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都会のど真ん中にあると邪魔

魔剣と聞いて、何を思い浮かべるだろう。

恐らく神話に出てくる様な名前を思い浮かべるだろう。


後は使用者に厄災を与えるとかか。

無残な死を迎えたり、魂を吸われたりと。

とにかく、あんまり魔剣に対して良いイメージはないだろう。


かくいう俺はどうかと言うと、そうでもなかったりする。

何せガキの頃に出会ったからな。


永遠を誓い。共にあることを決めた彼女と。















新宿東口駅前付近



「人多いなぁ」

『交通網が止められてるみたいね』


新宿駅の東口から少し離れた所。

歌舞伎町が近いそこは普段から人が多い。


だが今日はその比ではない。

電車が止まってるからバスやタクシーを待っている人達が大勢立ち往生しているのだ。

そしてそれ以上に、新宿に出現した謎の塔を身に来た野次馬で一杯。


まぁ俺も似たようなもんだから人の事は言えないんだけど。


「それで?どうなってそうだ?」

『分からないわね。魔力が思ってたより多いくらいかしら』


テレビで見て得た情報から追加は無さそうか。

だが魔力が多いってのは何なんだ?

それで不都合があるようには思えないが。


独り言を聞かれても困るので、その場を離れて何とか人がいない小道へと移動する。

そこからでも塔は見えるので何かあってもすぐに動けるだろう。


「魔力が多いとどうなる?」

『周囲の動植物は影響があるけど、ここ建物ばかりだから』

「爆発したりしないのか?」

『まぁすることもあるけれど、それが起こる前に壊れるんじゃないかしら』

「じゃあ危険が迫った感じではないと」

『そうね。外から見た所はだけれど』


はぁ。やっぱり中に入り込まないとだめか。


塔にある入口は一か所。一番上には赤い巨大な宝石の様な物が嵌めこまれている。

大きな門が備え付けられている。何の出入りを想定してるんだか。


その門は今、自衛隊により封鎖されている。

しかも近寄れない様に周囲も結構な範囲で同じような事になっている。

その為近寄ることは当然出来ない。塔の中に入るなんてもってのほかって感じだ。


周囲で何か騒ぎが起これば、ワンチャン包囲のどこかに穴が空くかもしれないが・・・


『強行突破する?』

「却下で」


そんなは面倒だし、まだ捕まる様な事もしたくない。

出来ないとは言わないし、間違いなく余裕だけど絶対にしません。


でも中に入れないと始まらないって話はある。

こっそり隠密行動すれば・・・


その時、空の色がまた濃くなった。


「あ?」

『これは・・・』


塔の方を見ると、宝石が強く輝いている。

そしてその輝きが強まると同時に魔力が強まっていく。


さらに、塔に溜められた魔力が急激に減少していく。

何かに使われたか。


『地下・・・いや。下からね』

「は?何が?」

『塔に近づきなさい。あと戦闘準備』

「説明しろって全く」


だが何かが起きているのは間違いない。

彼女の言う通りにして、装備を展開する。

周りから見たら、顔まですっぽりと覆われているフード付きのジャケットって感じか。

そこまで上等な物ではないが、正体を隠す為なら十分。


そして塔に近づく為に、上から自衛隊の包囲を突破することに。

ビルの窓やパイプを利用して駆け上がり、高度を十分に取ってから空中で加速する。


あっという間に自衛隊を突破し、塔に一気に近づけた。

もちろんその様子はしっかり野次馬たちに見られていたが、顔を隠しているので問題なし。


「来たぞ」

『良いタイミングね』

「だから何が・・・ッ」


塔に接近することで俺もようやく気が付いた。

塔の中から何か出てくる。

まさに塔の下から塔の魔力とは違い何かの魔力が上がってきているのだ。

それもとんでもない勢いだ。まるで間欠泉のように。


「そこの男!両手を上げろ!!」

「言ってる場合か馬鹿が」

「なっ!?」

「グラディス!!」

『はーい』


塔から怪物が現れる。

尾が蛇の獅子や、ミノタウロスと思われる牛人間。

ゴブリン。オーク。アラクネ。様々なモンスターが現れた。


このままではまずいと、急いで彼女を・・・『グラディス』を構える。


魔剣『グラディス』

俺の相棒であり、半身であり、恋人である。


グラディスを直剣として出現させて構える。

このままでは、恐らく周囲にいる自衛隊と野次馬たちが襲われる。


既に塔から出てきたモンスターのせいで自衛隊の統制が乱れかけている。

そんなことしてる前にさっさと逃げて欲しいんだがな。

まぁそれが出来たら苦労はないんだろうが。


でもどんな装備でもワンチャンこいつらに勝てない可能性が高いのだから、何事にも例外が・・・いや。こいつらそれが分からんのか。


「しゃーない。薙ぐか」

『大盤振る舞いね』

「目の前で死人が出るよりマシだわ。それに」

『それに?』

「・・・平和が良いとは言ったけど、何だかんだ楽しみだしな」

『フフフ。正直な所は好きよ』

「知ってるよ」


こちとら10年以上だ。

存分に楽しませろ。

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