レベル上げ
PK集団が動き出す二日前になった。メイドたちとレインもある程度動けるようになり、戦力としては申し分ない。
後はどれだけレベルを上げられるかだろうとニャイアルは思う。レインパーティーはボスの周回で、カナルたちの方は雑魚を狩っていた。
少なくともギリギリで第三の街には間に合いそうな勢ではあった。
「最後は自分たちだけの力でボスを倒して、落ち着いて狙えば難しくないはずだから」
「必ず間に合わせてみせます」
「が、頑張る!」
「僕もレベル上げはしときたいから一旦離れるね」
そしてニャイアルはメイドたちとレインを信じてその場を後にし、第四の街へと行った。ビッグワークは一人ではキツいのでMP回復薬だけ買ってスキップした。
早速地割れエリアへと向かい、ウルルを呼び出して狩りを始めた。上の方は敵があまり多くはないので下に降りる。
すると早速新しい敵が襲ってきた。
「ウルル、動き止めて」
「ワゥッ!」
それはウルルほどの大きさの褐色の蛇だった。ウルルは指示通り爪を食い込ませ、地面に押しつける。蛇の敏捷性は高くないのか翻弄されていた。
「《チャージショット》」
最大までチャージされた魔弾がその小さい頭部に直撃し、蛇はポリゴンの欠片となった。さらに奥に進むと、レモンのような果実が地面に落ちていた。
「何これ?」
形はレモンだが色はピンクなのだ。鑑定をしてみると名前が表示される。
ピンモンの実
効果:食べるとHPとMPが20回復する。加工すると効果が上がるかもしれない。
説明:稀に薄暗い場所に生えていたり落ちていたりする貴重な実。
周りを見渡すとピンモンの実が生えている底木を発見したのだ。回収出来たのは全部で五つだった。
(サヤが加工出来るかな?)
探索を再開しようとするとニャイアルは上の方から何かの足音を聞き取った。そして何かを引き絞る音も同時に捉える。
「やっば?! ウルル避けるよ!」
それは弓を引き絞る音だと分かった瞬間、飛び込むようにしてウルルと共に近くの偶然合った岩の近くに伏せる。
上を見るとそこには弓を持ったゴブリンが複数体居た。何が原因で見つかったのかは分からないがニャイアルは銃を構える。
「《ボムショット》」
「グギッ?!」
「ギャッ?!」
二体巻き込んで倒したが、まだ残っている。もっと数を削りたかったが、それよりも先にゴブリンが矢を打った。
「時間かかるのは嫌だしなぁ……ウルル、引きつけてくれる?」
「ガゥッ!!」
そう言うとウルルは飛び出してゴブリンたちのヘイトを買った。すると狙い通りニャイアルことは眼中になくなったのだ。
「《ボムショット》《ブリーズショット》」
その隙にボムショットで三体巻き込み、ブリーズショットで残りの一体を処理したのだった。
「上取られるのは厄介だから気をつけないと……」
「ワゥッ……」
反省していると、一通のメッセージが届く。それはカナルパーティーと、レインパーティーが第三の街に着いたと言う内容だった。
それを確認し、返信をしてレベル上げ兼探索を再開するのだった。
読んで頂きありがとうございます
追記:前日→二日前に修正しました、作者はアホの子です




