番外編~第二話~:矢吹虎之助くんの日常でございます(後編)
誰しもが経験したことがあるであろうシリーズ。
ドラクエの主人公の名前を「ああああ」にする。
はい。
では、番外編スタートです!
一三時。
「ちょい遅いけど昼飯でも食おか~」
「そうか」
「えーと、あんな、ちょい聞きたいことがあんねんけど」
「なんだ?」
虎之助は苦笑すると、
「俺はアンタのことをなんて呼んだらええんやろか?」
ふむ、そういえばそうだな。
人間は我らとは違い、個体に名前を求める習性があるのだったな。
「竜也の親友である虎之助ならば、私のことを好きに呼んでいいぞ。光栄に思え」
「おー! ありがとう! そんじゃあ、そうやなー。グリシーヌって名前やし、うーん、なんかあだ名みたいなん付けたいよなー」
「何でもいいぞ」
「よし、そんなら今から俺はアンタのことをブルーメールって呼ぶわ!」
・・・・・・はい?
「虎之助よ。何故にブルーメールなのだ? 私の名前であるグリシーヌとは全く関係ないもののように感じるのだが」
「関係なくなんかない! グリシーヌって名前やからこそのブルーメールや! まあ、アンタは黒で、アッチは青やから違うといえば違うけどな。しかし、せっかくグリシーヌなんて立派な名前持ってんのやから、やっぱりここはブルーメールってあだ名を付けやなあかんやろうと思ったわけですが!」
立派な名前?
ふふふ、私の名前は立派なのか。
いや、流石は竜也の親友だな。
矢吹虎之助。
違いの分かる男だ。
しかし、何故こうも熱く語っているのだろう?
というか、ブルーメールとは何だ?
うーむ、わからん。
奥が深いな。
「・・・あの、やっぱりブルーメールはアカン? はあ、そらそうやわな。てか、このネタは分かる人にしか分からんやろうしな。ごめん、今のナシで。もう普通にグリシーヌって呼ぶことにするわ」
なんだか勝手に解決したようだ。
「虎之助。私をグリシーヌと呼ぶのは、それは私の名前が立派だからか?」
「ん? ああ、うん。そうや!」
「そうか。虎之助よ。私はますますお前のことが気に入ったぞ」
一五時。
少し遅めの昼食を取った虎之助は、寝転がらせていた身体を起こし、大きく伸びをした。
「さて、そろそろ時間やな」
言って、虎之助は部屋を出る。
私もそんな虎之助に同行する。
「どこに行く?」
「誰もいーひん場所やったらどこでも可」
外に出て、歩くこと数分。
「おっしゃ。ほんじゃあ、今日はここでええか」
女子寮とは造りに雲泥の差がある男子寮を出て、虎之助が向かったのは、男子寮のすぐ裏にある森の中だった。
なるほど。
灯台下暗しというやつなのだな。
・・・たぶん、そうだと信じたいが。
しかし・・・なんだ。
竜也やマリンの住む女子寮とは違い、何と言うか、男子寮は中々酷かったな。
建造物の老朽化は当たり前。
クモの巣は張り巡らされていた。
部屋は狭い。
うん、ここまで酷いと何か作為的なものを感じてしまうな。
虎之助には悪いが、竜也が男子寮ではなくて心から良かったと思う。
グッジョブだ。
牛丸普利男!
「ええーと、まずは・・・」
大きく深呼吸を二度繰り返した虎之助は、次に目を閉じた。
すると、虎之助の周囲のマナがまるでダンスでも踊っているかのように、虎之助を中心に回り出す。
周囲のマナは次第に青白く光り出す。
そして、青白く光っていたマナは次第に形を帯びていき、人型となり、さらにそこから麗しい女性の姿へと変貌を遂げた。
現れた女性はどこからともなくブルーシートを地面に敷き、その上に座り込む。
女性は無言で、しかし可愛らしい笑顔で自らの膝をポンポンと叩いて見せる。
その膝の上に、虎之助は頭を載せて寝転がり始めた。
「虎之助」
「ん~? 何や?」
「これは一体何をしているのだ?」
「何って修行やけど?」
「・・・そうか」
竜也よ。
虎之助がお前の友を名乗っても良いものか、私は少し不安になってきたぞ。
その後、五時間余りも虎之助は女性の膝の上で眠りについたのだった。
私は、そんな虎之助に一抹の不安を抱きながらも、虎之助が起きるまでその場で待つのだった。
最近、前書き、後書きに作品内容とはまったく関係ないことばかり書いているのは私の気のせいでしょうか?
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では、本日はこれで。
ご意見、ご感想などございましたら、お待ちしておりま~す!