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第十五話：気まずい空気。さりとて・・・ダージリンおかわり！

どこへ行くの？

さあ、どこへ行くんだろうな？

また・・・会える？

さあな。

そう・・・。

あ、本編とはまったく関係ないですよコレ。

なんかテキトーに書いてみただけです(笑)

では、本編をどうぞ！

「・・・・・・・・・ということがきっかけで美紀と藤堂くんは付き合うようになったのです！」

食事が終わるやいなやすもも先輩はにこやかな顔で、まるでいままで俺と柊さんの間に起きた出来事を見ていたかのように語った。

「すごい・・・藤堂くん、見かけによらず大胆なんだね」

　と、頬を赤らめる朝比奈さん。

　「・・・・・・ほとばしる情熱」

　独り言のように呟く黒崎さん。

　「漢やなー！」

　と、感心した風に言う虎之助。

　「でも・・・私、柊先輩がうらやましいです」

　「うらやましいって、私が？」

　「はい！」

　「どうして？」

　「だってドラマみたいな恋じゃないですか！」

　言った朝比奈さんの瞳は少女マンガに出てくるキャラクターのようにキラキラと輝いていた。

　「あ～あ、柊先輩を見てたらなんだか私も彼氏が欲しくなってきたな～」

　「おっ！　じゃあ俺なんかどうや？　俺もいま彼女絶賛募集中や！」

　「あははー！　もう、矢吹くんたらー、冗談は顔だけにしてね！　さもないとぶっ殺すよ？」

　マリンさんもかなりの毒舌家だが、朝比奈さんはそれを遥かに上回っている。

つーかキツイなー。

虎之助のやつ笑顔のまま固まってるよ。

朝比奈さんの毒舌っぷりに乾いた笑みを浮かべる俺たちだった。

「柊先輩！」

　「は、はい！？」

　朝比奈さんの次なる標的となってしまった柊さんが背筋を伸ばしてちょっと震えていた。

そりゃそうだよな。

教室でのことといい誰も朝比奈さんの大人しそうな外見からは想像もできないだろうから。

かくいう俺もびっくりだ。

「柊先輩はもう藤堂くんとキスされたんですか？」

　「なっ、な、な・・・っ！」

　と、言葉にできないほど動揺する柊さん。

　「す、するわけないじゃない！」

　「おやおや、これが噂のツンデレってやつですか～？」

　ひっひっひ、と怪しい老魔女のような笑いで言うすもも先輩に柊さんは「うるさい！」と睨みつる。

　「えー、どうしてですか？　先輩は藤堂くんと付き合ってるんですよね？　だったら別にキスくらい・・・」

　「付き合ってませんっ！」

　「美紀ー、照れてるからってそんなこと言っちゃ藤堂くんがかわいそうだよ？」

　「本当に私たち付き合ってないの！　もう別れたの！」

　「は？　嘘・・・」

　「本当よ！」

　「いつ？」

　「恋人になった翌日よ！」

　「それはまたどうして？」

　「どうしてって・・・そんなの私が聞きたいわよ！」

　きっ！　と俺を睨んだあと、柊さんは瞳に涙を浮かばせた。

　「藤堂くん・・・」

　「は、はい！」

　「どうしてあのとき私と会ってくれなかったの？」

　あのときと言うとマリンさんに与えられた修行初日のことだよな？

　「竜也」

　それまでずっと話しに加わろうとしなかったグリシーヌが、俺の肩を降りてとことこと柊さんに近づき俺を見て言った。

　「なぜ本当のことを話さない？」

　「グリシーヌ・・・」

　「どういうこと？」

　「うむ、美紀が竜也の部屋を訪れたあのとき竜也は・・・」

　「ストーップ！」

　俺は自分でも驚くスピードでグリシーヌの口を塞いでいた。

　「もが？　もがもがもがもが？」

　竜也？　

何故口を塞ぐ？　

と、言っているみたいだ。

「いいんだよ。タイミングが悪かったとはいえ、その前のことも含めて全部俺が悪いんだから。それに、やっぱり俺みたいなのが柊さんの恋人ってのもおかしな話なんだから」

　「もが・・・」

　竜也・・・と、言っているみたいだ。

　「ねえ、いまのどういうこと？」

　「いや、なんでも・・・」

　いつの間にか俺たちの間には気まずい空気が漂っていた。

若干一名「おじさん！　ダージリンおかわり！」と、幸せそうな顔で言う先輩を除いてだが。

そんななか、黒崎さんが、

「・・・柊先輩かわいそう」

　言って俺を真正面から見据えた。

　「言わないことで貴方は満足しているかもしれないけれど、先輩はそうじゃない。先輩は知りたいと願っている。それに、言葉にしないと伝わらないこともある・・・」

　「マリアの言う通りだ」

　グリシーヌも黒崎さんの意見に頷いた。

気まずい空気がさらに重くなった。

どうしよう。

これってやっぱり俺のせい？　

そんなことを考えていると、扉が、ばーん！　と豪快な音とともに開かれた。

「みんな～！　お待たせ～！　遅くなってごめんね～！」

　マリンさんは底抜けに明るく、のほほんとした声で言う。

俺たちは驚きと気まずさからしーんと静まり返った。

マリンさんはそんな俺たちを見て首をかしげる。

「あれ～？　みんなどうしたの～？　なーんか暗いよ～？」

　「ちょいちょい、マリンの姐さん。あのだね、これは・・・・・・」

　すもも先輩はマリンさんにかくかくしかじかで、といままでの経緯を説明した。

　「そうなんだ～、みーちゃんは～、竜ちゃんとお別れしちゃったんだ～。ふーん、そっかそっか～。それじゃあ～、みーちゃんは竜ちゃんのことはもうな～んとも思ってないのかな～？」

　「それは・・・」

　「それは～？」

　こくりと頷く柊さん。

　「本当に～？」

　「は、はい」

　「ほんと～のほんと～になんとも思ってないの～？」

　こくりこくり。

　「そっか～！　それなら竜ちゃんはお姉さんがもらっちゃうね～！」

　言って、マリンさんのマシュマロのように柔らかな唇が俺の唇に重なった。

さらにマリンさんは舌を入れてくる。

マリンさんの舌が俺の舌を艶かしく絡めとる。

「んっ」

　みんなびっくり。

目が点だ。

つーかキスってこんなに気持ちいいものだったのか。

腰が抜けしまいそうだ。

ふわっとした甘い香りが匂う。

「ぷはっ」

　優しく唇が離された。

　「マ、マ、マーちゃん！？」

　「うふふ～！　どうだった～？」

　「どうって・・・」

　「お姉さんはね～、いますっごくドキドキしてるよ～！　でもね～、それ以上にと～っても気持ちよかったよ～！　竜ちゃんはどうだった～？」

　「お、俺は・・・その、初めてですからそんな余裕は・・・」

　「やった～！　竜ちゃんの初めてはお姉さんがいただいちゃいました～！」

　無邪気に笑うマリンさん。

この人の考えてることはホントいつもわからん。

「マーちゃん！　どうして俺に、その・・・」

　「キスしたの～？　って聞きたいのかな～？」

　「はい。その、こういうことは本当に好きな相手にしかしちゃいけないと思うから」

　「きゃ～！　竜ちゃんかわいい～！」

　いつも通りなマリンさんにいまだけはむっとした。

　「俺は本気で怒ってるんですよ！？　こんなことを軽い気持ちでしちゃ・・・」

　「軽くなんかないよ～！」

　「えっ？」

　「お姉さんの竜ちゃんへの愛は軽くなんかありませ～ん！　お姉さんは～、本当に竜ちゃんのことが好きなの～！　竜ちゃんのためなら世界中を敵に回してもへっちゃらだも～ん！　それくらい竜ちゃんのことが好きなの～！　それに～、お姉さんは～、お姉さんが愛した人にしか唇は渡さないよ～！」

　やばい。

いまの俺確実に顔真っ赤だ。

こんなみんながいるところでこんなこと言われるなんて。

柊さんもすもも先輩も、虎之助も朝比奈さんも、あの常に無表情を貫いている黒崎さんまでもが頬を染めていた。

「で～も～、お姉さんは本気だけど～、やっぱりこういうことは～、お姉さんみたいな～、おばさんよりも～、若い子同士のほうがいいと思うの～！」

　マリンさんがおばさんなら～、俺の母さんは～、妖怪ですよ～！

　「だから～、お姉さんのだ～い好きな～、竜ちゃんとみーちゃんが～、ラブラブ～になるんだったら～、お姉さんは暖かく見守るつもりだったんだけどな～！」

　言ってちらっと柊さんを見るマリンさん。

　「ね～、みーちゃん。どうして竜ちゃんとお別れしちゃったの～？　お姉さんに教えてくれるかな～？」

　「それは・・・」

　「それは～？」

　「・・・だって、私だって勇気を出して藤堂くんに会いに行ったのに、藤堂くんは・・・」

　あのときのことをぽつりぽつりと語りだす柊さん。

すべてを聞き終えたマリンさんは、

「みーちゃんごめんなさーい！」

　と、謝罪の意を表明する。

　「それね～、お姉さんが竜ちゃんに～、そうしなさい～！　って言ったの～！」

　「え？」

　「みんなはもう知ってると思うけど～、竜ちゃんは魔法が使えないの～！　この世界で魔法が使えないのは竜ちゃんだけ～！　かわいそうな竜ちゃん。くすん。でもね～、竜ちゃんは～、魔法よりももっとすご～い力を持ってるの～！　だけど～、竜ちゃんは～、その力の使い方を知らないから～、お姉さんが竜ちゃんに修行を与えたの～！　その修行は～、と～っても繊細なものだから～、誰も竜ちゃんの部屋には入ることができなかったし～、ドアを開けて余分な魔力を部屋に入れるわけにもいかなかったんだ～！」

　「そ、そうだったんですか・・・」

　「そうなの～！」

　いやはや、あの拷問並みに退屈な日々にそんな理由があろうとは。

　「もう教えちゃうけど～、竜ちゃんは～、セレクターなの～！　わ～、ぱちぱち～！」

　せれくたー？　

なにそれ？

「う、嘘・・・」

　「ホントだよ～！」

　「それじゃあ藤堂くんの二つ名って、まさか・・・」

　「そだよ～！　神王だよ～！」

　「え～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～！！！！！！！！！！！」

　学園中に轟くような叫び声を出してよろめく柊さん。

虎之助は口をあんぐり開けて、朝比奈さんは両手で口元を隠し、黒崎さんは大きく目を見開いていた。

すもも先輩だけは「おじさん！　ダージリンおかわり！」と、優雅なティータイムを決め込んでいた。

そんなにここのダージリンはおいしいのか？　

今度飲んでみようかな？　

つーか、せれくたーってなんですか？　

知ってる人がいたら誰か教えてください。

まだまだ続きますよ～！

ご意見、ご感想などがありましたら、お待ちしております～！

ではでは～！