素敵なパーティー その3
筑紫を含む参加者が準備をしている間、紗夜と父は話をしていた。客人に聞かれないように端に寄って小声でだが。
「……本当に大丈夫でしょうか」
「今更心配か? まあそう思うのも無理はないがな」
「VR適正、これが本当ならば筑紫ちゃんは各地で欲しがられる人材になりますわ」
「今はまだ知らなくて良いだろう、変に圧をかけたら申し訳ないならな。見守ることしか出来ない」
「えぇ、そうですわね」
配信活動は紗夜の父も見ているのだが、VR適正の才能があると言う話が挙がっているのだ。どれだけVR空間の中で動けるかと言うものなのだが、筑紫は聴力まで持ち越している。
だがまだ確証が持てない以上何も言うことが出来ない。二人は見守ることにしたのだった。
「緊張してきた……」
「ご安心ください、いつも通りの動きをして頂ければ問題はありませんよ」
一方筑紫はガチガチに緊張していた。メイドが補助をしているお陰でなんとかなっているが手は震えている。
そして準備を終え、スイッチをオンにして被ると黒い空間に様々な画面が浮かんでいた。そして説明画面が現れる。
戦闘シュミレーション バージョン2.0
人数:2〜8人
マップ種類:草原固定
説明:当社の最新式の戦闘シュミレーションです。マップの大きさは人数により増減します。HP等のステータスは全て均一です。武器の種類の多さには自信があります。
上を見ると三分と言うカウントダウンが表示されていた。恐らく準備時間のことだろう。筑紫は急いで武器を確認する。
「あ、ちゃんとあった」
そこにはMPを消費して発射するスナイパーライフルがあった。後もう一つ武器は装備出来ると書かれている。
同じくMPを消費するタイプのハンドガンを選ぶ。ステータス面はこのようになっていた。
名前:筑紫
HP:500 MP:500
武器【狙撃魔銃】【拳魔銃】
アイテム:【回復薬】【回復薬】【回復薬】
回復薬は三つまで、効果はHPとMPを百回復させると言うものだった。試し打ちも出来るので何回か撃ち、間隔を慣らす。
「狙撃銃の方は大丈夫だけど……拳銃がなぁ」
狙撃銃は十発中十発命中だったが、拳銃は三発外してしまう。だが筑紫にとっては反動でブレる突撃銃よりは拳銃の方が使いやすいのだ。
もう少し試し打ちをして、ガンホルダーをしっくり来る位置に付けてから準備を終える。残りは二十秒ほど、緊張は少しマシになり、手ブレも抑えられている。
「無理はせずに撤退、周り僕よりも強いと思うし」
筑紫はそう予想していた。実際間違ってはおらず、実力者が集まっている。そしてカウントが零になり、筑紫は草原へと転送されたのだった。
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