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第二十六話:そして再びのお母様(裏)

裏ってなんだよ?


そう思われる方がいらっしゃるのは当然だと思います。


というわけで、本編をどうぞ!


 突然ですが、私の名前はミラ・ジョボ○ッチといいます。

 

嘘です。


 本当の名前はエドアルド・クリスティーです。


 職業はマフィアです。


 これは嘘ではなく本当です。


 実家がアメリカン・マフィアの元締めみたいな、偉そうなことをやっていて、私はその次期五代目です。


 本当はマフィアになんてなりたくないんだけど、他にやることもないので仕方なく、なあなあな感じでやっている二三歳です。


 大学はハーバードでした。


 主席で卒業したんですよ?


 凄いでしょ?


 でも、まあ。


 ハーバードを首席で卒業していようが、マフィアなんてやってれば、あんまり意味がないのですが。


 それだから、マフィア業もなあなあになっちゃうんですよね。


 そんな私に呆れたのでしょうか?


 祖父であり、先代の首領ドンがつい最近になって、こんなことを仰りやがりました。


 『クリスティー、お前はマフィアというものがどんなものかわるで分かっていない! 次期五代目だというのにそんなことではいかん! 修行をしてこい! そうだな・・・日本へ行け。日本の山中組というジャパニーズ・マフィアに身を置き、マフィアとは何なのかをしっかりと勉強してこい! 話を付けておいてやるからしっかりやるんだぞ!』


 有難迷惑とはまさにこのことです。


 しかし、祖父の命令は絶対なのです。


 ですので断るなんてそんなことが出来るはずもありません。


 というわけで私は今、仕方なく山中組の本拠地であり、山中達郎氏のお屋敷でお世話になっています。

 

さて、ここで一つ重大な問題が発生しています。


 祖父は日本へ行くに当たって、私に条件を出しやがりました。


 その条件とは、山中達郎氏とその家族以外、たとえ山中組の構成員であっても人前では私の顔を黒いフェイスガード覆い隠せというものでした。


 自分で日本へ行けと言い条件を出すとは、そろそろじじい、訂正祖父もボケがきたのでしょうか?


 せっかく日本観光を楽しもうと思っていたのに、そんな怪しい格好をしていては素直に楽しめるはずもありません。


 日本へ来て現在半年が経ちます。


 正直、すでにやる気は霧散しています。


 ですが、最近は少し楽しくなってきています。


 と、言いますのは、山中達郎氏は大変イジリがいのある方でして。


 達郎氏は娘である、桜子さんと奥様を深く、ふか~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~く愛しておられます。


 そんな達郎氏は、家族に接するときと、組員に接するときとで態度が急変致します。


 これはイジって遊ぶしかない。


 神の御指示が私の脳裏を横切りました。


 重ねて言いますが、達郎氏は本当にイジリがいのある方です。


 そして達郎氏は現在一つの悩みを抱えておられるようです。


 その悩みとは、桜子さんがどなたかに恋をしてらっしゃるようでして、達郎氏はお相手の方に嫌がらせをしたいと仰っています。


 小さすぎるなぁー、とは思いますが、せっかくの楽しくなる予感がするイベントを自分の手で摘み取るような真似は致しません。


 幸い、達郎氏は私に桜子さんが想いを寄せている相手に対する嫌がらせ行為を命じられました。


 汝、全力で楽しむべし。


 神もそう仰っているような気がします。


 ジリリリリッ。


 電話が鳴っていますね。


 山中組本拠地であるこのお屋敷は無駄に広いです。


 半年間お世話になっている私でも、未だにどこに何があるのか、その全容を把握出来ていません。


 それに、金持ちであるはずなのに、山中組の電話は未だに一昔前の黒電話というアナログっぷりです。


 まあ、私が電話に出るわけでも、掛けるわけでもないので構わないといえば構わないのですが(笑)


 ジリリ・・・。


 「はい、もしもし山中です」


 おっと、電話に出たのは桜子お嬢様のようですね。


 電話の相手は誰でしょうか?


 「ええ!? 竜也が帰ってきているんですか!」


 どうやら電話の相手は、桜子お嬢様が想いを寄せている、藤堂竜也という少年の関係者のようです。


 ふふふ。


 藤堂竜也という少年にどうアプローチを取ろうか考えていたのですが、向こう側からアクションを起こしてくれるとは願ったりかなったりです。


 もうこれは、神の思し召しと思うしかないようですね。


 「女の子を五人も連れ帰ってるんですか!? ・・・・・・おばさん。その中に竜也の本命らしき人物はいますか?」


 何があったのでしょうか?


 桜子お嬢様はぶるぶると拳を震わせてらっしゃいます。


 私は、桜子お嬢様と、奥様に大変お世話になっており、また私自身もお二人に何の思惑も無い純粋な好意を持っていますので、達郎氏から命令は出されていますが、本音としましては桜子お嬢様の恋を応援したいのです。


 「褐色の肌の絶世の美女で、何故かフォーマルなスーツを着用している完璧な男装の麗人なんだけど、それでいてお色気むんむんという美と美のケミストリー日本語で言うと化学反応を起こしちゃってる人・・・ですか。そうですか」


 ああ、何故か訳のわからないことを仰って、桜子お嬢様は受話器を耳に当てたまま項垂れてしまいました。


 頑張ってください、桜子お嬢様!


 「おばさん! 今からそっちに行きます! もう全力でそっちに行きますから、竜也をその場に留めておいてください! お願いします!」


 今宵の桜子お嬢様は血を求めておいでの御様子です。


 まだ夜ではないですが。


 桜子お嬢様は受話器を置くと、自室へ戻られました。


 そしてすぐに出てきました。


 「クリスティーさん!」


 おっと、呼ばれてしまいました。


 「はい、桜子お嬢様」


 「これから友達の家へ行くんだけど、一緒に行ってくれませんか?」


 「了解致しました。では車でお送り致します」


 「ううん・・・」


 まさかの否定です。


 「では何で向かわれますか?」


 「走って行った方が近いです!」


 何の説明も無いまま、桜子お嬢様は全力疾走で外へと向かわれました。


 では、私も行くとしましょう。

 





 魔法の力で脚力を強化しているとはいえ、桜子お嬢様の速力は半端なものでありません。


 同じ魔法を使い、私も脚力を強化しておりますが、それでも桜子お嬢様に付いていくので精いっぱいです。


 恋する乙女は凄いですね。


 おっと、お嬢様が一軒の民家の前で停止しました。


 ふむ、中々に趣のある家ですね。


 言い方を変えればボロいですね。


 築何十年位なのでしょうか?


 まあ、私には関係ないことですね。


 お嬢様は意を決したように、民家の中へ入られました。


 私も続くとしましょう。


 それにしても――。


 「ふ~、お嬢様ってばどんだけ急ぐんですか~! 早すぎですよ(笑)」


 そんなに藤堂竜也という少年に会いたかったのでしょうか?


 やはり桜子お嬢様は可愛らしいお方ですね。


 これから相手の方に嫌がらせをしなくてはならないのかと思うと、気が引けてしまいます。


 そう思いその場にただ一人いた少年に視線を向けます。


 彼が藤堂竜也なのですね。


 特別格好いいというわけでも、可愛いというわけでもない少年ですね。


 しかし、どことなく気になることは確かな、そんな不思議な少年です。


 竜也くんの周りには五人の美女&美少女がいました。


 間違いありません。


 彼は人生の勝ち組です。


 あのように若いうちに、人生という名の年末ジャン○を当てるという神の奇跡にも似た

ものを自分の物にしておきながら、さらにまた桜子お嬢様という美少女もフィッシュしてしまおうというのですか。


 天然ジゴロですね。


 侮れません。


 『あっ』


 竜也くん。


 笑顔が似合いそうな美少女さん。


 ミステリアスさが魅力的な大人しそうな美少女さん。


 黙っていても大人の魅力溢れる美人さん。


 とても明るそうな美人さん。


 褐色の肌の絶世の美女で、何故かフォーマルなスーツを着用している完璧な男装の麗人なんだけど、それでいてお色気むんむんという美と美のケミストリー日本語で言うと化学反応を起こしちゃってる人。


 そんな個性豊か過ぎる六人が、何故か一斉に私を見て声を上げました。


 私を見てとても驚いているようです。


 「ん?」


 どうしたというのでしょうか?


 私は声を上げた皆さんを見渡すことにしました。








 そういえば、日本には伝統芸の一つとして、リアクション芸というものがあるそうですね。


 このような場合でもそれは通用するのでしょうか?


 考えていても仕方がありませんね。


 汝、リアクション芸を披露すべし。


神様もそう言っているような気がしてきました。


では、実行してから考えるとしましょう。

 

「そうです。そのまさかです」


 竜也くんがとてもツッコミを入れたそうにしています。


 何か悪いことでもしてしまったのでしょうか?


 不思議でなりません




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