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13/05/31(6) 大井町スタバ:オタにでも~。好きなら自信持つのは当然です~

 そろそろ本題に入らなければ。

 旭さんにDVD―Rを渡す。


「これが頼まれていた物。漫画とラノベのZIPファイルが入ってる」


「ありがとうございます~。どんなの選んでくれたんですか~?」


「簡単に話すと、漫画は話題のタネになるかわかんない。だけど旭さんなら絶対に楽しんでもらえる」


「絶対に、とは大きく出ましたね~」


「え、えっと……多分?」


 旭さんがくすっと笑う。


「絶対でいいですよ~。いつもだと疲れますけど時々くらいなら、男の子はそれくらい自信満々でいてくれた方がいいです~」


「オタにでも?」


「オタにでも~。好きなら自信持つのは当然です~」


 実際に自信のチョイスだしな。

 ここはちょっと胸を張りながら話させてもらおう。


「ラノベは単純にメジャーなタイトルを二つ、ちょっと古いけど努力系主人公一つ」


 前者は略称でSAOと俺ガイル。

 後者はいわゆる「炎髪灼眼の討ち手」。

 主人公がヒロインのために努力するって、これしか思い浮かばなかった。

 ただ絵師さんは女性だし、恐らく人を選ばないだろう。


「ふむふむ~」


「もしつまらなければハッキリ言って。また検討して別のを渡すからさ」


「わかりました~。その時はハッキリ言います~」


                    ※※※


 退店して大井町線のホーム。

 二人とも直通なので帰りは楽々。


 電車に乗り込む。

 二人とも無言。

 乗る前に旭さんから『迂闊な事を人前で口走るとまずいので』と言われたからだ。

 大変だなあ……。


 姉貴となら話題の選びようもある。

 だけど旭さんとはまだまだその関係にはない……残念ながら。

 というわけで二人とも座ってスマホをいじってる。

 なんて寂しい。

 でも話し続けて間がもたなくなっても困るし、これでいいのかな?


〔ふたこたまがわー、ふたこたまがわー〕


「じゃ旭さん。俺はここで。今日は楽しかった、ありがとう」


「こちらこそです~。帰ったらすぐに漫画の方は読んでみます~。面白くてもつまらなくてもメールしますね~」


                    ※※※


 翌朝。

 起きたら旭さんからメールが入っていた。


【From:江田島旭 To:天満川小町

 Sub:大爆笑

 なんで溝の口に悪の組織があるんですか~?

 しかも悪の組織なのにみんな善人すぎます~。

 正義のヒーローの方がチンピラすぎます~。

 溝の口をとことんまで散歩したくなっちゃったじゃないですか~。

 「さっと一品」とか料理大好きっ子な私に挑戦しているとしか思えません~。

 全部マスターしてやります~】


 やっぱり溝の口ときたらこの漫画だよな。

 溝の口で繰り広げられる正義のヒーローと悪の組織の戦いの物語──というよりも正義と悪とか全然関係ない人間模様コメディ。


 少し博打だったが喜んでもらえてホッとした。

 ささいな事だがこれも一つの自信となって積み重なっていくのだろうか。


 そしてまた一つ旭さんの事を知った。

 料理を作るのが好きなんだ。

 いつか旭さんのマスターした「さっと一品」料理を食べてみたい。

 これからもこうやって旭さんについて一つ一つ知っていけたらいいな。


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