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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第二章 この異世界より覚悟を決めて
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第2章 中央決着編 1話 僕と闘った者たちは、それぞれの覚悟を持ち、

 中央地区に行くための高速試験車の中で、俺は零羅から色々教えてもらっていた。


 「最後の中央地区ですが、三上さん曰くラスボス戦は二回あった方が盛り上がるという理由で、フォックスって人と、三上さんの二人でリーダーをやるらしいです。とは言っても、フォックスさんを倒せば世界の危機は回避できるらしいですが...皆さんは、三上さんと決着つけたいですよね?」


 「当たり前ッス」

 

 「レイを倒さないと、今の危機は救えても、何も変わらないから...」


 俺とグレイシアで相槌をうった。


 「そうですよね。わたくしも同感です。それでもう少し詳しく話すと、三上さんたちは新アダムスビルの最上階、六十階にいるらしいです。そしてそこに行くには千人ほどですが手前に軍が待ち構えていて、それを突破しなければいけないみたいなんです。恐らく、戦力を少しでも欠かそうという理由だと...」


 「いや、三上の事だ。多分戦力の分散というより、俺ら覚醒してない奴らだけで来いって事じゃないッスか?そんな千人相手に出来ると言えば、グレイシアか零羅しかいないッス。

 これは奴の作戦、前の戦いの時少し思ったのは、三上は極力グレイシアとは戦いたくないって感じがしたッス。奥さんを手にかけるのはいくらあいつでも出来ないって事なんじゃないスか?そして零羅は覚醒者...相手にはしたくないのかもしれない。

 俺としては本気の三上を直接戦って倒したいッスけど、ちょっと猶予がないッス。卑怯な手ッスけど、三上の元には極力全員で到達してやるのが一番な気がするッス」


 俺は思っていたことを口に出し、作戦を提案した。


 「先輩...冴えてるでござるなぁ」


 「その作戦、良いですね!」


 何故かみんな俺の事を、驚いた顔で見てくる。俺だって考えるときは考えるの!だけどさ


 「だけど、どうやってそれを実行すればいいのか、全然思い浮かばないッス!!」


 全員、会議用の椅子から落ちた。


 「サクラ...あんたねぇ。期待したじゃないの。いい作戦があるんじゃないかってさ」


 「うん、あそこまで言って、計画なしは驚いた」


 しゃ、しゃーないだろ...俺は馬鹿なんだ。なんとなく周りの空気が読めれるようになっただけなんだよ俺は。


 「うーん、いい作戦ですけど、それを実行するとなるとやるには隠密行動しかないですね...でもそれは時間がかかってしまいそうですし...数人だけ残して、千人相手はわたくしでもきついです。どうしましょう...」


 みんな悩んでいた。俺のおかげで三上の作戦は読めたのに、それの裏をかこうにもいい作戦が思い浮かばない。





 「私が一人で行くわ...」


 みんなが悩んでる中、シィズがとんでもない発言をした。


 「そっそれは危険すぎます!!一人だけなんて!」


 「いやね~、ちょっと私にいい考えがあって、私一人じゃないと出来ないのよ」


 「まさか、自爆的な何かとは言わないでござるよな」


 「違うわよ。大丈夫だからさ、私に任せてくれない?絶対生きて戻れる保証があるの」


 シィズは笑っていた。そして自身に満ち溢れた顔をしていた。


 「何をするつもりか知らないッスけど、シィズさん、無理しないで下さいよ?」


 「ありがと、信じてくれて」


 俺たちは、あともう少し話し合った後、到着するまで後一時間半ほどあった。その間少し仮眠を取ることにした。


 ・


 ・


 ・


 俺は目を覚ます。どうやら、試験車は最高時速を更新し、現在 時速三百六十キロまで出している。それと同時に試験車は速度を緩め始めた。


 「よぉし!!これなら、営業速度三百二十キロはいける!」


 作業員の人達は会議を始めた。そのうちの一人が俺たちに話しかけた。


 「今回の実験の成功を残すためにも、最後の闘い、頑張ってくれよ。俺たちはこの技術で世界の平和と安全を守って見せる。安全で安心な鉄道をより良く。それが俺たちの掲げる覚悟だ。全ては平和の為に!だ」


 作業員は俺たちに敬礼し、後ろの全員も同様に敬礼した。彼らとはあまり話さなかったけど、俺たちはこの世界の人達にいつの間にかこんなに信頼される存在になっていた。


 俺も敬礼し、意気込んだ。


 「すべては平和の為に!この世界の支配者を倒し、全てを終わらせる!!」


 

 ほどなく、試験車は中央駅に着いた。俺たちだけそこで降りた。違和感を感じる。時間的には三時二十分、列車は走っていない時間だが、静かすぎる。この手の車両っていつも写真撮りたい人達が誰かかれかいるのに…新ハシダナ駅には何人かいた。だけど、ここには誰も居ない。


 外に出た。大きな通り、路面電車の線路にネオンの掲示板。巨大な街頭テレビ。街は明るい。だけど誰も居ない。


 「アダビルはこっち」


 グレイシアが先頭を歩く。歩いていても、なんの気配も感じない。だが、前方にある巨大な建物、摩天楼を突き抜けた先にある、俺たちを見下ろすかの如くそびえたつそのビル。そこからは凄まじい気配を感じた。これだ。


 俺たちは進む。ビルの下に大量の兵士が見えた。俺たちは、兵士たちの目の前で止まった。


 


 「国王の命令だ、貴様らをここより先に通すわけにはいかない」


 俺は隊長らしき人の手を見る、震えている。俺が考えるに、こいつらは恐怖に屈した者たちだ。三上に、そして俺たちに、可哀想だが、これも人間だ。だれもが強い意志を持てるわけじゃない。


 「シィズさん。殺しちゃダメッスよ」


 「分かってるわ。腰の引けたこの子たちを相手に殺しなんかしないわ。それよりも、作戦はいい?」


 「はいッス」


 俺は一人で前に出た。そしてホルスターに手を伸ばす。いつでも抜ける。兵士たちはいっせいに構えた。


 「時間がないッス。俺が作るのは一本道。造らせてもらうッス!!」


 俺は前方に向かって予め最大まで溜めておいた電撃の魔法を放った。兵士たちは避けようと横にずれる。


 「今だ!!」


 俺たちは全力で走った。残った者を蹴り倒し、吹き飛ばし、道を固めていく。そして作戦は見事に成功した。ビルの入り口まで一気にたどり着いた。


 「に...逃がすな!!」


 俺たちを追おうと、必死になるが、シィズが前に立った。


 「さてとみんな、ここは私一人に任せて先に進んで」


 「あぁ。頼んだッスよ」


 俺は先に急ぐ事にした。グレイシアが先を行く。


 「まずは上に昇る。七階まではエスカレーターで、その先にあるホテルのロビーからエレベータを使う。電気は絶対に通ってるはずだから。止まる事はない」


 俺たちはエレベータに乗り込んだ。グレイシアは鍵を取り出し、エレベータのパネルに刺し、階の番号を色々押していた。暗証番号式なのねこのエレベータ。これをやらないといけない階があるのね。


 「ここは増築されて、五十階にあった玉座の間は今は六十階にある。このエレベータでは五十階までしか行けない。そこから別のもう一つのエレベータで上に行ける」


 「へぇー、色々知ってるんスね」


 「私の家だからね」


 あ、そうか。三上の家って事はグレイシアの家でもあるのか。


 エレベータは到着した。俺たちは順調に進んでいた。


 現在時刻、午前四時ちょうど ゲーム終了まであと四時間と十六分十八秒。


 ・


 ・


 ・


 アダムスビルの入り口、シィズと兵士たちはにらみ合っていた。


 「シ...シィズ!そこをどけ!この人数相手では勝てっこないぞ!」


 シィズは呆れたような素振りを見せた。


 「ほんっと、腰が引けちゃってさ、あなたたちこそ、そんなんで戦えるの?この私にさ」


 「黙れ!ただの救急隊員に負ける程俺たちは落ちぶれていない!いいだろう!貴様を葬り去ってやる!」


 兵士たちはもう後が引けない。やるしかなかった。


 「ふぅ、そのやる気は買うけど...私に勝ちたいのなら、三上君を最低十人連れてこないとねぇ」


 「なっ!?よくもそんな口を叩けるな!」


 「だってそうだもん、あなたたちは本気の私を知らないからね...さぁ、おいで、私の可愛いお人形ちゃん」


 兵士たちは困惑した。彼らは軍時代のシィズを知っている。実力の程は戦闘に関しては平均より上であったが、一番の取り柄は傷の治療がダントツだった。明るく優しい人物というのが、周りからの評価だ。だから、今の攻撃的な彼女は誰も見たことがなかった。全てを見下し、舐めるように兵士たちを見る。


 「お...恐れるな。あいつの成績は俺より低かった。全員でいけば勝てる!行くぞ!!」


 「いいわよ、誰もここを通さないけどね。そして勝つのは私...私にも時間がない。急いでいくわよ!!」  


 既に勝敗が決した戦いが始まった


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