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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第二章 この異世界より覚悟を決めて
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第2章 74話 巨大橋の決戦 その2

 「おはよ、久しぶりだね!」


 三上は、相変わらず不気味なほどに爽やかだ。


 「お日柄はよくないッスけどね...」


 俺はそう言いながら、タクシーから降りた。


 「そうだね、晴れたらここは絶景なのに...残念だったね」


 「そんな事はどうでもいいッス。ズバリ聞くが、あんたがここのリーダーなのか?」


 「うん、そうだよ」

 

 やっぱりか。


 「どういう事よ、あなたがここのリーダーだとしたら、中央地区はいったい誰なの?」


 シィズが質問しながらタクシーから降りる。


 「最初に言ったけど、このゲームは各地区のリーダーが持つ装置を壊せばそれでいいんだ。そして僕が指定した期日以内にクリアできないと、この世界は滅亡する。つまりはここで僕を殺すにせよ殺さないにせよ君たちがここで勝利するには、僕のこの装置を破壊すればいい。だから僕はここにいるんだ。

 大丈夫だよ、ちゃんとラスボスは用意してあるからさ、パワーだけなら僕にも負けないやつがいるんだよね」


 「そういう事ですか。三上さん...つまりは、この世界の全てのリーダーの持つ装置が世界滅亡のスイッチという事なのですね。そして...滅亡させるために使うのが、恐らく原子爆弾」


 零羅が炎神を装着して降りる。


 「あ、核の事聞いたんだ。この世界で造るのは苦労したよ。そう、この世界に核は存在する。世界中に作った原子力発電所の中にね...」


 「核、人類が開発した最も醜い殺戮兵器、何故そなたはそんなものを造ったのだ」


 麗沢もフライパンを構えタクシーから降りた。


 「僕は終わりを始める者だからね...」


 「終わらせない...ここであんたを倒し、あんたのその予言をぶっ潰す」


 エルメスは既に薙刀を構えている。


 「あなたにはもう...誰も殺させない。私はあなたの敵、かつてのあなたがもう戻らないのなら、私はここであなたを殺す」


 



 「っははは。ちょっと見ないうちにみんな結構成長してるんだねぇ。僕はうれしいよ。さぁ、かかっておいでよ。あ、でもまだ覚醒してないんだよねぇ、じゃあ、先に別の所から行く?後からここに来てもいいよ。時間があればだけどね...」


 全員一斉に構えた。このペースじゃ、さすがにまた戻ってくる頃には期日はとっくに過ぎてしまう。ここで倒すしかない。それより......


 「戦う前に、一つだけ質問していいッスか?」


 俺はずっと引っかかってた事がある。


 「いいよ、君の予想通りの答えが返るけどね...」


 相変わらず心を読んだようなこと言いやがって...


 「ランディは、シャルロットは今までのリーダーはどこに行ったんスか?」


 俺の質問、みんなどういう事か理解できないのか、俺の方をちらっと見た。


 「...もういないよ、君たちが倒した各地区のリーダーたちは、僕がこの手で...殺した」


 「なっ!?」「え?」


 まさかとは思っていたが、この野郎、俺たちがリーダーを倒したその後、そのリーダーを粛清しやがったんだ。


 「殺したって、全員を?どうして...」


 エルメスが動揺している。


 「エンリコ君はまだだけどね...それ以外は全員だよ。そして理由は単純、ゲームオーバーっていうやつだからね。このゲームはコンティニュー無しのゲームだ、だから、ゲームオーバーになればリトライは出来ない...」


 待てよ、今の言い方、脱落者は全て粛清したって意味じゃ...まさか!?


 「待て、もう一つ質問ッス...」


 「うん?」


 「今の言い方...てめぇ、サムはどうした?」


 「君が想像しているのが答えだよ」

 

 「いいから答えろ!!」


 「いいよ、既に殺してある。これが聞きたかったんでしょ?それに、彼だけじゃない。グレイシア!」


 三上は突然グレイシアを呼んだ。


 「君には言っておかなくちゃね、ここに来る前に、青薔薇、ルーアンは死んだ」


 グレイシアも俺も、呆気にとられた。青薔薇は死んだ。その言葉が呑み込めなかった。


 「てんめぇ、どこまで腐りゃ気が済むんスか...尚更俺はここであんたと決着をつけなくちゃいけなくなった。この世界の支配者とか名乗りやがって、てめぇにはそんな資格はない、てめぇには生きてる価値すらねぇよ!!」


 俺の中にはもう、怒りしかない。ヘラヘラしたその笑い、ぶっ潰す!!


 「アハ!いい殺気だ!その意気だよ!!さぁ、殺せるのなら殺してみてよ!!君の全力を僕に見せてよ!!」


 三上との決戦が今、始まった。


 


 だが、俺はまだ一歩も動いていない。互いににらみ合っている。今にもこいつに飛び掛かってボコボコにしてやりたいのはやまやまだ。だが、俺はこいつの実力を目の当たりにしている。そんな安易に動けば返り討ちが関の山だ。ここは、みんなと連携を...


 俺は一瞬あの言葉が頭をよぎった。『誰も信用してはいけない』...あの言葉の意味、睡蓮の事だと思いたい。だが、『この世界では』の意味に繋がらない。俺は一瞬躊躇し、隙を見せてしまった。


 「ほら、よそ見しない!」


 気付いた時には既に俺の懐まで入られていた。三上は抜刀し、横に薙いだ。


 「ぬん!」


 三上の攻撃が当たる直前、隣で麗沢がフライパンに炎を纏わせ突進してきた。三上は攻撃をやめ、後ろに下がり避けた。俺も後ろに飛んで避けた。


 「危ないじゃないッスか!麗沢!」


 「すまぬでござる、攻撃に移る瞬間は隙になると考えたのでござるが、上手くいかぬでござるなぁ」


 「うん、攻撃のタイミングはよかったけどね、引き付けが足りなかったかな?」


 しれっと、麗沢に三上はアドバイスしている。とことんふざけてんな。


 「さてと...じゃあ次の攻撃は、君だね」


 俺も気が付かなかったが、エルメスはひっそりと三上後ろに回り背後から三上に襲い掛かっていた。だがこの攻撃も三上に読まれ、剣で防がれた。


 「あっ...と、意外と一撃が重いねエルメスさん、簡単に受け流せないや」


 「そうだねぇ。ちょっと全力で振り下ろしたからかな?だけど、私の本気はこんなもんじゃないよ!」


 エルメスの手元が明るくなった。三上は更にビックリした顔になった、腕が若干震えている。剣を両手に持ち替えた。


 「ふふ...この瞬間を待ってた!零羅!」


 「はい!」


 三上は両手でエルメスの攻撃を防いでいる。胴体はがら空きだ。零羅はこのタイミングを逃さないようにあらかじめ炎神に魔法を溜めていた。


 「一撃で全身が吹き飛べば、いくらあなたでも死にますよね!」


 零羅は拳を前に突き出した。三上はなんだか感心しているといった顔だ。


 『ガグキィンッ!!』


 凄まじい音が鳴り、衝撃で目がくらんだ。そして目を開き、三上を見る。三上はまだいる。そして、剣で零羅の一撃を受け止めたいた。ん?エルメスがいない...


 俺はエルメスを探した。


 「きぃやああああぁぁぁぁ!!」


 上から声がした。そしてその声はどんどん大きくなり、俺の上に落ちた。


 「ぎゃあ!」


 急に頭の上から何か落ちてきて俺はそいつに倒された。エルメスか...なんだよこの因果は、今は真面目に戦ってんのに、三上の野郎、狙ってやっただろ。


 俺は三上を睨んだ。


 「アハハごめんごめん、ちょっと本気出して振ったらエルメスさん、綺麗に飛んでっちゃって、そのまま桜蘭君の上に落ちたんだ。ギャグ狙ったわけじゃないよ」


 三上は笑いながら俺たちを見ていた。


 「あなたこそよそ見しない」


 その笑っている三上の意表を突き、グレイシアが攻撃に移っていた。


 「ア八ッ!」


 あっつ、つめて!熱いのか冷たいのか分からない、三上は剣に炎を纏い、グレイシアの冷気による攻撃を吹き飛ばした。


 「相変わらずのパワーだね、グレイシア。君とはいつか全力で手合わせしてみたいけど、今日はちょっと相手が出来ないかな、ごめんね」


 そう言って三上はグレイシアと一旦距離をとる、これでグレイシアとシィズは三上の正面に立ち、俺たちは後ろを取っている、囲んだ、チャンスは今か...いや、まてよ。


 「この距離なら...」


 「グレイシアさん!シィズさん!今すぐこっちに来てください!」


 俺はそう叫んだが遅かった。三上は地面に剣を突き立てた。その瞬間地面が揺れ、そしてグレイシアたちのいた場所の橋が一部崩落した。グレイシアとシィズは後ろに飛び、落ちることはなかったが俺たちと完全に分断されてしまった。俺たちとグレイシアたちまで、約五十メートルほど橋が崩落している。タクシーもグレイシア側だ。


 「土と水の魔法の応用ね。コンクリートの地面をボロボロにしたんだよ、さてと、これで四対一。少しはやりやすくなったかな?」


 ちっ、やってくれやがって...俺は、銃にブレードを取り付け、構えた。


 「あ、それ、チュニアさんがやりたいって言ってたやつだね。完成したんだ」


 物珍しそうに俺の武器を見ている、子供かてめぇは、実年齢は俺よりはぜってぇ上のはずだろうが、あざとい奴だな。


 「そうッスよ、てめぇが俺にこの武器くれたから出来たんだ。お礼に一発どうぞ!」


 俺は切りかかる。俺の攻撃全てを三上は避けた。剣を使って捌いたのは数回だけだ。


 「踏み込みと振り下ろすタイミングがずれてるよ。その動きでは次の動作までに隙がより大きくなるし、一撃の威力も減る。見本を見せようかな」


 俺が全力で振り下ろした一撃は、三上の剣に巻き込まれはじかれた。すかさず三上はそこから横に薙いだ。


 「うわっ!!」


 三上の攻撃を俺は風の魔法を用いて辛うじて受け止めたが、三上の放った一撃は重く、すっ飛ばされガードレールに激突した。


 俺は踏み込みが足りないってか、確かに、三上の動きのキレには長年の経験が感じる。小学校の高学年みたいな体形しやがってこのパワーかよ、化け物が...


 「今です!!」


 凄まじい音と共に、零羅が三上に急襲した。しかし、これもまたはじかれた。あの一撃は案山子が一瞬で吹き飛ぶほどの威力があるのにそれを捌いた。どうにかして捌けない攻撃を喰らわせられないものかな。


 「吹っ切れたかい?神和住 零羅さん。さっきの攻撃に今の攻撃...どちらも確実に僕を殺せる一撃だよ。君はどうやら、人を殺す覚悟を決めれたんだね。だけど不思議だよ。確実に僕を殺そうとしているのになんで君はまだ、僕を悲しむ顔をするのかな?」


 


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