装備を揃えよう
無事にサヤパーティーの方も討伐に成功したみたいだ。サヤ以外はダメージを喰らっているが、戦闘不能にはなっていない。
「無事に突破出来ましたわね」
「うん、なんとかね」
「第二の街に晴翔さんが待っておりますわ」
「まさか全員分用意するの?」
「えぇ、前払いで済ませましたわ」
「なるほどね」
「は、晴翔さんがいるの?」
第二の街の出店地帯に向かうと、今まで見たことがないほど忙しなく晴翔が動いていた。ニャイアルたちを見つけると死んだ目で手を振っていた。
「君たち早くないかい? さっき漸く頼まれてたやつ終わったんだけど」
「それは良かったですわ」
「威力低くて良いから射程の長いスナイパーライフル十丁って……現実の前払いが無かったら断ってたよ」
「ふふ、今回は晴翔さんの協力が不可欠ですからね、出し惜しみは出来ませんわ。武器の代金の八十八万Gも支払いますので」
「早めに頼むよ」
晴翔はそう言いながら、現実で見るようなスナイパーライフルを十丁取り出した。ニャイアルが詳しく見てみると、性能も全て同じだった。
魔鉄のスナイパーライフル
攻撃力:130〜200
効果:射程強化・大
晴翔曰く、スキルを使って攻撃力を下げてこの効果を付けたそうだ。かなりシンプルだが今回に限ってはこの方が良いのだ。
「感謝致しますわ」
「今回僕はこれくらいしか出来ないからね。まぁ射程に関しては最低でも三百は飛ぶと思っててくれ」
「僕もそろそろ武器変えないとなぁ……」
「今は品が少ないから今度来てくれるかい? 第五の街で待ってるよ」
「分かった」
「わ、私の武器は……?」
「……私のミスで転職するまで使えない物をNPCの鍛冶屋で作ってしまいましたわ」
「サヤがミスするなんて珍しいね?」
「本当はプレイヤーが作った物の方が良いのですが……私の伝手では見つからなかったのでこうはなりましたわ。その時に注文を間違えてそうなってしまいました」
「だ、大丈夫!」
「それと防具はそれぞれで揃えて欲しいのですが、アクセサリーはやー子さんが作ってくれましたわ」
「サヤ、費用は?」
「割り引きしてくれたので全部合わせて十万ほどで済みましたわ」
「ふーん……」
効果を見るとかなりの高性能だった。
魔絹のカチューシャ
防御力:11
効果:移動スピード強化・中、HPとMP+100。消費MP減少・小
魔絹のリボン
防御力:11
効果:移動スピード強化・中、HP+150。近接攻撃力増加・小
カチューシャはメイドたちに、リボンはレインにだ。しかしニャイアルは一つ気になることがあった。メイドたちとレインに聞こえないように言う。
「ねぇサヤ? このアクセサリーいつやー子さんに頼んだの?」
「……昨日の深夜ですわ。やー子さんも暇だったので就寝時間が三時を過ぎましたが問題ありませんわ」
「休んで、てか槍の注文間違えたのもそのせいでしょ」
「ふふ、ニャイアルちゃんに無理をさせるわけには」
「休んで」
ニャイアルは薄々だがサヤが休めるタイミングが少ないことを察していた。そしてサヤは何も言えずにいたのだった。
読んで頂きありがとうございます
追記:指摘をもらったところを修正しました




