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凶暴幼馴染と団結ファンクラブ

「…ここは?」


あれ?俺、寝てたのか?やけに背中の方が柔らかいし、体も動きが悪い…俺いつの間にか寝てたんだな…だとしたら姫那とのキスは。


「…夢オチって奴か」


良かった…助かった。あれがもし本当だったら…


「悪夢すぎる」


姫那とキス?夢の中の俺よ、何故あんなにドギマギしてたんだよ…相手は姫那だぞ?何、姫那相手に…


「…はぁ、見損なったぞ。夢の中の俺…」


まぁ、夢でなりよりだ。もう朝だしさっさと用意して学校に行こう。悪夢のお陰で早めに起きれたし、久しぶりに急がずに行ける。


俺が通う〔先学〕は家から20分程度でつく。いつもは時間ギリギリに起きて慌ただしく出るが今日はじつにゆっくりだ。早起きってのもいいものだな。


「おはよう…って誰もいないか」


いつものことだか、やっぱり返事が無いのは虚しい。2次元ならこんな時「あ、おはよう!お兄ちゃん!ご飯出来てるから一緒に食べよ!」とか言うイベントがあるのに…まぁ無いものねだったってしょうがないか…


「えーと、朝飯はー…お、さすが姉貴。用意周到」


テーブルの上にはラップにかけられた、鮭と味噌汁とたまご焼き、おまけに白いご飯。ほんと、姉貴は和食好きだな。


桐谷湊。俺の1つ上の姉で学校の生徒会長を任されている。容姿端麗、成績優秀。俺とはまるで正反対の姉である。それと、根っからの和食人間でもある。容姿端麗、成績優秀の事からか、学校での人気も高く主に女子から絶大な支持を受けている。ある意味自慢の姉ではある。


俺が通う〔先学〕は生徒会及び風紀員を全校生徒の投票で決めている。投票の基準としては、「ちゃんと学校をまとめてくれそうな人」「物事に意欲的参加する人」「信頼できる人」などと色々ある。

その中で俺の姉、桐谷湊は高校1年にしてぶっちぎりの投票数で生徒会長の座を獲得した。

それからいままで生徒会長として〔先学〕のエースとして日々奮闘している。


「おっと、そろそろ時間か」


気づけば学校の遅刻の時間まで後30分。歩いても遅刻はしない時間だが…姫那に会いたくないのでもう出るとしよう。


「んじゃいってきまーす」


時刻は7時半まだ暑くもないが、そろそろ春が近づいて来たのか少し空気が暖かい気がする。


「んー、いい朝だな。こんな日はなんかいいことでも起きる気が…」


ドドドドド!


ん?何か後ろから走って…


「ゆーうーたーーー!」


ドカーン!!


「ぐわっ!?!?」


ドシーン!


「おっはよーう!勇太!…ってあれ?勇太どこ行ったの?」


「どこいったのじゃねぇー!お前の下だ!早く降りろ!」


いきなり背後から突進ってコイツは猪かなんかか!?ちくしょう…背中マジ痛ぇ~…


「ごめんごめーん、今どくからちょっと待って」


ちくしょう…せっかく「いい朝だな」っとか清々しく言ってたのに、今ので全部台無しだよ…最悪の朝だよ…


「ったく、毎度毎度俺に物理的ショック与えるのいい加減やめろよな!俺の身にもなってみろ!」


いい加減、こいつにもはっきり言ってやらないといけないな。友達にこんな事はしてはいけませんと、ちゃんと教えてやる。


「おい姫那。お前もっと友達を大事にしろよな。俺だって不死身じゃないんだ、毎回突進やら何やらされたらリアルに体もたないから…」


「そんな!私、勇太の事友達以上に大事に思ってるよ!だって私!勇太の事…!」


えっ、ちょっと待て。まさかのいきなり急展開!?「私、貴方のこと好き!」みたいなお決まりな展開がくるパターン!?


「ちょっ、ちょっと待てよ姫那!俺達は幼馴染みで恋愛なんてそんな…」


「勇太の事!…友達以上に大事なサンドバッグって思ってるんだよ!」


「お前1回黙れ!」


俺が学校に行きたくない理由その1


姫那と言う猛獣の性で体がもたないからである。




「…疲れた…」


時刻は7時50分。あの後、姫那との壮絶な闘いの途中学校に行く途中だったのを思い出して、姫那から逃げるように学校に向かった。が、別に運動が得意なわけでもない俺はすぐ姫那の俊足に追いつかれ、結局一緒に登校する事になった。相変わらず姫那からの俺の立場は「友達以上のサンドバッグ」と言う全く持って意味のわからない称号のままだ。


「全く、お前の性でせっかく早起きしたのに遅刻するとこだったよ」


「なにさ!いきなり説教を始めた勇太がいけないんだからね!」


「え!?俺の性かよ!元をたどればお前が突っ込んで来たからだろ!!」


こいつ、あたかも自分は悪くないみたいな言い方しやがって…こいつには悪かったとかの感情あんのか?まじで。


「ほーう、今日も朝からイチャついてますなぁ~お二人とも」


っ!?…おいおい…まじかよ。朝からこいつに会うとか、マジで今日厄日かなんかか…。


「…冴木」


「あ、おっはよーう!冴木、今日は随分遅めの登校だね?」


冴木雅也。同じ学校のクラスメイトにして、姉貴と同じ生徒会で会計補佐を任されている。俺と同じで2次元大好きなオタク仲間でもある。でも、こいつと関わると1日の活動量の半分は持ってかれるほど…疲れる。


「確かに今日は遅いな。どうしてだ?」


生徒会長もとい俺の姉貴の決定で、生徒会役員は朝7時までには登校して書類の整理やらなんやらを手伝うことになってるはずなんだが…


「いや~それがさ、金曜の役員会議で湊様に「君は来週からこなくていいぞ」って言われてさ。だから今日は遅めの登校って訳よ。」


「…なぁ冴木…それ言われたのってお前だけか?」


「ん?そうだけど、それがどうかしたか?」


どうかしたかって言うか…こいつ気づいてないのか…


「どうかって言うか…なぁ姫那…」


「うん…勇太…」


「な、何だよ?二人して」


うーん…言いづらいが…


「冴木、お前それ、」


「嫌われてるぞ」

「嫌われてるよ」


珍しく姫那と意思の疎通ができたな。うん。


「……」


「おい、冴木?おーい」


あれ?こいつまったく動かないぞ?大丈夫か??


「…アハハハソンナワケナイダロウ」


「冴木落ちつけ!言葉がおかしいぞ!」


こいつ全然大丈夫じゃねぇ!あからさまに声に出すぎだろ!


「…み、湊様が俺を嫌っている?そ、そんなことはありえない!俺は「湊様ファンクラブ№5」の称号を持ったれっきとした信者だぞ!!」


「それが問題なんじゃないのか!!」


湊様ファンクラブ。その名の通り俺の姉貴、桐谷湊を支援・応援する集まりだ。どっかのバカが勝手に作って始めた集まりらしいが、いつの間にか200人近いほどの生徒を集め今では先生にも手に負えないほどの勢力になっているらしい。


「そもそも、前にも言っただろうが。姉貴はそういうの嫌がってるって。だから避けられるんだろうが!」


「そうはいうけどな桐谷!俺は…俺はこの湊様に溢れんばかりの「愛」を抑えきれないのだよ!!」


「その愛とやらで嫌われたら元もこうもないわな~」


まじめに突っ込んだ俺がばかっだった。もうほっといてさっさと行こう。


キーンコーンカーンコーン


「え!?マジかよ!おい姫那!早く行くぞ!」


「あー、村雨ならさっき小走りで学校に入ってたぞ。」


「・・・・・・」


急ごう・・・




「あ、遅いよ~勇太!また遅刻ギリギリじゃん」


「お前、俺を置いていきやがったな?」


「なんのことかにゃ~」


「・・・」


「・・・」


「テヘッ!」


「テヘッ!じゃねぇ!!」


もうやだこいつ、マジで罪悪感とかないだろ・・・


「桐谷~クラスメイトを置いてくなんてひどいぜ~」


「黙れ冴木。さっさと席に着け」


何で俺はこいつと同じクラスなんだろうな~・・・恨むぜ、クラス分け決めた先生。


「ほーい、お前ら席に着け~」


ん?先生、今日はやけに来るの早いな。いつもならHR終了ギリギリで来るのに。


「えーと、今日は我が校の生徒会長から大事な話があるのでみんな静かに聞くように」


え?姉貴直々にこのクラスに話?なにかあったのだろうか?


「全員構えろ!!!」


「「「おう!!!」」」


スチャッスチャッスチャッ


「な、なんだ!?」


なんだこいつら!?いきなり身なりとか姿勢とかがよくなりやがった!?


「お、おい・・・冴木?どうしたんだ一体?」


クラスのみんなもいきなりの号令と一部男子の早すぎる対応に若干引き気味だが、まぁ仕方ないだろう。こんな事初めてだし。


「どうしたではない!湊様がわざわざこのクラスに来てくださっているのだぞ!ファンクラブのものとしてじっとしていられるか!」


・・・なるほど、と言うことは今反応した奴らは全員ファンクラブの会員って訳か。このクラスの男子も随分汚染されたものだ・・・


コンコン


「失礼する。」


ドアから入ってきたのは腰の辺りまでスラッと伸びた黒い髪、女子が羨ましがるような抜群のスタイル、整った顔立ち。一応言うが別に生徒会長だから褒め称えてるわけではない。事実ほんとうに美人なのだ。そしてその人が俺の姉、桐谷湊である。朝も言ったが自慢の姉である。・・・なんだけど・・・


「今日はなんの報告もなしに突然来てしまって申し訳ない。」


「全然大丈夫です!」


「おい!静かにしろ、№98!」


「す、すまない・・・」


おいおい、こいつらもしかして番号で呼び合ってるのか?なんというか・・・うん・・・


「今日来たのは他でもない。近々行われる進級試験の事についてだ。まぁこのクラスからは成績不良者はいないようだから特に心配はしていないが、だからといって気を抜かないようにして欲しい。今日はそれを言いに来たのだ」


なんだ、生徒会長直々に来たから何事かと思ったけど、そう言う話か。わざわざ大変だな。


「話は以上だ。貴重な朝の時間を使ってしまいすまなかった。では、これで失礼する。」


「「「「お勤めご苦労様です!!!」」」」


こいつらの団結力と言うか一体感と言うか・・・とりあえずすげーな。


教室から立ち去ろうとしていた生徒会長は教室から出る前になにか思い出したかのようにポンッと手を叩いて


「あーそうだ、1つ言い忘れていた。桐谷勇太君、放課後生徒会長室に来てくれ。少し話したいことがある。」


「え?あ、はい。わかりました?」


そういい残して生徒会長は教室から去っていった。そして生徒会長が去ってから数秒・・・


「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」」」」


一部の男子が弾けた。


「桐谷ぃぃぃぃ!!!どーゆうことだ!!!何故お前が湊様に呼ばれる!?」


「何故おまえなんだ!?ファンクラブにも入ってないお前が!!」


「羨ましすぎる・・・羨ましすぎる!!!!」


「掘らせろ桐谷!!!!」


こ、こいつら次々と!


「だぁーもう黙れ!!別に羨ましがることないだろ!実の姉が実の弟を呼んだだけだろ!ってか誰だ!最後危ないこといった奴!?」


掘らせろとかどこの誰だ言った奴!


「先生!!こいつらを止めてください!」


こんなとき頼れるのは先生しかいない!助けてくれ先生!


「・・・」


え?・・・あれ?先生?なんで怖い顔してこっち睨んでるの?


「・・・桐谷・・・散れ」


「なんで!?」


おいおいおいおい!今の発言は駄目だろ!生徒に散れはまずいだろ!?


「ふふふ、残念だったな桐谷・・・」


「な、なんだよ?冴木、楽しそうな顔して」


ってか冴木のほかにもニヤニヤしてるやついるし、いったいなんだ?


「桐谷、お前は湊様ファンクラブのリーダー会員№1が誰だか知ってるか?」


「そんなの知るわけないだろ!ってか知りたくもない!」


「そうかそうか。じゃあ、教えてやろう!我らがリーダーであり我らが担任!れき 和人かずと先生だ!」


「私だ!!」


「お前だったのか!?」


なんか普通に突っ込んじゃったし!ってか教師がファンクラブのリーダーって一教師としてどうなんだ!?


「あんた教師だろ!何ファンクラブのリーダーやってんだよ!」


「教師なんて役職は関係ない!俺は・・・俺はこの溢れんばかりの愛を抑えきれないんだよ!!!」


「その台詞は前にも聞いた!」


こいつらは意思疎通でもしてるのか?考えてることまで同じとかもう尊敬にあたいするは・・・


担任教師の爆弾発言に数秒遅れてから、勢いよく教室のドアが開いた。あけたのはさっき教室から退室したはずの生徒会長、桐谷湊だった。


「き、桐谷?な、なんでお前がここに・・・」


「私が出た後教室が騒がしくなったので戻って来たのですが、まさか先生の口からあんな発言を聞けるとは思いませんでした・・・しかも、ファンクラブ№1って事は先生がファンクラブを作ったって事ですよね?」


や、やべぇ・・・姉貴、眼がマジだ・・・


「い、いや桐谷!これはだな!・・・その~・・・」


「先生、お話がありますので一緒に校長室に来てください」


「え?校長室!?そ、それだけは!」


「先生に拒否権はありません。」


「・・・はい・・・」


先生よわっ!教師としての立場のかけらもないな・・・。


「「「「リーダー・・・ファイト・・・」」」」


「お前たち、一限目の準備をして教室で待ってなさい・・・。」


そういい残して先生は教室を出て行った。教室が静寂に包まれる・・・さすがにあの生徒会長の剣幕に気おされてファンクラブの奴らも静かに・・・


「・・・湊様やっぱ最高だわ!」


「あのドSな感じがたまらない!」


「あの態度で踏まれたい!」


「お前らドMと変態の集まりかよ!?」


もうイヤだ!!このクラス!!


俺が学校に行きたくない理由その2


クラスの男子がドMと変態だらけであるからである

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