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第十話:マジで照れちゃう。あ、それはくしゃみです♪

前回までのあらすじ。


ごあああああっ!


ずしん!


うわ~死んじゃう~!


あれ?


では、本編をどうぞ。

もう一つの神秘・・・。


それは・・・何?


何ですか?


「召喚術だ」


「召喚術?」


「召喚術というのは術者の魔力を行使してあらゆるものをこの世に呼び寄せる術のことだ。まあ、この召喚術は魔法使いたちでも使おうと思えばいくらでも使えるのだが、その際に呼び出せるものといえば小石一粒程度だろう」


「あの、魔法と召喚術はどこが違うんですか?」


「うむ、魔法も自身の魔力を行使するという点では召喚術と一緒だが、魔法は魔力を餌にして世界中に散らばる、火、風、水、雷、音、土、木、の七大元素を呼び寄せ使うものだ」


「釣りみたいなものですか?」


「まあ、似たようなものだな。そして召喚術だが、これはその場にないものや生き物を自身のもとへ呼び出す術だ」


むずかしい。むずかしすぎる。


「ん? 呼び出すってことなら魔法も召喚術も同じじゃないですか?」


「それは違う。七大元素は常に我らと共にある。竜也の周りにも目に見えていないだけで七大元素はいまも存在しているのだぞ?」


「はあ、そうですか」


「そうなのだ。魔法と召喚術の違いは大体理解できたか?」

 

「まあ、大まかなところは理解できました」


 「うむ、では次の段階の話に進むぞ。先ほど私は魔法使いでも召喚術を使えると言ったのを覚えているな?」


 「はい。でも呼び出せるのは小石だけなんですよね?」


 「ああ。だが高位の魔法使いともなれば我々を呼び出せる」


 「そうなんですか」


 「そうなのだ。さて、ここで突然だが竜也は私のような存在がこの世に存在すると思うか?」


 なにを突然・・・いや、そう言われれば普通に考えてドラゴンなんて空想上の生物がこの世にいるわけないし。


でも・・・現実にはいま俺の目の前にいていろいろなことを教えてくれてるわけだし、いるわけないって考えるのはどうもなー。


いやいや、でも・・・。

 

「ふっ、まあいい。答えは存在しないだ」


 「え? でも、こうやって実在しているじゃないですか」


 「それは竜也が私たちを呼び出してくれたからだ」


 「俺が?」


 ドラゴンはゆっくりと頷いた。


 「我らのような空想上の生物を人は幻想種という。我らは人間が暮らすこの世界のどこにも存在しない。我らが存在するのは精霊界という世界だ。精霊界とは竜也たちが暮らす人間界と隣り合う形で存在している世界だ。そこには人々が空想上の生物と呼ぶものたちがいる」


 そんな世界があったなんて知らなかった。


そもそも魔法を扱えない俺からすれば、いま聞かされた話だって寝耳に水なわけだし、俺の目の前にドラゴンがいなかったらいまの話だって信じてなかっただろうから。

 

「ここまでは理解できたか?」


 「な、なんとか・・・」


 「よし。では少し話を戻すが、高位の魔法使いは我々を呼び出せると言ったが、それは七日七晩召喚術を唱え続けなければ我々幻想種をこの世に現界させることができない。そして、もし我々を呼び出せたとしても、我々が現界したと同時に魔法使いたちの命は奪われる」


 「それは死ぬってことですか?」


 「そうだ。仮にあの魔王マリン・ヘッケルであっても我々幻想種を呼び出すために魂の半分を代償に差し出さねばならない。そのような理由で今では召喚術を使う人間はこの世にいなくなった。言うなれば、召喚術は失われた神秘なのだ」


 「へー・・・え? ちょっと待ってくれ、マリンさんが魔王?」


 「知らぬのか? 彼女は何千年も昔から生きている世界最古の魔法使いだ。彼女は昔から実験が大好きでな、五年前にも新しい魔法の実験をしていたのだが、失敗して世界に魔法が知られてしまったと嘆いていたよ」


 おいおい、それってまさか・・・。


 「もしかしてそれが原因で世界中の人間が魔法を使えるようになったんですか?」


 「そうだ。うん? その反応からするとまさか知らなかったのか?」


 「知りませんでした」


 「他の人間たちもか?」


 「はい、多分知らないと思います」


 「マジで?」


 「マジで」


 静寂の中、ドラゴンは少し考えたあと、


 「いまのなしで」


 「できるかー!」


 「けちくさいことを言うな。それでも私たちのマスターか?」


 「マスター?」


 「そうだ。竜也は私たちのマスターだ。我々幻想種は我々を呼び出した人物を主と認め、その人物に生涯の忠誠を誓う」


 「あの、私たちって私の間違いじゃないですか?」


 「いや、私たちでいいのだ」


 うーん、一匹だけなのに私たち? 


もしかして日本語をあまり知らないのかな? 


まあいいか。


それよりも、いま問題なのはマスターという言葉だ。


ゲームだとこのあと・・・

 

さて、ではいくぞ。

 ↓

 我を見事打ち倒し貴様の力を我に示せ!

 ↓

 ガブッ!

 ↓

 俺、死亡。


 ひいいっ! そんな強制イベント望んでないよ!


 「どうした竜也、顔色が悪いぞ?」


 「あのー」


 「なんだ?」


 「これから『私のマスターならば見事私を打ち倒しお前の力を私に見せてみろー!』っていう展開にはなりませんよね? もしそういう展開があるんだったら、謹んで辞退させていただきたいのですが・・・」


 俺とドラゴンの視線が重なり合う。


ドラゴンは可愛らしく首をかしげて言った。

 

「なんだそれは?」


 「いえ! なんでもありません! 本当になんでもないんで気にしないでください」


 「そうか」


 「はい!」


 よかったよー! 


これで俺の命の心配はとりあえずしなくていいんだ! 


あー、生きてるって素晴らしい! 


ああ、今ならなんでもないようなことがとてもうれしく思えそうだ!

 

「竜也」


 「はーい! なんですか?」


 「うむ。私はお前が好きだ」


 え? 


いきなりのカミングアウト? 


好きだって言ってくれるのはうれしいけど男、いやオスかな? に告白されてもな~。


(ここまでの思考時間0・三秒)

 

「な、なんですか突然?」


 「私は竜也が気に入った。竜也の心はとても澄んでいる。竜也とこうして話をしているだけで癒される。マリンが竜也に惚れたのもいまならわかる」


 照れるな。


真顔で言うんだもん。

 

ドラゴンは笑顔でそう言うと、ちょこんと俺の肩に乗ってきた。


 「いいか?」


 「いいですよ。あっ、それじゃあさっき俺があなたのことを怖いって言ったのは・・・」


 「正直かなりショックだった。泣きそうになった」


 「ごめんなさいっ! で、でも、アレはあなたがいきなり俺たちの前にあんなに大きな炎を吐くから・・・」


 「私は竜也を傷つけるようなことはしないぞ?」


 「でもさっきは・・・」


 「さっき? 竜也はなんのことを言っているのだ? 私はなにも・・・。ああ、もしかしてアレか? アレはくしゃみだ」


 「へ?」


 アレがくしゃみ? 


村を丸ごと焼いてしまいそうな大きな炎がただのくしゃみ?

 

「あのときは急に鼻がむずむずしてな。確かにアレは私が悪かった」


 「は、はあ・・・」


 「これで謎は解決したな。よし、では行くぞ」


 「はい?」


 「時間を確認してみろ」


 そう言われて腕時計に目を移してみると時刻は九時三十九分だった。


俺の入学は三十九分前に取り消しになっていた。

 

「あああああああああああっ!」


 「騒ぐな」


 「だって、だって、俺の青春が・・・」


 「大丈夫だ」


 「えっ?」


 「我に秘策あり」


 笑顔でぐっと親指を立ててみせるドラゴン。


 「秘策って?」


 「それは見てのお楽しみだ。話している時間がもったいないな。急いで竜也を送ろう」


 「ありがとうドラゴン!」


 「グリシーヌだ」


 「グリシーヌ?」


 「私の名前だ」


 「女の子みたいな名前ですね」


 「なんとでも言え。私がつけた名前ではないから気にしないよ。この名前をつけたのはマリンだ」


 ああ納得。


 「グリシーヌと名乗らないとマリンが号泣するので仕方なく・・・だ」

 

その光景を想像して俺は苦笑した。


グリシーヌも苦労してるんだな。


頑張れグリシーヌ。

 

「では行くぞ。竜也しっかりつかまっていろ」


 グリシーヌはそう言うと巨大な漆黒のドラゴンへと姿を戻した。


両翼を激しく振り回すと、すぐに高度は上昇していった。


雲の上の世界なんて始めて見たよ。


でも・・・。

 

「できれば低空飛行でお願い。俺高いところすっごく苦手なんです」


 「そうか。だがこれ以上低く飛ぶことは無理だ」


 「えー!? どうして!?」


 「これ以上低く飛ぶと下に被害が及ぶ」


 「そ、その被害はいかほど?」


 もしそんなに酷くなければ是非降下していただきたい。


 「そうだな・・・。大型台風が上陸したあとの街の様子を想像してくれ」


 うーん、テレビで見たことあるけど台風の被害って酷いよな。


そこまでして高度を下げてもらわなくてもいいかな?

 

「想像できたか?」


 「うん。やっぱり・・・」


 「高度を下げたときの被害は竜也の想像した被害のざっと十倍だな。どうする? それでも私はマスターが下げろというなら・・・」


 「ごめんなさい・・・」


 「そうか?」


 俺は危うくこの土地を根絶やしにしてしまうところだったらしい。


 「見えた。あそこだな」


 グリシーヌが見つめるその先には、すもも先輩に案内してもらった城にそっくりな城があった。


あそこはすもも先輩曰く体育館だという。

 

「なあグリシーヌ、秘策ってなにかそろそろ教えてくれない?」


 「ふふ、まあ見ておけ」


皆さまいかがでしたでしょうか?


少しでもおもしろいと思っていただけたなら幸いでっす!



うん。


あと、感想などございましたら是非に。


お待ちしておりま~す!

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