第八話:テンションが高過ぎる先輩はどうですか? そうですね。
う~ん・・・この作品は、感動する内容になっており、純文学的な・・・。
うん、何も考えないで読んで頂ければよろしいかと。
では、本編スタート!
「着いたよ」
どこをどう移動したのかわからなかった。
気が付くと俺は大きな扉の前に立っていた。
「藤堂くんから先に入って」
こくこくと頷く俺。
しかし、扉の重さときたら尋常じゃなかった。
「トビラ、アカナイ」
緊張のあまりカタコト語になってしまう俺。
「ああ、そうだったね。ちょっと待ってね」
するとすもも先輩は扉の前で両手をかざし、開けごまみたいな呪文を唱えた。
「リラック・アルム・ゼロス」
ゴゴゴゴッ!
鉄と鉄が擦れるような甲高い音を立てて扉が簡単に開いた。
「さあ、行こう?」
そう促されて入った先には城があった。
その城は全体的に丸く、城の周りには円柱のような塔が間隔を空けて城を囲うように建っていた。
さらに、その城の遥か先には目の前にある城と似た形の城がぼやけて見えた。
ここからだとかなりの距離があった。
「藤堂くんが行くのはあそこよ」
唐突に遥か先にある城を指差すすもも先輩。
どうやってあんな遠い場所に行けっていうんだ?
まさかとは思うが徒歩で?
いや無理です。
車があってもかなりの距離だというのに徒歩でなんて無理無理!
「あーそうだ。言い忘れてたけど、藤堂くんだけは入学式が始まる九時までにあの場所に着かないと入学取り消しだから」
「は?」
「だからね、入学式が始まる九時までにあの遥か先に見えるお城みたいな体育館に着いてないと入学取り消しなの」
同じような内容を笑顔で言ってくれるすもも先輩。
それよりもあの城が体育館?
それじゃあ目の前にあるこの城はなに?
「じゃあねー!」
「ちょ、ちょっと待って!」
「なに?」
「なに? じゃないですよ! どういうことですか!? どうして俺だけが時間までにあの城に着いてないと入学取り消しになるんですか!?」
「そんなの私だって知らないよー」
「知らないって・・・」
「だってマリンの姐さんが『これも~、竜ちゃんのためなの~! お姉さんもと~っても辛いけど~、仕方がないの~! くすんっ。だって~、竜ちゃんって~、すご~いのんびり屋さんだから~、お姉さんが~、竜ちゃんのお尻に火をつけてあげないといけないかな~? なんて思っちゃったんだ~! きゃあ~! お姉さんいまお尻って言っちゃった~! もう~! あっ! というわけだから~、竜ちゃんをお願いね~! すーちゃん!』って、私は言われただけだからね」
なんつーことしてくれんだよマリンさん!
せっかく入学できると思ってたのに!
俺の本当に些細でちっぽけな人生設計をここまで粉々に砕く必要がどこにあるっていうんだよ!
マリンさんのあほー!!!
「あっ、そうそう! いま八時十五分だから、あと四十五分ねー!」
「そんなの絶対無理ですよ!! だって俺魔法が使えないんですよ!? 魔法もなしで四十五分であそこまでなんて・・・」
「大丈夫、大丈夫!」
そう言うとすもも先輩は真剣な顔で俺の目の前に人差し指をピンと立てて言った。
「マリンの姐さん曰く『なんとかなるよ~! だってね~、竜ちゃんは~、お姉さんの竜ちゃんだも~ん!』だって!」
なんの根拠にもなってねーよ!
いまの話の中のどこに大丈夫な要素が入ってるって言われるんですか!
つーか誰もあんたの竜ちゃんじゃねーよ!
「ほら! 早く行かないと時間無くなっちゃうよ? 私もこんなこと初めてだったから緊張しちゃってさー!」
「なんだ、初めてってそういうことだったんですか。俺はてっきり・・・」
よかった。
俺がほっとしてそう言うと、すもも先輩はいじめっこ独特のオーラを発してにやにや笑い出した。
「あれ~? てっきり藤堂くんはなんだと思ってたの~? も・し・か・し・て~、すごくエッチなことを想像していたのかな~? そうだったら期待させてごめんね~! そっかそっか! やっぱり男の子はケダモノなんだね!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!」
声にならない声で叫ぶ俺。
わざとだ。
この人絶対わかっていてわざと勘違いするような言い方をしたんだ!
「あははははっ! ごめんごめん。それにしても藤堂くんはホントかわいいね! うんうん! 私、個人的に君のこと応援してあげちゃうよ! これから学園生活でもそれ以外でも困ったことがあったらなんでも相談してきなさい! 特に、恋の悩みならいつでも相談に乗るよ! それじゃあ私はこれにて御免!」
すもも先輩は忍者みたいな台詞を残して忍者みたいに消えていった。
最後までハイテンションな先輩だった。
どうでしたでしょうか?
少しでも皆様の暇つぶしになれば幸いでっす!!
感想などもお待ちしております!