宿泊先が決まりました
その後、二回連続で見破られたエンリは泣きながら逃げていった。
「エンリの魔鉱具は魔物から逃げるための道具なんですよ」
残されたリックが先程の機械を説明してくれる。
「音も匂いも温度さえも遮断して、完全に隠れる事ができるはずなんですが……」
「俺にもなぜわかったのか、よくわからない」
リックは俺の言葉に年相応の笑顔を返してくれた。
「これから泊まるところを探さなくちゃいけないんだが、どこかあるか?」
「そうですね……。悪い人には見えませんから、僕の家に来ますか?」
俺より子供なのに、しっかりしている気がする……。
「どうぞ、こちらです」
俺はお金がないので、リックの家にお世話になる。
リックは魔鉱学を学ぶため、親元を離れて一人暮らしをしている。魔鉱の加工はトップクラスらしいが、運動は苦手らしい。
三メートルのジャンプのからくりはもちろん靴にあった。リックの最新作らしい。基準がわからないが、今の俺には作れる気がしない。
「魔鉱って魔物からとれるのか?」
「え?」
やっぱりこの世界じゃ常識の質問だったんだろうな……。
「魔物の心臓からとれます。この周辺ではゴーブリアンが一番です」
ゴーブリアンってゴブリンの事か? 捨ててきたのは失敗だったかな?
特徴を確認すると、正解だったらしく、二人で回収しに行くことに決まった。