帰還
お泊まり会最終日になり、筑紫は荷物と貰ったお土産を纏めていた。紗夜は沢山持たせたいのを我慢して選んだ。
、
「帰したくありませんわ……」
「ゲーム内でも会えるでしょ。二学期始まったら一緒だし」
「そうですわね……気をつけて帰ってくださいね? 車を出しましょうか?」
「お姉ちゃんが出来たみたい……一人で大丈夫だから」
「ふふふ、妹にしても良いのですわよ?」
「ならないよ!」
そして筑紫は自宅に帰り、荷物を降ろして早速ゲーム内に入った。お土産の中身は約束の高級チョコケーキや、ルビーのペンダントだった。
サヤも少ししたらログインすると連絡が来た。ニャイアルはウルルを召喚して早速街の外へと向かう。その途中でこの様な会話が耳に入った。
「おいあの人……」
「前にPK集団を壊滅させたうちの一人だろ? 思ってたのより可愛いな」
「配信もやってるらしいしな、ちな昨日の配信で耳痛くなった」
ニャイアルたちのことが少し話題になっていたのだ。更に耳を澄ますと似たような会話が幾つか聞こえて来る。
一部の掲示板でも話が出ているのだが、本人は基本的に見ないため気づくことはない。そこまで深く考えず聞き流していった。
地割れエリアは特に変わりはなく、木に果実がまた実っていた。
「食べる?」
「ワゥッ!」
近くにあった果実を渡すと一瞬で食べてしまった。もう何個かあげると満足したのか駆け回っていた。それと同時に複数のロングモンキーも迫っていた。
「しばらく戦ってなかったし倒せるかなぁ……」
「グルルルル!」
スナイパーライフルを構えて一番接近していた敵の頭を狙う。ロングモンキーの頭部は大きくないのに加え、よく揺れるので一発で仕留めるのは困難なのだ。
「すーはー……ここ」
五メートルまで接近されたところで引き金を引いた。ジャストタイミングで放たれた魔弾は頭部のど真ん中へと吸い込まれ、ヒットする。
「ガァッ! ガゥウッ!」
「キーッ?!」
ウルルも長い手足を掻い潜って懐へと潜り、首を切った。他のロングモンキーも同じように倒されていき、経験値へと変わった。
「ふぅ、問題ないね」
「ワゥッ」
一旦街へと戻ると丁度サヤがログインした。
「先ほど振りですわね」
「今日は何する?」
「忘れていた冒険者ギルドの依頼をこなしてランクを上げなければいけませんわ。ある程度まで上げていれば当面の目標の家を買う時に値段も下がるみたいですので」
「僕も冒険者ギルドのこと忘れてた?!」
「Cランクまではサクサクと上がるそうなのでそこを目標としますわ」
「はーい」
冒険者ギルドの依頼を二人合わせて六つ受けて、再び地割れエリアへと向かうのだった。
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