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第十九話:時をかけちゃった少年少女+α

前回から少し日数が経ってしまいましたね。


では、さっそく本編をどうぞ!

「美紀さん、その、暗くて危ないですから手を、ええーと、あの・・・」

 

「うん!」


 きゅっと俺の手を握る美紀さん。


俺って絶対人生の勝ち組だよなー。

 

「見せ付けてくれますねー、マスター」


 と、人間バージョンに戻ったイリーナが言ってくる。


 「い、いいだろ! つーか、イリーナはどっちの姿が本物なんだ?」


 「どっちも本物ですよ? 私たち幻想種は二つの姿を持っているんです。例えば私の場合ですと、ペガサスが私のもう一つの姿です」


 「うん? それじゃあグリシーヌも人間の姿になれるのか?」


 「そりゃもちろんですよ。あれー? マスターはグリシーヌの人間バージョン見たことないんですか?」


 「ない」


 「もったいないなー。精霊界じゃグリシーヌは皇女様だったんですよー? グリシーヌはとーっても凛々しくて綺麗だったんですからー!」


 「へー、それは一度見てみたいな」


 つーか皇女? 


皇子の間違いだろ?

 

そんな会話をしていると、俺の服のすそを美紀さんがちょいちょいと引っ張ってきた。


 「美紀さん?」


 「私は竜也くんの彼女だからね!」


 「え? そうですけど・・・? 美紀さん?」


 「竜也くんは私のことが好きなんだよね?」


 「俺は好きな人とじゃないとキスなんてできません」


 「う、うん・・・。それなら・・・いいんだけど・・・」


 おかしな美紀さんだ。


 「ふふふ、美紀はかわいーですねー」


 言って、よしよしと美紀さんの頭を撫でるイリーナ。


「イリーナさん!」

 

「心配しなくてもマスターは美紀以外の女性に興味はありませんよ」


 「もう・・・」


 「美紀さん、寮の前に・・・」


 「え? なに?」


 寮の前にはどういった心境の変化でそうなったのか、青いロングドレスを着たマリンさんと白いミディアムドレスを着たすもも先輩が何故かにこにこ顔で俺たちに手を振っていた。


 「二人ともおそ~い! 三ヶ月もどこに行ってたのよ~! お姉さんと~っても心配しちゃったじゃない~!」


 どこに行ってたもなにも、あなたが俺たちをあのジュラ○ック・パークへ転送したんじゃないですか。


つーか三ヶ月って、嘘つくにしてももうちょっとマシな嘘考えましょうよ。

 

「どこってマーちゃんに送られたジャングルですよ。それに送られてから一週間しか経ってないですよ?」


 「え~! 竜ちゃんなに言ってるの~?」


 「なにって・・・」


 「藤堂くん、寝ぼけちゃいけないなー! 今日は七月五日だぜ!」


 「は? なに言ってるのよすもも」


 「それはこっちの台詞だぜ! ほい、コレ見てごらんよ!」


 言って、すもも先輩は新聞を放り投げてきた。


 「日にちを見てみなー!」


 「七月・・・五日・・・? え? どういうこと?」


 美紀さんの言葉に俺も首をかしげる。


 「マリン」


 「あ~! イーちゃん久しぶり~! 元気~!」


 「元気だよ。あのね、私が迷い込んだジャングルに時間圧縮の魔法がかけられていたんだけど、アレってマリンの仕業?」


 「え~!? お姉さんそんなことしてないよ~!」


 「そう・・・」


 「それよりも早く~! みんなパーティーの準備をして待っているんだから~!」


 「みんな?」


 「うん! みんなだよ~! みんなが祝勝会の準備をして待っててくれてるの~! だから早く行こうよ~!」


 祝勝会? 


さっきからマリンさんの言っていることが一つも的を得ない。

 

「二ヶ月遅れの祝勝会だよ~!」


 んんっ? 


ますますわけがわからん。

 

「マリンの姐さん、それじゃあ藤堂くんも美紀もなんのことだかわからないっすよー! あのね、ゴールデンウィーク中に学園対抗魔法大会があるって言ってたでしょ?」


 「はい」


 「あれね、うちが優勝したの!」


 「え? ということはもう終わったんですか?」


 「そだよー! まあ詳しい話は後でしたげるから早く行こうか!」


 言って、すもも先輩は俺と美紀さんの手を引っ張る。


 「イーちゃんさんも一緒に来てくださいねー!」


 「はーい!」

 



 扉を開けるとそこはパーティー会場だった。


見知った顔もいれば知らない顔もいた。


みんな綺麗にドレスアップしている。

 

「おー! 竜也に柊先輩! やっと主賓の登場やな! 待っとったで!」


 「二人とも三ヶ月もどこに行ってたんですか? 心配しちゃいましたよー!」


 「・・・・・・無事でよかった」


 白のタキシードを着た虎之助、フリルのついた赤いロングドレスを着た朝比奈さん、淡い紫色のミディアムドレスを着た黒崎さんがそれぞれ声をかけてきた。


さっきに続きこの騒ぎが一体なんなのかわけのわからない俺と美紀さん。

 

「この騒ぎは一体・・・」


 「なんや? 美水先輩から聞いてへんのか? これは学園対抗魔法大会の祝勝会や! そんで今大会のMVPの竜也を祝う会兼『竜ちゃん、みーちゃん仲直りおめでとう~! それでいつ結婚するの~? 子供ができたらお姉さんにも抱っこさせてね~!』記念も兼ねとんな!」


 「け、結婚って・・・つーかどうして俺と美紀さんが仲直りしたって知ってんだよ!? まさか・・・」


 俺はとっさにイリーナに視線を向けた。


 「わ、私じゃないですよー!」


 イリーナは首をブンブン振り否定する。


そんなイリーナはいつの間にかちゃっかり着替えを済ましていた。


青いマーメイドドレスがよく似合っており不覚にも一瞬見とれてしまった。

 

「それよりもや」


 言って、虎之助は俺の首をがっちりと掴む。


 「いつの間に美紀さんて呼ぶようになったんや?」


 「そ、それは・・・」


 「私もそれは聞きたいかもー! 教えてチキン野郎!」


 相変わらず朝比奈さんの毒舌は健在だ。


 「・・・・・・おめでとう」


 黒崎さんだけが唯一祝ってくれた。


ううっ、ありがとう!

 

「べ、別にいいだろっ! そんなことより俺がMVPってどういうことだ? 俺も美紀さんもいまいち状況が理解できてねーんだけど」


 「おおっ! うまく誤魔化しやがったな! まあえーわ」


 「ちょっと黙れブタ野郎。さっさと説明してあげなきゃ駄目じゃないの」


と、朝比奈さんの強烈な一言に撃沈する虎之助だった。


いまだけは朝比奈さんの毒舌に感謝を捧げたい。


「あのね、私たち六人は陵聖学園代表として二ヶ月前に学園対抗魔法大会に出場するはずだったんだけど・・・」


「二ヶ月前? やっぱりなんかおかしいよ。二ヶ月前って言ったら俺たちまだ陵聖学園に入学してないんじゃ・・・」


「黙って話を聞け。このクソ虫」


「はい」


「それでね、開催場所であるアメリカのキャッスル学園に作られた特設ステージに向かおうとしてたんだけど、いくら待っても藤堂くんと柊先輩が戻ってこないから困ってたの。そしたらマリン先生が『竜ちゃんとみーちゃん抜きでも大丈夫でしょ~! もうこのまま行こっか~!』って言い出して、まあそのまま向かったんだけど、それからちょっとあってね・・・」


苦い笑みを浮かべてそう言う朝比奈さん。


「なにか問題でも起きたのか?」


「・・・・・・あなたが召喚したグリシーヌさんが大暴れして、キャッスル学園は壊滅状態に陥った。さらにあなたのドラゴンは学園対抗魔法大会の審判の教官たちを脅して陵聖学園を優勝にしろと言った」


「グリシーヌが?」


「・・・・・・そう」


「どうしてグリシーヌが大暴れなんかしたんだ?」


「・・・・・・それは・・・」


「あの男が悪い! 奴が竜也を侮辱したからだ! 我が爪で切り殺してやろうかと思ったが竜也に人殺しはするなと言われていたのでやむなく思いとどまった。腹いせにあの男がいる学園を粉々にしてやったが・・・あの男だけはいま思い出しても忌々しい」


背後からグリシーヌの憤怒に燃え上がった声が聞こえてきた。


「グリシーヌ!」


久しぶりのグリシーヌとの再会がうれしくて俺は勢いよく背後を振り返り、そして固まった。


「どうした竜也?」


長身のマリンさん並に胸の大きな、見知らぬ超超超絶美女がきょとんとした顔で俺を見下ろしてそんなことを言った。


「誰ですか?」


言った俺の言葉に、超超超絶美女は体をよろめかせ、


「りゅ、竜也・・・まさかとは思ったが、やはり竜也の瞳には美紀しか映っていないのか!? 私のことなど、もうどうでもいいと言うのか!? それは・・・あんまりではないか・・・」


「竜也くん。このすっごく綺麗でおっぱいの大きな女の人はだ~れ?」


おっぱいを強調して言う美紀さん。


握られた手からは何もかも一瞬で凍らせてしまいそうな冷気が発せられていた。


「い、いや、俺も誰だかわからないです・・・」


「ふーん・・・」


「本当ですって!?」


「酷いぞ竜也! 私を忘れたというのか!?」


言って、超超超絶美女はルビーのように綺麗な瞳に涙をためて言った。


ルビーのような瞳? 


え? 


まさか・・・。


「グリシーヌ・・・か?」


「他に誰だと言うのだ。やはり、竜也は私のことなどどうでもいいのだな・・・」


褐色の肌の美しすぎるその女性は、身に纏っている黒くスリムなラインが強調されたロングドレスをいきなり脱ぎだそうとする。


大きな胸がご開帳しそうだ!


「ちょっ! なにやってるのよグリシーヌ!」


「ええい! 放せイリーナ! マリンに言われてこんなドレスなど着た私が馬鹿だった! 竜也を祝うために着たこの服だったが竜也に忘れられていた私などが祝っても竜也は喜ばないだろう! 私は、出家しよう・・・!」

 

「なにわけのわからないこと言ってるのよ! ていうかマスターも黙って見てないで止めてくださいよー!」


 言われて俺は現実に引き戻された。


 「グリシーヌ!」


 「止めてくれるな!」


 「マスターはグリシーヌの人型を初めて見たから驚いてるだけだってばー! だから脱がないでー!」


 イリーナの言葉にぴたっ! 


 と、動きを止めたグリシーヌは俺を見て、


 「そうなのか?」


 と、泣きそうな顔で言った。


 「イリーナの言う通りだ。初めて人型のグリシーヌなんて見たからちょっと驚いただけだよ。グリシーヌのことは忘れたりしてない。グリシーヌは俺の大事な・・・」


 「大事な・・・なに!?」


 いきなり耳を引っ張り笑顔(心の顔は般若)で言う美紀さん。


 「そんなにアレがいいの!? 大きなおっぱいがいいの!? 私だってできることならもっと大きなおっぱいが欲しかったわよー! でもしょうがないじゃない! これじゃ駄目なの!? 私のおっぱいじゃ駄目!? そんなに私のおっぱいは魅力ない!?」


 「そ、そそそそそんなことは、あああああああありませんからー!!!」


 「いまさら取り繕ったって駄目よ! 竜也くんってば、さっきグリシーヌさんのおっぱいに目が釘付けだったじゃない!?」


 「それは・・・」


 それはただ俺の目の位置に大きなメロンがあったからで・・・。


 「まあまあ落ち着いて、美紀」


 そう言って美紀さんをなだめるイリーナの大きな胸を見て、


「イリーナさん・・・あなたも敵よ!」

 

と、言い出した。


 「胸の大きな人はみんな敵だよー!」


 と、そんなとき確実に今以上にこの場をカオスへと導く使者が現れた。


「あれ~? みーちゃんどうしたの~?」

 

「う、うわ~ん! マリン先生酷いですよ~!」


「みーちゃん?」


歩くたびにぷるんぷるん揺れるマリンさんの胸を見て、美紀さんはとうとう泣き出してしまった。

 

「お姉さん、みーちゃんになにかしたかな~?」


 すいませんマリンさん。


俺は心の中で深く謝っておいた。

 

「大丈夫ですよ、美紀。だって美紀には・・・」


 言って、イリーナは美紀さんの耳元でなにやらひそひそと話し出した。


すると数秒もしないうちに美紀さんは泣き止むと、急に顔を赤らめ俺を見る。

 

「ね? だから大丈夫ですよ!」


 「う、うん! ありがとうイリーナさん!」


 「いいんですよー」


 そう言ったイリーナは何故か満面の笑みで俺を見ている。


 「竜也、取り乱してすまない」


 「私もごめんなさい」


 グリシーヌと美紀さんはぺこりと頭を下げて言う。


 「ん~、問題解決したなら~、竜ちゃんとみーちゃんも~、着替えてきて~」


 そう言うと、どこから取り出したのか、マリンさんは黒いタキシードとシルクのロングドレスを俺と美紀さんに渡し、


 「お着替えはあちらで~!」


 と、言うとマリンさんは呪文を唱え出した。


「じゃあいてらっしゃ~い!」

 

そう言って手を振るマリンさんの後ろで、チッと舌打ちをし、俺を睨む軍服姿の怪しいヤツがいた。


ふ~。


お待たせいたしました。


え?  


待ってない?


そうですか・・・。


・・・・・・・・。


と落ち込むのはやめましょう!!


では、本日はこの辺で!!


ご意見・ご感想などがあれば是非に~!!

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