13/05/05 自宅:小町君 お誕生日おめでとう
今日は俺の誕生日。
誕生日だけ無駄に男っぽいのがすごくむかつく。
祝日だから基本的に家族以外は誰も祝ってくれないし。
去年だって……ん?
そういえば、姉貴がみつきさんとマッシュで会ったのって去年の今日か。
あれからもう一年も経つんだなあ。
早いものだ。
同時に美鈴と知り合ってから約一年。
その美鈴が「うちでパーティーしますよ」と言ってはくれた。
だけど断った。
美少女もどきと年齢不詳のお姉さんもどきに祝われる誕生日なんて。
別の意味で惨めになってしまいそうだ。
本日は姉貴すら日直で出勤。
去年のゴールデンウィークもそうだったよなあ。
ただし今年は去年と違い、「マッシュができないじゃないか」とぶつくさ言いながら出かけていった。
そんなわけで、現在は家で独り寂しく誕生日を過ごしている。
でも、最近はずっと騒々しい毎日が続いてたし。
今年に限っては独りきりの誕生日もかえって悪くないと本音で思う。
アンジュも今日は休ませてもらっている。
昨日のバイトの帰り際には、マスターが「店員一同と僕からの愛を込めて」とケーキをプレゼントしてくれた。
ケーキには【小町君 お誕生日おめでとう】とデコレートされていた。
みんなありがとう。
只今みんなの愛ごと、もしゃもしゃと美味しくいただいてます。
但しマスター除いて。
これとは別に鏡丘さんも何かをくれようとした。
だけど即座に断った。
鏡丘さんは「ちっ」と舌打ちして引っ込めたが、一体何が入ってたのやら。
今日からは俺も成年。
その記念に初めて馬券を買ってみた。
行ったのはウィンズ渋谷。
帰ってきてからはテレビの前で競馬中継にかじりついている。
テレビの画面は10レース。最終コーナーを回った。思わず手を握りしめる。
「おら、差せえええええええ! もうちょい! いけ! おっしゃあああ!」
やったあ!
このレースも的中。
ここまで買った三つのレースは全て的中し二万円のプラス。
これ以降のレースは買ってないので収支確定。
なんて嬉しい、そしてありがたい臨時収入だ。
姉貴が帰京したら、たまには俺の方から何か奢ってやろう。
ただしカラオケボックス除いて。
──ピンポーンと呼び鈴が鳴った。
「天満川小町さんに宅急便です」
サインをして受け取る。
差出人は姉貴。
例のごとく宅急便でのプレゼント。
これが俺が今日バイトを休んだ理由。
絶対送ってくると思ってたから、例え宅急便であっても直接受け取りたかった。
届いたのはでかい段ボール箱が三つ。
それぞれの中身は、裁断機・ページスキャナー・iPad。
すなわち電子書籍の作成・閲覧に必要な三種の神器。
バースデーカードを読む。
【HAPPY BIRTHDAY
Dear 小町
大学の教科書を持ち歩くのは大変だろうからこれを使え
あくまでも小町の勉強のためにプレゼントするのであって、
私が仕事の合間に漫画を読みやすくするために電子書籍化しろと言っているのではない。
もちろん漫画から優先的に電子書籍化しろとは言わないし、
できれば細切れで読める四コマ漫画から電子書籍化してほしいと言うつもりもない。
次の日直はしばらくないらしい観音姉】
相変わらずのひねた文面だなあ。翻訳してみるか。
漫画については仮に俺がやらなくても、姉貴が勝手に俺の部屋を漁って電子書籍化するだろう。
裁断機とページスキャナは事実上の共有アイテム。
姉貴が自分の部屋に置きたくないから、プレゼントと称して俺の部屋に置かせるのが真の目的。
もっともこれらは全て最初の行だけじゃ恥ずかしいから付け足したもの。
本当に意味があるのは一行目だけだ。
まったく素直じゃないったら。
要するに、真に俺へのプレゼントと言えるのはiPadのみ。
だけど本当に欲しかった。
高いから自分で買うには勇気がいったし。
これで教科書やノートを持ち歩くのもかなり楽になる。
期待に応えて、もっと勉強頑張るかな。