表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/23

気分はピクニック

塔の地下。ダンジョンの中は基本的に5階層までは洞窟の様な環境だ。

壁が光っているのか知らないが、何故か光源が無くても視界は確保出来る不思議。

でも道は狭いし、音は反響するから敵の位置も音では判断しずらい。

なので明るいからといって無警戒でいると思わぬ事故にあうだろう。

そもそもダンジョンにいるのに無警戒なのはアホのやることな気もするが。


今日探索を始めるのは6階層。

駆け足でここまで来たのでまだ時間に余裕はある。


まぁ環境の話をしたことから察しがつくとは思うが、ここは洞窟環境とは違う環境が広がっていた。


「おー。まぁた広い草原だこと」

『道はあるのね』

「道って言うか、なんというか」


広がっていたのは草が生い茂る草原。消して笑っているわけではない。

そこに一部だけ踏み固められた様な、土の道が出来ている。

ここを進めということだろう。

勿論。洞窟と違って草の部分でも進むことは出来るのだろうが。


『罠とかは・・・魔法的な物は無いわね』

「まぁ態々行くことも無いだろ。今はまっすぐ行ってみようぜ」


こんなに分かりやすく道を用意してくれてるなら使わせてもらおう。

勿論。これが罠って可能性も疑わなければいけないが、進まないことには分からないだろう。

ならまずは目につくところからだ。


歩いてみると分かるが、やはり洞窟と気分的には歩くのが楽しい。

どこみても土土土だからな。洞窟環境は風景が変わらないからつまらない。


大して草原環境では少なくともちょっとは変化がある。

時々分かれ道があったり、一部では花も生えてたり。


『それ。ポーションの材料よ』

「早く言って?」


思わず戻って採集しておく。

作り方何て分からないけど、きっと魔法と同じくポーションの作り方とか教科書があるに違いない。


『ポーションは錬金術の方じゃない?』

「ゲームとかだと調薬とは別のスキルになってることもあるけどどうなのよ」

『うーん。少なくとも私は知らないわね』


じゃあ錬金術入門とかになるのか?

ちょっと興味あるなぁ。そう言う方面はさっぱりだし。

あ、でも俺読んでも使えないやんけ。


「死蔵だな」

『他のと一緒ね』


それでも摘みますけど。花壇とかに植えたら生えないかな。


数束分摘んで、袋に閉じて鞄に入れておく。

あんまり長くいれてると萎びそうだな。

帰り際に摘めばよかったかも。


「そういやここでまだモンスター見てないな」

『遠くにはいるみたいだけれどね』

「ん?どっちだ?」

『あっちよ』


左を確認してみる。ぱっと見は何もいないが、遠くを見ると草陰に何かが潜んでいる。

背丈の低いモンスターなのか?


「良く見つけたな」

『景色ばかりに目を奪われすぎなのよ』

「サーせん」


モンスターが隠れているのは道から少し外れた場所。

こちらに来ないなら、俺から向かう事も無いかと一瞬考える。

だがどこにどんなモンスターがいるかを把握するのは重要な事だろうと思いなおす。


「方角だけ見失わない様にしないとな」

『そんなになるまで苦戦するとは思わないけど?』

「念のためだよ」


こんなところで俺が苦戦するとは俺も思ってない。

慢心の様にも聞こえるが事実だから仕方ない。

よしんば慢心だとしても油断はしてないからセーフだ。


敵の隠れている方向に歩くと更にあることに気が付く。

どうも周囲に2,3体程一緒に隠れているらしい。


群れで行動するモンスターか。

武装していたゴブリンも集団で動いていたが、ここからはこれがデフォになるのか?

面倒だな。苦戦しないが面倒だ。

特に小物の大群とか最悪だぞ。


俺の戦い方って、どちらかと言えば大規模破壊とかが得意なタイプだし・・・まぁ困ったら考えよう。


『来るわよ』

「分かってるさ」


草むらから3つ影が飛び出してくる。

犬の様に見える、ぼろい鎧を纏ったモンスター。


コボルト かな?


何でも良いけど。


「ふんっ!」


ハンマーに変化させたグラディスで1匹潰す。

そしてすぐに短槍に変化させて右のコボルトの喉を突き刺す。


最後に残ったコボルトは一回わざと腕に噛みつかせた。

だが牙が俺の肉を食いちぎることは無い。


「鋭いな」

『でもやっぱり駄目ね』

「期待もしてないって。おらっ!」


首元に槍を刺すと、噛みついていた力が弱くなり地面へと落ちた。

死体が消えてドロップしたのは魔石と皮だった。


「意外と速かったか」

『それに普通の犬よりは強いわね。流石はモンスターって所かしら』

「そうじゃなきゃ流石に拍子抜けするって」


戦った奴らの大きさは大体中型犬を二足歩行させたくらいの身長。

爪や牙は分かりやすく鋭い。

今は飛びかかって来た所を即殺してしまったが、彼らの長所は恐らく敏捷性だろう。

周囲を集団で囲まれて襲われたら一気に危険度が増しそうだ。

次見つけたら今度はわざと囲まれてみようか。


『って貴方。服に穴開いてるわよ』

「え?あ、やっべ」


気を抜きすぎていたか。


俺の体はダンジョンに潜っている間はずっと魔力による強化がされている。

お陰で身体能力は強化無しと比べると数倍程上だ。

グラディスを使えばさらに上げる事も出来る。


この強化なのだが、防御力は強化されない。

正確に言うと全くされていないわけではないのだが、人間の肌の問題でさほど差が生まれないのだ。

何せぷにぷにだしな。筋肉はそれなりに硬くは出来るけど。


そこで使っているのが魔力で肉体を覆う技。

肉体強化は魔力で体全体を満たす様に行う為別物なのだ。

俺はこの魔力で覆う行為を『魔装まそう』と呼んでいる。

初めてこれを使えるようになった時のイメージが魔力で作られた服を上から着るイメージだったからだ。

ちなみに肉体強化は『魔填まてん』と呼んでいる。


『魔装』での防御力上昇は結構難しい。

物理的な防御力を生むために魔力をかなり圧縮しないといけないからだ。

俺は修行の成果としてこれをある程度無意識でも維持できるようになっている。

だが今みたいに気を抜いてるといつのまにか服が解れる様に解除される場合がある。

今着ている服に穴が空いたのもその部分だけ『魔装』が剥がれていたから自業自得なわけだ。


「それはそうなんだけど面倒だなこれ」

『貴方。縫物は出来て?』

「家庭科の授業くらいならまぁ。グラディスは?・・・出来るか」

『当然ね。花嫁修業はさせられてたし』

「縫って」

『その為に態々出すものじゃないでしょ』


その辺は気軽で良いと思うんだけどなぁ俺は。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ