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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第一章 この異世界より真実を込めて
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第1章 19話 異世界の旅立ち

 僕たちは中央駅に着いた。先ほどの騒動のせい昨日までは人であふれかえっていたホームが、今は誰も居ない。


 「この先に、高速鉄道用のホームがあるんだ」


 王は、昨日までは立ち入り禁止だった真新しい駅舎に入った。僕達はその後ろに続いた。改札を通り、階段を上るとそこには、先端が丸い形をした電車がいた。


 「これが私たちの国の技術の結晶『壱形』だよ」


 王は、ちょっと誇らしげに車両を見ているが、少し悲しそうにも見えた。それもそうだ。本来、盛大に祝うはずのこの式がこんな形になってしまったのだから。


 「ここで、色々説明するつもりだったんだけどね。じゃっ色々飛ばして、しゅっぱーつ!」


 僕たちは、車両に乗り込んだ。王の護衛の一人が先頭車両に向かい運転室に入った。しばらくして、電車は走り出した。


 「はぁ~、あいつさえ出なければ良かったのに」


 王は肩を落とした。


 「仕方ないですよ、だったら僕がゼロを倒したら、やり直しません?出発式」


 僕は提案した。


 「そうだね。やろう。もっと盛大に、もっと楽しい感じで」


 王は、少し元気になったようだ。


 「あっそうだ。高速鉄道はもっと延伸させるつもりでね、寝台高速鉄道も考えてるんだ。この車両は、寝台車も二両だけ連結しているんだ。早くなったとはいっても、西ボーダーまで五時間はかかるからね。先ほどの疲れもあるだろうからそこで休むと良いよ」


 王は、僕にそう伝えた。僕達は寝台車のある号車に向かった。デッキを通り抜け、通路のドアを開けたら、一部屋に二つベッドのある部屋に入った。僕は、そこで横になった。王とビーンは隣の部屋に行ったらしい。ダストは、僕の隣のベットに座った。僕は、さっきの戦いを思い出していた。


 (それにしても、あんな戦いが僕にできるなんて、漫画のキャラみたいでうれしいけど、ちょっと怖いな。だけど、ダイヤモンドダストができるほどになるとはね...ん?ダスト?)


 僕は、ふとあることを思い出した。ダストの名前についてだ。


「名前...かぁ」僕は悩んでいた。ビーンが僕の部屋に来た。


 「陛下は、どうやら朝のアレで力尽きちまって今はぐっすりだ。あんたも休んだほうがいいんじゃねぇか?この先ろくに寝れるかわかんねぇんだぜ。だけどよ、あんたらほんとにすごいな。氷河みたいになってたしよ」


 ビーンは、まだ元気そうで休めと言いつつ話しかけてきた。結構タフだなと思った。だけどビーンの言葉で僕はひらめいた。


 「そうだ...グレイシア...」


 僕は、ボソッと言った。


 「なんだそりゃ」


 ビーンは何のことか分からないようだ。


 「ねぇ、名前、今ふと思いついたんだけど聞いてくれる?」


 僕は、彼女に尋ねた。彼女は期待した顔で頷いた。


 「グレイシア ダスト。グレイシアってのは、『氷河』って意味なんだ。そしてこのダストは、ダイヤモンドダストから、今朝の太陽に輝いてたあれの事だよ。ダイヤモンドダストは、空気が澄んで風もなく気温もかなり低くならないと起きない奇跡みたいな現象なんだ。それで僕は思ったんだ。『氷河の世界で輝く奇跡の光』って意味で、『グレイシア ダスト』...どうかな?」


僕は、彼女に聞いた。彼女は、口をポカンと開けていたが、目は輝いていた。そして彼女は何度もうなずいた。 


 「じゃ、これから頑張ろうかグレイシア」


 僕の中でもやもやが少しすっきりしたら、今度は激しい眠気に襲われた。まだ時計は七時を回ったぐらいだった。


 ふと起きると、太陽は大分高く上がっていた。隣を見るとビーンが、ベッドに顎を乗せて寝ている。隣のベッドにはグレイシアが、きっちり布団に入っていた。ぼくは窓の外を見たら、見覚えのある景色が見えてきていた。ドアがノックされ、王が入ってきた。


 「このベッド意外と寝心地がいいね。あんまり揺れないし、そうそう、もうすぐ着くよ、準備はいいかい?」


 「はいっ」僕は答えた。気づくと二人とも起きていた。僕達は準備し、気合を入れなおした。


 電車がホームに入りドアが開く、こちらには人が大勢いた。いろんなところの新聞記者達だ。次ぎ次ぎに中央での事を聞いてきた。だが王は、これを制止した。


 「みなさん、今回中央ではバケモノが現れました。バケモノの討伐は完了したものの、けが人も出ました。次また現れるかはわかりません。私はこれをとどまっていた戦争の、開戦の合図と受け取りました。私たちは、今度こそ打ち勝たなくてはいけません。あいつに、ゼロに、これから行うことは、『戦争』です。そして今回の出発式は、開戦の合図です。

 そう...私たちは、これから戦争を行います!そして、全てを終わらせて見せます!以上が私の、『宣戦布告』だ!」


 王は、足早に駅を後にした、僕は後ろについていく、新聞記者たちは静まり返り、立ち尽くしていた。


 僕たちは駅舎を出て、しばらく歩いた。そして西と書かれた門の前に着いた。


 「ここから、まっすぐ道なりに行けばバイクだと三日ほどで奴らの拠点に着ける。でも、バケモノについては私たちは、ほとんどの情報がない。何か作戦を立てないといけないね。作戦会議を開こうと思う、ちょうどここの近くに...」


 僕は王の言葉を遮った。


 「作戦ならありますよ」僕の言葉に、王は驚いていた。 


 「いったいどんな...」王は、真剣な表情だ。


 「その前にグレイシア、何か言ってみてくれる?」


 僕は彼女に言うと、彼女は頷き「あいうえお」と言った。王も始め、ほかの護衛は僕が何をしたいのかわからなかったようだ。


 「やっぱりか。今彼女はしゃべったんですよ。『あいうえお』ってね。だけど彼女の声は、僕にしか聞こえないほどに小さい。そう、僕はその小さな音が聞こえるんです。あまり意識してなかったんですが、集中すると、鮮明に音が聞き分けられるって昨日気付いたんです。


 今、ビーンさんが、小さくおならをしたのも、このスマホの駆動音もわずかに聞こえます」


 ビーンはビクッとした。 


 「この距離で聞こえたのか」


 僕とビーンは結構距離が離れていた。


 「そこで僕の作戦は、外に出たら音を聞き分け、生物のいない道を通る潜入作戦で行きます。時間はかかっても、バケモノと遭遇するするよりかは、ましですからね。それで、後、地図があればうれしいんですが...」


 僕は言うと、護衛の人がすぐさま持ってきた・

 

 「ありがとうございます。これなら、確実にいけます」僕は、少し笑った。


 「もしかしたら、相手も君と同じことができるかもしれない。十分気を付けるんだよ」


 「はっ!」僕達は敬礼した。


 「バイクは、これを使いなさい。静音設計の隠密行動用のがあるんだ。秘密裏に開発してたものでここに保管してたんだけど。こんな形で引っ張り出すことになるなんてね」


 王は、見た目は変わらないが、確かにエンジン音が静かなバイクを二台持ってきた。片方はサイドカー付きだ。


 「では、エイド国王殺害者、『ゼロ』の暗殺任務を開始する。門を開けろ!」


 王が真剣な顔で、手を上げた。すると、門が少し開いた。ちょうど車が二台通れるかぐらいだ。


 ・

 ・

 ・


 僕たちはバイクに乗り、旅にでた。僕は、音をさっそく聞いたが、エンジン音以外は、風の音だけだった。周りにバケモノはいない。僕は、壁の外の何もない草原を走り続けた。


            

               顔も知らぬ存在、ゼロを倒すために。




 ・


 ・

 

 ・


 ・


 ・

   




 彼らが出発して、夜になった。ここは西ボーダーにある部屋だ、黒電話が置いてある。


 『ジリリリリリィン ジリリリリリィン』


 黒電話が鳴った。一人の男がそれをとる。


 「はい。私です」男は話した。


 『あいつらは?』電話の向こうも男が話している。


 「今日の昼に出ていったよ、自分の意思でね」


 「彼は勇気のある目をしていた。あれ程の男は今まで見たことがない。まさに勇気をもって悪に立ち向かうもの、『勇者』だった」


 『勇者か...』


 「どうした?」 


 『なぜ彼は自分からゼロを倒しに?彼は、平和に暮らすことを望んでいたはず』


 「あぁ、私も気になったが、彼は『笑顔の為に』と言った。あの襲撃で彼の中で何かが変わったんだろう。あっそうそう、あのバケモノは君が?」 


 『違いますよ、私は当初の計画通り、中央であなたのビルを攻撃しようとしていた。そして、彼らが国外に行かなければいけない状況を作ろうとしたが、あのバケモノですべてがパァです。ですが、あのバケモノのおかげで彼らは旅立ちを決意した。私が何もしなくてもよかったかのようだ。彼らは自分の意思で出ることになった。これは、今のところ予言の通りになっている。奇妙すぎるほどに正確だ』


 「予言か、だとすると彼は本当にゼロを倒すのか?あの、真のバケモノを?仮に倒したら私たちはいったいどうなるのだろうか」


 『予言の、続きですね。「あらゆる魔法で 世界を 救う 勇者 そして 全てを始める者」この後の謎の空白で浮かんだ文字、「終わりを」の一言。私は、これが恐ろしくて仕方がない』


 「それは私もだ、だから帰ってきたら私のそばに置くつもりだ。常に彼の行動を監視するつもりだ。終わりを始めないために」


 『そうですか、本当にあの予言はいったい何なのだろうか、彼が現れる一週間前に突如発見され、その後の国境付近の親の襲撃、そして二ホンからの来訪者、中央の親の出現。まるでとんとん拍子で事が進んでいる。まるで、全てが決まっているかのように』 


 「あぁ、だがこれ以上のことは全く分からない。君には本当に感謝している。君のおかげで予言の続きに気付けた。本来ならそんな地下で、過ごさせるのは心が痛い。君は今指名手配されているからね。今度そこの改築でもしようか?」


 『いえ、ここは居心地がいいですから』


 「そうか、じゃあ今度は彼らが帰ってきたら連絡するよ。今日はありがとう。アンドリュー」


 『こちらこそ、陛下』


 ガチャッ。男は受話器を置いた。男、アレックス アダムスの顔は、恐怖と怒りと期待と興奮それらが合わさった顔をしていた。


 ・


 ・


 ・



 「すべては、平和の為に」

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