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素敵なパーティーのその後

ぽわぽわとしている雨音を除き、紗夜と筑紫は半分驚きで半分納得の表情を見せていた。ゲーム内では武器を売っている少年アバターのプレイヤーだった分、ギャップがある。


「世界って案外狭いのかもね?」


「世の中不思議なことは多々有りますわね」


「あんなに戦えるって聞いてなかったよ……」


「え、えと、お二人とも凄いんですね!」


「えぇ、何にせよ筑紫ちゃんが優勝して良かったですわ」


「ん……」


紗夜は筑紫の隣に座り、労うように頭を撫でた。筑紫も疲れているのか少し紗夜に寄りかかった。雨音も真似したいのかメイドに手を伸ばしていたが届かないと言う微笑ましい光景が出来ている。


「仲が良いのは良いことだよ、それで何でわざわざ僕たちをここに集めたんだい? 防音部屋じゃないかここは」


「一つご相談がありますわ」


「な、何でしょうひゃ……?」


「なになに?」


紗夜は一呼吸おいて話し始めた。


「雨音様は兎も角、晴翔様は既に知っているとは思いますが私たちが現在大規模なPKの集団に襲われていることはお気づきでしょうか?」


「あーあれね。同業者も武器の売れ行きが良いって喜んでたよ。僕はPK嫌いだから一つも売らなかったけど」


「それは何よりですわ。それで本題ですが……私たちに協力してくれませんか?」


「メリットは?」


即座に晴翔はそう聞き返す。顔は笑っているが目はそうではなかった。


「勿論ありますわ、例えば……」


筑紫は面倒な話に入ると感じて雨音の方に行く。紗夜もそれを止めることはなかった。雨音はまだ状況が飲み込めてないのか視線が明後日の方向へと向いている。


「雨音ちゃん」


「ふぁ、ひゃい!」


そのせいか話しかけただけでビックリして明日から落ちかける。だがその前にメイドが支え、事なきを得た。


「んー……君は何がしたい?って言うゲームは知ってる?」


「し、知ってます。あ、明日誕生日なので届きましゅ!」


「お、それは良かった。まだ難しいことは分からないと思うけど……僕たちと一緒にやって欲しいことがあるんだ」


「も、もしかしてぴーけーって言う人たちを倒すこと?」


「うん、無理強いはしないけど出来れば」


「や、やります! げ、ゲームをする理由も修行のためだったから。強くなれるなら、お、お願い」


少し緊張が和らいできたのか、口調も年相応のものになってしていた。しかもオーケーまで貰えたのだから成果は上々だろう。


紗夜の方も話しが纏まったのか、お互い満足そうな表情をしていた。筑紫はこっそり聞き耳を立てていたのでオーケーが取れたことは分かっていた。


「ふふ、そちらも大丈夫そうですわね」


「いやぁ……あれだけ譲歩されたら頷くしかないね。とは言えそこの優秀な狙撃手とは後で話しがしたいよ」


「僕も晴翔さんとじっくり話したい」


「が、頑張る!」


こうして戦力の拡大兼友達作りは無事に終わった。雨音と晴翔が先に出た後、父とメイドが入ってくる。


「さて、お疲れ様ですわ筑紫ちゃん」


「優勝おめでとう、欲しいものはあるか?」


「高級チョコケーキ持ち帰り用」


「わ、分かった」


「こう言う所は素直ですわね……」


余りの即答に父が動揺したのはこの場にいる者しか知らなかったのだった。

読んで頂きありがとうございます

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