたのなら正解にしてあげようかな」僕は、バケモノの残り十体を一気に殺した。


 「後はあなただけになったね、本当に変な気分だ。人はおろか、虫も殺すのに躊躇してた僕が、ここまで人を殺すのに躊躇いがなくなるなんてね。これもあなたの言うようにこの世界の環境がそうさせているのかな」


 僕は少し笑いながら言った。


 「くそ。お前は本当に、元の世界で平和に暮らしてきたのか?私には、今お前が本当の化け物に見えた。笑いながらこいつらを倒す。お前は人なのか?」ゼロの問いかけに僕は答える。


 「人だよ。人なんて誰かを傷付けて生きている。それを感じて人はのし上がる。『自分はこいつらより優れているんだ』とか思ってね。人は醜い。僕もそうだし、あなたもだ。何かを壊すのに喜びも感じてる。人ってのは化け物なんだよ。中にはそれを認めまいと、より醜く生きる奴らもいるけどね」僕は、笑いながら言う。


 「ふん。言うな。だが私は他の人間と違う。私は支配できる力を持った存在。人間を超えた存在。すなわち神にも等しい存在なのだ。お前もそうだ、これほどの力があるのなら、支配欲に身を任せろ。この世界の神となるべきなのだよ」こいつのこの言葉に、僕はさらに怒りがわいた。


 「ずいぶんと小さいことに縛られる神様だなぁ。他を超える力をもって神様気取り?僕にはそんなあなたが、グレイシアよりも小さく見えるね。いや、ダニレベルかな?」


 僕の言葉で、ゼロは激高した。


 「言わせておけばぁ!」


 ゼロは僕に突っ込んで頭をつかみ、僕を溶岩で溶かし殺そうとした。


 「ドロドロに溶けろよ!」


 ゼロは魔法を発動させようとしたがその前に、僕の銃が火を噴き、爆風がゼロを再び吹き飛ばした。僕はさらに心臓目がけて剣を投げつけて後ろの木に張り付けた。


 「ぐぅあ!」


 ゼロは、息を切らして僕を睨む。


 「はぁ、はぁ。私を超える力だと?認めないぞ。そんなことぉ!」


 ゼロは暴れるが剣は木に深く刺さり、なかなか抜け出せない。


 「自分の観点でしか物事を見れない奴が、神を名乗るのは早すぎる。認めたくなくても認めなきゃいけないことは、世の中に無限にある。人は何かを認めなくなった時、もう死んでいるんだよ」


 僕の言葉で、ゼロは僕を睨む。


 「ねぇ。あなたは知ってる?僕やあなたが死ぬ方法」僕は、ゼロに問いかけた

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