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第四話:さようなら青春。主に恋愛方面で。

正直、分からないことがあります。


この悩み・・・どうすれば・・・。

あっ、すいません。

では、本編スタート!

マリンさんに案内されて連れてこられた女子寮は寮ではなかった。


ブルジョワ気分が味わえる超高級三十階建てホテルだった。


ただ、通常の高級ホテルと違うのは受付の人間がいないだけだ。

 

ちょうど降りてきたエレベーターに乗り、そして俺は我が目を疑ってしまった。


 エレベーターの中は俺の家のリビングより広かった。


 俺の家のリビング。


 つまりは六畳以上だ!

 

無駄に大きいな。


それに大きいだけじゃなく、きらびやかで細部の造りもかなり凝られている。


一体このエレベーターだけでいくらぐらいかかってるんだ?

 

「竜ちゃん」


 「はい・・・」


 金持ちと自分の家の懐の差を見せ付けられて沈んでいた俺に、マリンさんがさらなる追い討ちをかけてきた。


 「竜ちゃんのお部屋は~、お姉さんとみーちゃんのお部屋の間にしておいたから心配しないでね~! これでさびしくないよね~!」


 ぐっ! と、親指を立ててみせるマリンさん。


 ええい! 余計なことを!


 と、いうわけで俺の部屋は勝手に決められてしまった。


うう、かなり気まずい。

 

「竜ちゃ~ん! お隣さんに挨拶、挨拶~!」


 最上階に着いた途端、マリンさんは元気一杯にそう言う。


 「でも、ほら、さっきあんなことがあったばかりだし、少し時間を置いたほうが・・・」


 「いいから行くの~! それに早く謝んなきゃいけないでしょ~?」


 「それは・・・まあ・・・」


 「そうでしょう~? それじゃあいいよね~?」


 コンコン。


 「みーちゃん!」


 今はただアナタのその無邪気な笑顔が恨めしい。


 「・・・・・・」


 返事がない。


やはり相当怒っておいでだ。


「みーちゃん?」


「開いてます・・・」


「入るよ~?」


「どうぞ・・・」


「おいで~、竜ちゃん」

 

と、手招きしてくれるマリンさん。


 「お邪魔します・・・」


 マリンさんに促され入った柊さんの部屋。


女の子の部屋なんて初めて入ったよ。


すごく緊張してきました。

 

「うわぁー」


 部屋に入った俺の目に映ったのは所狭しと並ぶたくさんのぬいぐるみたちだった。


うーむ、柊さんの部屋は小さな女の子たちにとっては宝の山なのではないだろうか?

 

ぬいぐるみたちは、ソファーに、テーブルに、机にベットに、テラスにと仲良く座っていた。


その光景は男の俺から見ても、それはそれは可愛らしかった。


 柊さんと最初に出会ったときの印象はもっとキツそうだったけど、これは・・・なかなかど

うして。


柊コレクションのぬいぐるみたちは数も多ければ種類も豊富で、イヌ、ネコ、クマ、ブタ、サル、キリン、イルカ、ニワトリ、パンダ、ウシ、モーガン・フリー○ン・・・ってモーガン・フリー○ン!?


「あれ~? どうして理事長先生がいるんですか~?」


そもそも陵聖学園は国立なのにこの人が何故理事長と呼ばれているのかがわからん。

 

「いやー、柊くんにいままでの話を聞いてもらっていたところなんです。それに・・・柊くん

のことが気になってしまってね」


 「そうですか~。ありがとうございます。理事長先生」


 「いえ、お礼なんてよしてください」


 「優しいんですね~」


 「ははは、彼女は我が学園の可愛い生徒ですからね! 竜也くん、もちろん君もだよ」

 

やはりここだけ見れば映画のワンシーンだ。


 さすがはモーガン・フリー○ン。


 「藤堂くん」


 体育座りをしながら枕を抱いている柊さんにじろりと睨まれた。


呼び方が藤堂くんに戻っていたのはわかっていたことだけど、やっぱりちょっとショックだった。

 

まあ、無視されるよりよかったと思わないといけないな。


 あぁ・・・短すぎた青春。


涙で前が見えない。

 

「君のことはいま理事長先生から聞いてわかったし、私もマリン先生が学園からいなくなるなんて嫌だから、その・・・しょうがないけど、ここにいることは認めてあげる」


 「あ・・・ありがとうございます!」


 「でも、君のことを許したわけじゃないから! だから・・・」


 そうだよな。


柊さんはなんだかすごい魔法使いみたいだし、魔法が使えない俺みたいな落ちこぼれとなんて付き合えるわけないよな。

 

わかってはいましたよ・・・。


 はぁ・・・。


 恋人と呼ぶにはおこがましすぎる時間だったけど、それでも一応は付き合っていたわけだし、別れ話は男の俺から切り出すしかないよな。


 「わかってます」


 「え? そ、そう? わかってくれてるのなら・・・いいんだけど」


 「はい。あの・・・本当にすいませんでした!」


 「い、いいよ! わかってくれたなら・・・」


 「いえ、でも・・・やっぱり柊さんの言う通りだと思います」


 「え?」


 「俺みたいな魔法も使えなければ何のとりえもない落ちこぼれ野郎が柊さんの彼氏だなんて・・・」


 「え? いや、ちが・・・」


 「柊さんの言う通り、俺よりいい男なんてそれこそ山ほどいます! 絶対です! 俺と柊さんじゃ完璧に釣り合わないです! あっ、釣り合わないのは俺が劣っているからで柊さんには何の落ち度もありません! 俺が保証しますから! でも俺の保証じゃ信頼できるかな? あはは・・・」


 「もういいっ」


 俺の顔面めがけて放たれた枕が音速の壁を突き破った。


回避するという選択肢が脳に浮かぶ前に枕が顔面にクリーンヒット。

 

「何もわかってないじゃない! もういいわよ! 出て行って!」


 なにを怒っているのかわからない。


 しかし、マリンさんとモーガン・フリー○ンは理由がわかるのか、


 「あっちゃー」


 と、声を見事にシンクロさせて呆れていた。


 「竜ちゃんのバカ~」


 マリンさんの罵倒する声が切なく聞こえた。




 「あのね~竜ちゃん」


 「はい」


 「竜ちゃん、全然女の子のことわかってないよ~」


 だって、男の子だもん。


 「はぁ~、かわいそうなみーちゃん」


 しくしくと声を出して泣く真似までしだす始末。


 柊さんに追い出された俺は、マリンさんに引きずられるようにして自分の部屋へと連れてこられた。


 ここは俺がこれから三年間を過ごすことになる部屋。


調度品などが既にセッティングされており、あとはこの部屋をどう自分色に染めるかだ。


そんな希望に満ちた素晴らしい部屋で、幸先悪いことに俺はマリンさん発、俺行きの愛の説教を受けていた。

 

「でも~、過ぎたことは仕方がないよね~」


 「はい・・・」


 「そこで~、竜ちゃんにはこれから~、入学式までの間にやってもらいたいことがありま~す! これは修行だから~、ぜ~ったいに気を抜いてやらないように! い~い?」


 主にアナタのせいで確実に気が抜けてしまいそうです。


 「修行・・・ですか?」


 「そうよ~、修行よ~」


 「どんなことするんですか? 言っておきますけど魔法なんて一切使えませんよ?」


 「そんなことわかってるよ~! 竜ちゃんは~、魔法に関しては死んで? って感じかな~? うーん、違うな~、お前なんて生きている価値がないんだからさっさとこの世から存在を消してくれ! って感じ? うーん、やっぱり違うな~」


 「マーちゃん」


 「どうしたの~?」


 「俺が悪かったです。ですからそれ以上は許してください! お願いします!」


 「えーと~、お姉さん竜ちゃんがどうして謝っているのかわからないな~」


 「どうか平に! 平にご容赦を~!」


 「よくわからないけど~、お話を先に進めてもいいのね~?」


 「はい!」


 マリンさんの意外な毒舌ぶりに俺の些細なプライドが木っ端微塵に砕け散った。


 「それじゃあ続けるけど~」


 「はい」


 「入学式までの間~、この部屋から一歩も外に出ないでね~」


 「は?」


 「食事は毎日三食きっちりとお姉さんが届けてあげるからね~!」


 待てよ!


待て待て待て!


一歩も外に出るなだって!?

 

そんなの嫌じゃ~!


 無理だって!


 「無理ですよ! 無理無理っ! そんなの・・・」


 「もう~、話は最後まで聞きなさ~い! なにもするなとは言ってないでしょ~? 部屋の中であることを考えてほしいの~!」


 「あることってなんですか?」


 そう言った俺にマリンさんは、


 「はいっ!」


 と、まるでアイドルの営業スマイルのような笑顔で一枚の白い紙を差し出した。


 「読んでみて~」


 言われた通りに渡されたものに目を通す俺。


 問一。


 竜ちゃんが好きな食べ物は~?


 問二。


 竜ちゃんの好きな女の子のタイプは~?


 問三。


 竜ちゃんの好きな音楽は~?


 問四。


 竜ちゃんの好きな映画は~?


 問五。


 竜ちゃんはいままで誰かとお付き合いしたことがあるのかな~?


 「なんですかコレは?」


 「なにってそれが竜ちゃんの修行だよ~!」


 コレが修行?


 「いや、でも、これは・・・」


 「そんなに変なこと書いてある~?」


 そう言うとマリンさんは紙を覗き込み、そして奪い取った。


 「あはは~! これは違うの~! 気にしないでね~! 本当はこっち~」


 気にしないでねって・・・気になります。


 「過去のことは忘れて~、早く読んで~」


 いまのやり取りはマリンさんの中では既に過去の記憶のようだ。


素晴らしく自分に都合のいい脳みそ様だ。

 

まあ、他にも言いたいことはいろいろあったが、キリがないので言われた通り取り替えられた紙に目を通す俺。


 問一。


 好きな武器は?


 問二。


 好きな動物は?


 問三。


 好きな空想上の生き物は?


 問四。


 これが最後の質問です。


 『 』は?

 

 なんだコレ?


 「あの・・・」


 「あっ、いますぐ答えなくていいよ~! それは本当に大事なことだから~! 入学式まで

はまだ時間があるからゆっくり考えてね~! それで~、それぞれの質問で一番好きなものを頭の中で常にイメージしてちょうだいね~」


 「まあ・・・マーちゃんがそう言うならそうしますけど、この四つ目の質問はなにも書かれてないんですけどどうしたらいいんですか?」


 「いいえ、書かれていないんじゃなくて竜ちゃんが読めないだけなの」


 あっ、シリアスモードのマリンさんだ。


 「頑張って最後の質問を読めるようになってね~!」


 あっ、いつもののほほんマリンさんだ。


 「それじゃあーね~! 修行はもう始まってるぞ~!」


 バタン。


 と、騒々しく出て行ったマリンさん。


 「・・・・・・」


 ふぅ・・・。


 この質問にどんな意味があるんだ? この質問のどこが修行?


 「って! ちょっと待て! 結局入学式まで俺は外に出れないんじゃねーか! ちくしょ

う! はーかーらーれーたー!」


あの~、PVやら、ユニークといったものの見方が良くわかりません。


パソコンに強いというわけではない筆者ですので・・・。


う~ん・・・。

おっと失礼しました。

感想お待ちしてま~す!

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