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第二話:美女マリンさん、そして薄情なお母様

はーい!


ということで第二話始まりました~!


車の中はとんでもなく広かった。


リムジンなんて乗ったことないので、いま俺が乗っているリムジンと比較することはできないが、それでも広すぎた。

 

普通の車の何倍あるんだ? 


そういえば車に乗ったのなんていつ以来だったかな?


最後に乗ったのは・・・。

 

「なにか飲む~?」


 「い、いえ・・・」


 「そんなに緊張しちゃってどうしたの~?」


 誘拐紛いなことをなさっている張本人が言う言葉ですか?


 「あの、この車はどこに向かってるんですか?」


 「陵聖学園」


 言葉を失った。


そこは俺でも、否、誰もが知っている日本で唯一の魔法学校だ。


ついでにいうと魔法学校は現在世界で三校しかない。


日本の陵聖、イギリスのホリック、アメリカのキャッスル。


この三校はあまりにも有名だった。

 

「ど、どうして俺がそんな学校に! それよりも俺が魔法を使えないってこと知らないんですか? お姉さんは・・・じゃない、ええーと・・・」


 「マリン・ヘッケル」


 「マリン・ヘッケルさんですか?」


 「そうよ~! で~も~、竜ちゃんだったらマーちゃんでいいわよ~?」


 「はい?」


 「お姉さんはね~、気に入った子にはニックネームで呼んでもらいたいの~」


 「はぁ・・・そうなんですか?」


 「うん! だから呼んで~!」


 「え?」


 ワクワク。


ドキドキ。


そんな期待に瞳を輝かせているマリンさん。

 

「あの、マリンさん」


 「そっか~、やっぱり竜ちゃんはお姉さんのことが嫌いなんだね~。だからマーちゃんって呼んでくれないんだ~。いいわよいいわよ~! それならお姉さんだって~、実力行使になっちゃうんだから~!」



 実力行使って・・・。

 

言って、マリンさんは虫も殺せない力でポコポコと俺の肩を叩いてきた。


 「竜ちゃんの馬鹿~!」


 そんなマリンさんの心からの叫びを聞いた運転手さん(筋骨隆々とした男)が鬼のような形相で俺を睨みつけてきた。


 (マリンさんをマーちゃんと呼ばなければお前どうなるかわかってんだろうな? ああん?)


目がそう言っていた。

 

(わかりました。呼ばせていただきます)


 (よし)


 アイコンタクト終了。


 ちなみに運転は前を見ていなかったのにもかかわらず少しのズレもなかった。


 「マーちゃん」


 そう呼ぶとマリンさんは子供のように顔を輝かせた。


 「俺が魔法を使えないって知ってますよね?」


 五年前に世界中で魔法が使えないただ一人の人間として、世界各国から取材と称して人が押し寄せてきたときのことを思い出していた。


あのときの俺はまるで珍獣扱いされていた。


まあ、そんなことがあったおかげで、いまや俺は世界的な有名人となった。


あまりよくない意味でだが。

 

「知ってるよ~」

 

「それじゃあどうして俺が陵聖学園に連れて行かれるんですか?」


 「どうしてって~、それは~、竜ちゃんが~、これから三年間通う学校だからに決まってるじゃない~!」


 決まってるのか?


 「いやいやいやいや、ちょっと待ってくださいよ! 陵聖学園は魔法使いのエリート中のエリートが通う学校ですよね? そんな所に俺みたいな落ちこぼれが通うなんてイースター島のモアイ像がどうやって作られたかのかってくらい不可解なんですけど!?」


 「あはは~! 竜ちゃんおもしろいこと言うね~!」


 笑い事じゃねーって!


本当になにがどうなってんだ!?

 

「答えは~、竜ちゃんが言った通りの理由だよ~!」


 「え?」


 「エリート中のエリートが通う学校だって竜ちゃんは言ったでしょ~?」


 「はい・・・」


 「だから~、竜ちゃんは陵聖学園に通うの~!」


 「俺がエリート? なにかの間違いじゃないですか? 例えば同姓同名のまったく違う誰かとか」


 絶対にそうだと思ったがマリンさんはあっさりと否定した。


 「ううん、君で間違いないよ~! お姉さんにはちゃ~んとわかっちゃうんだから~♪」


 そう言うと、マリンさんは自身の豊満な胸に俺の顔を半ば無理矢理埋めさせた。


思わずドッキンコ!


苦しい!


でも・・・幸せ~!

 

「あっ! そうだ!」


 と、重大な事実に気づいた俺は、大変名残惜しかったがマリンさんの胸から顔を退かした。


 「陵聖学園って、国立ですけど授業料が果てしなく高いですよね? 俺の家にはそんな高い金が払えるほどの蓄えはありません!」


 するとマリンさんはにっこり笑って、


 「お金のことは気にしなくていいよ~! 陵聖学園が竜ちゃんの獲得権を契約金百億円で取得したから~! 年俸は~、五億円ってことになったんだけど~、お姉さんとしては最低その十倍は欲しかったよ~!」


 キャーキャー喜んだり、プリプリ怒ったり忙しい人だな。


それよりも契約金?


年俸?


しかも破格の額だ。



俺はいつの間にアスリートに転向したんだ?

 

「あの・・・嘘ですよね?」


 「ひっぐ・・・ぐすっ・・・竜ちゃんは~、お姉さんが嘘つきだって思ってるの~?」


 マッチョマン(運転手さん)に、


(テメー! この野郎っ!)


と、再び睨めつけられた。

 

(いや、いまのは仕方ないでしょ? いくらなんでも・・・)


 (んだとごらぁ!)


 (ごめんなさい。マリンさんの仰るお言葉に間違いなどあるはずがありませんでした。どうか愚かで救いようのないわたくしを許してください)


 (よし)


 アイコンタクト終了。


 ちなみに運転は頭文○Dもびっくりのドライビングテクニックだった。


 そんなとき、ダダッダッダダン! ダダッダッダダン! チャララ~! 


 というどこかで聞き覚えのある音楽が流れてきた。


マリンさんは泣くのを中止して胸を弄り携帯電話を取り出した。


そして笑顔で俺に差し出す。

 


「どうぞ~」


 どうぞって・・・。


「もしもし?」

 

『あー竜也? 言い忘れてたけどアンタ天満南じゃなくて陵聖学園に入学することに決まった

みたいだからよろしくね~!』


 「はっ!? 母さん?」


 『それにしても、この親孝行者! アンタは母さんの誇りよっ!』


 「母さん?」


 『あーそうそう! 後のことは全部マリンさんに任せてあるからよろしくね~!』


 「は?」


 『そうだ、マリンさんに代わってくれない?』


 「はあ?」


 『いいから代われ!』


 「わかったよ・・・」


 俺は無言でマリンさんに携帯を渡した。


 「ええ、はい。任せてください! 竜ちゃんは責任を持って預からせていただきます。はい。わかりました、お伝えしておきます。それではよい旅を」


 旅?


 「竜ちゃんのお母様から伝言です」


 そう言うとマリンさんは、おほんと一つ気合を入れて、


 「『これから家族で世界一周豪華クルージングツアーに行ってきまーす!』だって!」


 俺は家族じゃないのかよ!


 なんだか泣きたくなってきた。


どうでしたか?

これからどんどんいきまっしょい!

あっ、同時連載している他の作品も良ければご一読を~!


感想待ってま~す!

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