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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第二章 この異世界より覚悟を決めて
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第2章 80話 王国軍最強の男

 俺たちは今、高速鉄道を使い次の地点を目指していた。目的地までは三時間ほどだ。


 「そういえば、新幹線を使うなんて中学生の修学旅行以来っすねぇ」


 「しんかんせん?」


 「拙者達の国の高速鉄道でござるよ。因みに...」


 「麗沢、それ以上は言わんでいいッス」


 俺たちは高速鉄道についてやたらと盛り上がった。


 「へぇ~、あんたたちの国って此処よりやっぱり進んでるのねぇ。磁気浮上とか、時速五百キロ越えとか、こっちじゃようやく三百キロの営業運転が出来るようになったってのにねぇ」


 エルメスがすごく興味深そうに聞いている。


 「でもまだ、建設中だから出来るのは結構先ッスよ」


 「それでも凄いわ。こっちじゃ鉄の線の上を走るのがやっとなんだよね。あぁ、その技術売り込んでくれないかなぁ。絶対買うのに...そうすれば、世の中の交通網に新たな...」


 エルメス、なんだかどっかの社長みたいになってきてるぞ。


 「およ?今ふと思ったのでござるが、この世界、航空機を一度も見たことがないのでござる気が」


 「こうくうき?」


 あ...俺も思い出した。飛行機なくね?この世界。


 「あ、やっぱりないのでござるか。いや、空を飛ぶ技術でござるのだが...」


 「え!?何それ!もうちょい詳しく!!」


 エルメスはより一層目を輝かせている。将来有望だなこの人。


 「そういえばレイも昔 ひこうきがどうのこうのって...」


 「グレイシア!そのことについても詳しく!!」


 


 エルメスは必死にメモを取っていた。そんなこんなで車両は新ハシダナ駅に着いた。


 「ついたー」


 「そんでさそんでさ!その飛行機は基本的にエンジンはどのくらい馬力がいるの?技術次第では時速は音速超えれる?」


 「え...あ、その」


 すごいな...麗沢がたじろいでいる。エルメス...こんなキャラだったのか、今知ったよ。列車から降りてもエルメスの熱は冷めそうになかった。俺は巻き込まれたくない、さっさとディエゴとやらを探しますか。


 「人類が空を飛ぶ!それこそが私の昔からの夢だー!!」

 

 ・


 ・


 ・


 ようやく、熱が冷めたようだ。エルメスは俺と一緒にディエゴを探し始めた。


 「あ~、さっきはごめんねぇ。熱入りすぎちゃって...」


 エルメスが照れ臭そうに笑った。まぁ、よろしんじゃないでしょうか。


 「にしても...ディエゴはどこよ。またナターシャみたいに時間にならないとこないって事はないわよねぇ」


 ここは少し人が多い、もしかしたら別の誰もいなさそうなところにいるんじゃないか?


 ここと反対側の出口付近は、周りに何にもない感じだった。そっちだな。俺は今いる出口の反対側に向かった。


 そして、駅の出入り口のドアにもたれかかっている人物を見つけた。外見は俺と同じくらいなのに、放つオーラに貫録を感じる。ここにいる人たちよりも一際存在感がある、こいつに間違いないな。


 「よ~こそ~。列車の到着からここまで約五分だ。この広い駅でよくここにいるって理解できたなぁ。まずは褒めてあげようか」


 俺の目の前にいるこいつは、俺の予想以上に気さくな感じのする人物だった。だけど俺は騙されないぞ。こう言う奴ほど、絶対強い。あの肩に背負ってるでかい袋、絶対あれに剣が入ってるに違いない。大きさは背丈の三分の二程か?俺は警戒を怠らなかった。


 「まずは自己紹介だ。おれの名前はディエゴだ。ディエゴ アンダーソン。王国軍の一応将軍って立ち位置に居させてもらっている。そして君がサカガミ サクラ君だね。そしてレイサワ ダン君。そしてもう一人の勇者だったカミワズミ レイラはもういない...そして、この国の王もな」


 「あぁ、三上はもう倒したッスよ」


 「しかしだが、おれはここにいる。何故だか分かるか?世界が終りかけているってのにここに留まる理由。それはお前たちとの戦いを楽しみにしていたからだ。異世界から来た勇者に、アダムスの血統、そしてこの世界最強の氷の魔法の使い手...シィズはぁ...破壊神だな」


 「失礼ね!!」


 そういえばこの二人昔、同期だったんだっけ。


 「そう怒んな。事実なんだからさ。それより、そんな奴らと戦える絶好の機会が今なんだ。だから、時間はないけど、お相手よろしく」


 なんだか、予想以上に爽やかで困惑した。だけど、なんだかこっちまでいい気分だ。よっしゃ!いっちょやりますか!


 俺は気合を入れて、まず念のため銃にブレードを装着した。


 「いい気迫じゃないかサカガミ サクラ君!おれもコイツで勝負しようか!」


 ディエゴは肩に背負った袋の中から既に抜き身になったの剣を取り出した。刀身が波打った奇妙な形の剣だ。


 「フランベルジュでござるか...」


 「その通りだレイサワ ダン君。なかなかに物知りだねぇ」


 ディエゴは少し剣を眺めた後、一気に俺に切りかかった。俺は受け止めた。何とか見切れる。向こうも小手調べ感があるがな...俺とディエゴは鍔迫り合いになった。


 「この剣はね、この燃えてるような独特な形状で切り付ける事で塞ぎにくい傷をつける事の出来る武器なんだよ。そして塞がらない傷口からどんどんばい菌が入って徐々に死に追いやる。死よりも恐ろしい恐怖を与えるっていうえげつないものなんだ。だが、君には関係ないよな。すぐに治せるし、近くにはナナ族が二人もいる。こいつはただのお飾りの剣になっちまったな」


 「いや、その形状、別の使い道があるんじゃないッスか?その波打つ形状なら、俺のこのブレードを巻き込みやすい...つまり、今の言葉は俺にその剣の真価を隠すための嘘だ!」


 俺は鍔迫り合いのまま引き金を引いた。一瞬だったが向こうの方が反応が早かったか、だがかすり傷一つはつけられた。


 「おぉ!お見事だよサカガミ サクラ君。耳で聞く情報に惑わされずに目で観て、そして正しい判断が出来た。いいね、ここまで勝ち進んだ事はある訳だぁ。そして...」


 後ろから隙を突き麗沢が攻撃をしようとしたが、ディエゴはそれを見越し、喉元に剣を突き付けていた。


 「後ろからの隙を突くのもいいねぇ。だけど、惜しいな。更には!」


 俺の後ろからのエルメスの攻撃。だがディエゴはエルメスの持つ薙刀の一撃を素手で止めた。


 「みんな強いねぇ。だが不意打ちの連続は読めるよ。そんでもって次の攻撃は...ホイ!グレイシアさん!」


 ディエゴは、体をくねらせ麗沢を蹴った。麗沢は攻撃に移ろうとしたグレイシアの元に飛ばされた。グレイシアは攻撃をやめ、麗沢をキャッチした。


 「はいよ!サカガミ サクラ君!」


 そして俺にはエルメスが飛んできた。ナイスキャッチ!!にはならなかった、衝撃が予想以上でしりもち着いた。


 「いてて、大丈夫ッスか?エルメス」


 「ちゃんとキャッチしてくれれば満点なんだけどねぇ」


 サーセン、どうせ俺はもやし野郎ですよ。


 「ありゃ?シィズ、あんたは攻撃しないのか?」


 「真正面から戦って私があんたに勝てるわけないでしょ。私は回復要員よ」


 「へぇ~、丸くなったもんだね。でもまぁ、今は救急隊だから仕方ないか...」


  ディエゴはしっかりと剣を構えた。俺たちも身構える。


 「あんたたちの実力の程は分かった。こいつは結構本気でいかないとやられちゃうねぇ。さぁてと、お次は誰から来るかな?おれも本気でいこうか」


 今までのは確かに、ディエゴは余裕がある感じだった。だが俺は結構本気だった。こいつが本気になったらどこまでの強さになるのか...


 俺たちは息を合わせて、一気に襲い掛かった。


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