お泊まり会 その3
トッピングを二枚とも終えて、残りは焼くだけになった。キッチンには石窯がしっかりと用意してあるので本格的なのだ。
その間二人は別々の理由で無くなった体力を回復させながら待っていた。メイドたちも入り口からチラチラと見ているが筑紫は突っ込まないことにした。
「夏休みももう終わりかぁ……ログイン出来る時間減っちゃうね」
「そうですわね……配信も深夜帯メインになりますわ」
「そいやVRゴーグル持ってきたけどここでもゲームするの?」
「いえ、筑紫ちゃんには少しだけ別ゲーを配信してもらうかと思いますわ。まだゲームが届いていないのでその時までお楽しみですわね」
「ちょっと怖いんだけど……」
「……ふふ」
「だから怖いって!」
そんな会話を皿などを用意している内にピザが焼けた。見た目は今まで見たどんなピザよりも美味しそうだと感じる。
そして私室に運ぶといつの間にか少し大きめの机と二人分座れるソファーが用意されてあったのだ。彼女たちはそこに座って早速食べ始める。
「いただきまーす」
「いただきます」
「熱っ?!」
「ふふ、猫舌ですわね」
「だって美味しそうだもん。ふーふー……」
「かなり美味しいですわね。たまにはこう言うのも良いですわ」
「だね、あつつ……」
「筑紫ちゃん、あーん」
「はむっ……」
「可愛いですわ、写真を撮っても良いでしょうか?」
「ん、良いよ」
「感謝しますわ!」
何処から取り出したのか分からないカメラでパシャリと一枚撮り、紗夜はこれまでに無く微笑んでいた。なおメイドたちのやる気も数十倍に跳ね上がっている。
「お腹いっぱい……」
「いつもより食べれて偉いですわ」
「うん、凄く美味しかったし」
「この後は一緒にお風呂に入りましょうか」
「一緒に?! まぁ良いけど」
(今日はやけに素直ですわね、何かあったのでしょうか?)
紗夜はそう考えるも何も分からない。ただ筑紫が嬉しそうにしている姿を見て自分も喜ぶだけだった。そして全てのピザを食べ終わり、少ししてから入る。
二人は一緒に服を脱ぐが、筑紫は紗夜の胸と自分の胸を比較してしまった。
「発育……」
「何か言いましたでしょうか?」
「ナ、ナンデモナイヨ」
「……きっと育ちますわ」
「……」
顔に出ていたのか一瞬でバレた。少し筑紫は落ち込みながら浴室に入る。
「広くない?」
「私の父は温泉好きなのでこうなりましたわ、流石に効能までは再現出来なかったと泣いておりましたが。それにメイドたちも使うためでもありますわね」
「にしても凄いよ……」
それなりに広くホテル等の温泉を小さくしたような感じだった。筑紫は落ち着かないまま紗夜の隣へと座られる。
「頭はちゃんと洗ってあげますわ」
「う、うん!」
「髪と頭皮のケアはしっかりとしないとダメですわよ?」
「だって面倒だし」
「……えいっ」
「ふぁっ?!」
「頭皮のマッサージも追加ですわね」
「変な声出るからやひゃぁっ?!」
数分後蕩け切った筑紫を介護するように身体まで洗った紗夜の姿があったとかなかったとか。色々ありつつも湯船に浸かって疲れを癒す。
「「ふぅ……」」
「今日の筑紫ちゃんはやけに素直ですわね?」
「そ、そう?」
「いつもは色々理由を付けて嫌がってますが……けれども素直な方が好きですわよ?」
「は、恥ずいって」
「ふふ、詳しいことは後で聞きましょうか」
のぼせないない程度で上がった二人は髪を乾かし合ったりしながらベッドへと向かうのだった。
読んで頂きありがとうございます、百合って良いですよね




