お泊まり会 その4
二人はお風呂を上がった後、大型の最新式のテレビで映画を見ることにした。ジャンルはホラー映画で◯子のDVDだ。
「怖いのはどうでしょうか?」
「だ、大丈夫! ポップコーン持ってきたけど食べる?」
「食べますわ」
と筑紫は言ったが背筋は既に固まり、声は強張っていた。紗夜はそれを見て見ぬふりをして再生し始める。ちなみにポップコーンはキャラメル味だった。
そしてしばらく経った頃、怖いのを我慢出来ているつもりの筑紫に限界が来た。その理由は俗に言うかなり怖いシーンが来たからである。
「や、やだぁっ?!」
「あら……ふふ、怖くないですわよ?」
「怖いって! 怖いから!!」
「まだ怖いシーンありますわよ?」
「う、嘘だっ……?!」
紗夜の腕に抱きつきながら悲鳴をあげている。そんな半泣き状態の筑紫は逃げようとするがいつの間にか背後に居たメイドたちの手によって優しく捕らえられた。
「ぅ……」
「逃げたらダメですよ筑紫様♡」
「訓練だと思って見てくださいね♡」
「やだ!」
「小さい子供みたいで可愛いですわよ?」
「ぁ……う……」
羞恥心や恐怖でボロボロになりながらエンドロールを迎えた。一人では歩けないほど震えており、人前に出れる様子ではなかった。
「ちゃんと最後まで見れて偉いですわ。よしよし」
「も、もういやだぁ……」
「今度からはもう少し怖くないものを」
「だからホラージャンルがダメって僕言ってる!」
「ゲーム内では多少怖い敵が出てきても驚いていませんでしたが……」
「反撃手段がないのとあるとじゃ違うから」
「そう言うことでしたのね……」
「うん」
そのまま手を繋ぎながら洗面台で歯を磨いたあと、ついにベッドへと二人で入る。少し狭いがしっかりとくっつけば問題ない広さだった。
「恋バナに入る前になんでこんなに素直なのか聞きましょうか」
「……恩返し、かな。今までずっと迷惑かけてきたし色々お世話になったから」
「ふふ、筑紫ちゃんは昔から根はとっても優しくて可愛いのは変わりませんわね。普段でももっと素直になって良いのですわよ?」
「そ、それはなんか違うって言うか……」
「恥ずかしがらなくても良いですわよ?」
「意地悪……は、早く恋バナに移ろうよ!」
「……ふふ、そうしましょうか」
紗夜は何か悪巧みを考えた後にそう答えた。
「筑紫ちゃんは彼氏は居るのでしょうか?」
「居るわけないじゃん、紗夜は?」
「私も縁がありませんわ」
「それ断ってるからでしょ」
「私の胸を見て告白してくださる殿方とは申し訳ありませんが付き合えませんわね。筑紫ちゃんと付き合いたいくらいですわ」
「ぼ、僕女の子だよ!」
「あら? 女の子でも問題ないですわよ?」
「色々その……あるでしょ……」
紗夜は筑紫の耳に口を近づけてこう甘い声で囁いた。
「筑紫ちゃんは大好きですわ」
「さやっ?!」
「ふふふ……顔が真っ赤ですわよ?」
「み、見ないでよ……」
この後も何回か囁かれながらその夜は過ぎていくのだった。
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