お泊まり会 その5
「おはよ……」
「おはよう御座いますわ」
朝七時、二人は同時に起きる。筑紫の方は一晩中抱き枕にされていたのもあってか顔が少し赤い。ちなみに寝顔はしっかりと撮られていた。
朝食を摂って雑談をしていると宅配便が来た。そしてそれは紗夜の私室へと運ばれる。その荷物はあまり大きくなく、軽かった。
「何来たの?」
「早速開けて見ましょうか」
彼女は丁寧に中の物を取り出す。そしてそれを見た筑紫は小さい悲鳴をあげてしまった。
「そ、それって……」
「ホラーゲームで有名な所が出した最新作ですわ♡」
「ねぇまさか僕が一人でやるゲームって」
「これですわね、覚悟の準備をしておいてくださいね」
「やだよ?!」
「そう言えば今日のデザートは高級チョコケーキ」
「分かったよ! や、やる!」
「ふふ、その意気ですわ。配信時は私が横に居ますので安心してくださいね」
「何も安心できないけど……」
「気のせいですわ」
配信時間までは、紗夜に頭を撫でられメイドたちにマッサージなどで癒されながら精神を落ち着かせて待機している。
待機場のコメントも期待の声が多かった。初めての筑紫がメインの配信と言うこともあり五百人は集まっている。
「ほ、本当にやるんだよね?」
「案外怖く無いかもしれませんわよ?」
「あんなパッケージのやつ絶対怖いじゃん!」
「大丈夫ですわよ、きっと」
「きっとは大丈夫じゃないよね? ね?」
「……頑張れですわ♡」
「悪魔だ……」
そうこうしている内に時間になり、配信が始まる。ゲーム内で無くても配信機能は使える仕様なので問題ない。
筑紫は怖さでまだゴーグルを被ってもいないのに紗夜の声が聞こえていなかった。ちなみに配信画面はゲーム内のサヤとニャイアルをメイドが書いた絵を貼っている。
「ニャイアルちゃん、心意気はありますでしょうか?」
「早く終わりたい」
「ではやっていきましょうか」
画面はゲーム内へと変わり、ついに始まる。ニャイアルが今からやるゲームはクロック◯ワーと◯IRENを掛け合わしたような物だ。
最初は次の場所に行くために屋敷を脱出すると言うストーリーだが既に悲鳴をあげていた。
「追いかけてこないで! こないで! たすけて!!」
名無しさん:ホラー耐性皆無でワロタ
名無しさん:怖がりにこの会社のゲームやらせる辺り性格良い
名無しさん:可愛い
名無しさん:鼓膜破れるww
勿論ニャイアルにこのコメントを見る余裕など一切ない。逃げ惑い迷子になって弱音を吐きながらなんとかゲームを進めて行くのだった。
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