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13/03/16(1) イヴ銀リカー:うちでウェイトレスやらない?

 今日も今日とてバイト中。


 のし紙をテープでワインの入った段ボール箱に張り付ける×一〇回。

 配送伝票を書いて箱に貼る×一〇回。

 台車に載せる×一〇回。


 結構重いんだ、これが。

 よっこらっしょっと。

 これで全部かな?


「配送室に行ってきま~す」


「おう」


 台車をゆっくりと押し、業務用エレベーターに向かう。

 割れ物だから気をつけないと。

 俺はワインの銘柄なぞ全くわからない。

 それでもこのバイトは務まる。

 その理由は、売れるのが主に贈答品用途のため。

 バイトの仕事は配送品をこうやって地下の配送室に運ぶか、レジで買物客のラッピングをするかだけだから。


 エレベーターを下りる。

 トラックや車が並ぶ広い駐車場を抜ける。

 配送室のおっちゃんに声をかける。


「こんちわ~、これお願いします~」


「おう、小町。お疲れ」


 配送室を出てからは、空になった台車を軽く押すにして手を放す。

 台車が駐車場内をがらがらがら~と進んでいく。

 ついついこれってやりたくなる。


 リカーに戻るとチーフが声を掛けてきた。


「小町、二階の『アンジュ』にお使い行ってきてくれ」


「はーい、行ってきます」


 アンジュは都内でも有名なカフェテリア。

 ケーキのモンブランが美味しいことで有名である。


 俺はこのお使いが好き。

 なぜならアンジュのウェイトレスがみんな可愛い。

 しかも制服は俺好み。

 なので行く度に制服姿を目に焼きつけては、布団の中で思い出す。

 これも一つの役得だ。


 ──アンジュ店内に入る。


 特に狙いのウェイトレスが手の空くのを待つ。

 ……今だ!


「すみません、これうちのチーフからマスターに託かってきました」


 預かった封筒を渡す。


「小町君、いつもありがとね」


「いえいえ」


 もっと俺に微笑んで下さい。


 髪型は銀髪の散切り頭とでも言うべきか。

 肩口くらいまでの長さ、一本だけぴょんと毛が跳ねている。

 青と金のオッドアイと相まってミステリアスな雰囲気をかもしだす。

 背は俺より少し高いくらい、胸はなかなか大きい。


 ああ、何とかお近づきになりたいものだ。

 

 この店の制服はシンプルな黒のカマーベストにエプロンとスカート。

 変に萌を意識してない分、俺の目には格好良く映る。


 マスターが俺の所に来て声を掛けてくる。

 口髭を生やしたダンディなオヤジ。

 姉貴よりも頭一つ背が高く、筋肉質でごつい。

 昔はラガーマンだったとか。


「小町君。前も言ったけどうちでウェイトレスやらない? リカーより時給弾むよ?」


「やりません、僕は男です!」


「絶対似合うのに。気が変わったらいつでも言ってね」


 まったくもう。


 バイト自体が実質肉体労働なせいもあって、ついに体重は五八キロ。

 太る前よりも体重があるけど、その分は恐らく筋肉。

 顔は昔よりほんの少しぽっちゃり程度に戻った。

 全体に少し男っぽくはなったかな?

 うん、気のせいなのはわかってる。


 何がウェイトレスだ!

 俺は美鈴と同じ女装の道だけは選ばない!

 そして、今年こそ絶対に彼女を作るんだ!


あと数話で二章終わります。

作中描写から察せられるとおり、新ヒロイン&新レギュラーキャラ登場回です。


小町の減量ペースは現実で許容しうるギリギリのハイペースです。

ほぼ元に戻ってますが、完全に元に戻るのは三章開始時となります。

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