1話
ここから転生物語が始まります。
感想ご指摘お待ちしております。
僕は今までの鬱憤を晴らすかのように呪詛の言葉を吐きまくった。
吐けば吐くほど体が重くなる、しかしそれでも心の中に封じていた恨み辛みを吐き出さねば狂ってしまいそうなほどだった。
そうして重みで体が潰れるかと思うほどになった時、グッっと上に引っ張られる。
今にも寝てしまいそうなほど重かった目を開けるとそこには1人の女性がいた
20代前半ほどに見える和服姿の女性だ。
その姿にはなぜか嫌悪感を覚えない、女性なのに なぜ・・・?
いつもならば、顔が自然と歪んでしまい相手への印象が最悪となるはずなのに・・・
そう思っていると和服姿の女性は目を真っ赤にし今にも泣き出しそうな顔でこちらを見ている。
生まれてから見たことの無い女性の泣き顔であった、嘘泣きなどは姉や母で見飽きている、しかしこの女性はそう感じない、本当に悲しくてないている顔であった。
君はなぜ泣いている?
ここがどこかも分からない、僕がどうなったかも分からないがその質問がなぜか1番最初に口に出る
女性は口を開きかけて口を閉じる。何か伝えたそうにするが結局俯いてしまった。
「ごめんなさいね。あなたとその子は会話ができない様になっているの」
後ろから聞こえる女性と思われる声に飛び上がる
「あらあら、やっぱり女性は嫌いかしら?でも仕方ないかもしれないわね」
後ろを振り向いて確認すると白いワンピースをを着た女性が佇んでいた。
若い印象も受けるが荘厳ともいえる神々しさも感じる。
「私は一応この世界の神様みたいな者なの、下っ端だけどね」
誰だと思ったいた時女性が答える、何も口に出していない筈なのに・・・
心を読んだ・・・?バカな・・・ありえない、と軽い恐怖を感じていると
「あら、ごめんなさい、勝手に返事をしたら怖いわよね考えてることが分かっちゃうといつもの癖でね、あなたコータ君よね」
目の前の神と名乗る女性は頭を下げる、女性に頭を下げられるのも初めてかも知れない、と軽く衝撃を受ける。
「それでね、あなたには少し変わった事情があって、この世界の輪から外れてもらおうかと思ってるの」
いきなり告げられる意味の分からない言葉、何を言ってるんだ?この人は?いや、神様らしいけど
「ああ、そうね、世界の輪といっても理解できないわね、つまりあなたたちの言葉で言う『異世界』って所かしら?」
異世界?なぜ僕が異世界という奴に送られなければならないのか?
「あなたは呪いを抱きながら死んでしまったわ、そうするとこのままだと次の生を受けても呪いの影響で確実にあなたの来世は不幸になる、それもとびっきりのね、それどころかあなたは自分の呪詛で魂が押しつぶされようとしていた」
そうなのか、でも他人を恨みながら死を迎えることなどよくあり、特別ではないと僕は思う
それがなぜ変わった事情で僕が異世界に飛ばれる理由になるのだろうか?
「そう、そこなんだけど、そこの女の子がね?君の事を大層心配してここでずっとコータ君を見てたの、ここに長くいると魂に悪影響がでるのにね」
そういうと女神は表情を暗くさせ、こう告げる
「そしてコータ君か死んで呪詛にまみれる姿を見てあの子は『私の魂を全て削ってもいい、あの子を救ってください』と私に懇願したの、だからあなたはここに居られるのよ」
「そして呪詛にまみれてしまったあなたを、ならばあの子の魂を全て使ってコータ君を違う世界に飛ばそうって事なの」
魂を削る?魂がすべてなくなったらどうなるんだ?それに僕の魂も押しつぶされそうになっていたと言っていた気がするが同じことだろうか?
「そうね、魂が削れても潰れても存在がこの世界の輪廻から掻き消えるわ、来世を歩むことも無く、この場所からも消え去り完全な無となるわ」
なぜ?理解できない、僕は後ろに居るであろう泣きはらした女性を知らない。
なぜ知らない女性が来世以降の生を全て賭けてまで僕を助けようとしているのか?僕の知っている女性という存在からは想像が出来ない。
「コータ君が女性を信じられなくなり怖がる、その原因はあの子にもあるとあの子自身が言っていたわ、それ故の罪滅ぼしなんでしょうね」
原因?なんだ?分からない、生まれた時からあの環境だったのに原因なんて分かる訳がない。
「私から言えるのはここまでかな、じゃあコータ君にはこの世界と違う世界に飛んでもらうわ、その世界の情報は・・・っと」
話題を変えると女神は少し顔を明るくして話をしている
こちらの混乱を無視して勝手に話を進める女神はあの子やこの場所のことはもう一切教えてくれないのだろうか?
「これね!剣と魔法の世界!地球じゃありえない感じの世界ね、魂のエネルギーを使って飛ばすから、少し変わった世界へも送り込めるの」
勝手にとんとん拍子で話を進めているがあの子は本当にそれでいいのだろうか?僕は困惑するしかない
オロオロしていると後ろから視線を感じる
振り向くと目は赤く少し前まで泣いていた様だが微笑みこちらを見ている。
「使った魂がもつエネルギーの余剰分はあなたの肉体に色々付与しておくわ、あちらの神にも挨拶はしておくから問題は無いわよ?」
何一つ理解できていない僕をみて女神はため息を吐く。
「ハァ・・・本当はダメなんだけどね・・・私もサービスをしてあげましょう!あの子に免じて・・・ね?」
そう言うと女神は泣いていた女性の前に行き人差し指で女性の唇に触れる。
「さぁ!会話を少しだけどできるようにしたわ!でも早くしてね?もう魂を削り始めてコータ君を転送しなくちゃならないから」
足元が光り始める、え!?こんな急に!?少しくらい質問等させてくれてもいいのに!
「だめなのよ、あなたの放った呪詛が強すぎて私の上司にバレかけてるから」
女神がそう言うと女性が顔を上げ僕にはっきりと言った。
「次の人生では幸せに生きるんだよ、幸太郎」
どこか懐かしい、そんな声だった。
次の瞬間僕の目の前は真っ白になった。