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あなたの手に巫戯けてキス

 

 手。

 本を支え、もう一方で捲る。

 コーヒーカップを持つ。

 紙の上に写し取るのは、触れるのに似ている。

 中指は少し曲がってて……。

 指先までしっかりと鉛筆でなぞる間もじっとしてない。

 ペンを回し、クロッキー帳を取り上げる手……取り上げられた!

「珈琲淹れるのはヘタなのに」

 貶す言葉とは裏腹に、頭を撫でる手は誉めてくれてる。

「描けないけど、頭撫でてくれる手が一番好き」

 俺も構え、とペンで綴る手に、巫戯けてキスしてみた。

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