宣戦布告
その日はサヤと戦った後に終わり、配信をする日になる。待機中でもコメントは出来るので見ると、やはりアンチコメや荒らしが湧いていた。
メイドがモデレーターをやっているのでまだ対処出来ているが、リスナーの何割かはそう言った物が増えてき始めていると気付いている。
サヤは今日の配信の冒頭で宣戦布告をすると言っていたことをニャイアルは思い出す。
「大丈夫かなぁ……」
「どうしましたか?」
「宣戦布告するんでしょ? 炎上とかしそうな気がするけど……」
「そこまで過激にはやりませんわ、ただ私たちは全力で抵抗すると宣言するだけですから」
「なるほどね……」
「それと私が言うよりニャイアルちゃんが言った方が良いでしょう。ニャイアルちゃんの人気はかなりありますし」
「そなの?! てか台本とかは?」
ニャイアルは余り自分の言葉で意見はしない。苦手と言うよりは面倒くさがってしていないのだ。だがサヤは首を横に振る。
「今回はニャイアルちゃん自身の言葉でお願いしますわ。その方がきっと支持も得られますし」
「……分かった」
「炎上も少しは抑えられるはずですわ」
まだ目に見えるほどではないがアンチによる小さな炎上はポツポツと起きている。なのでファンを安心させるためにも、と言う意味でするのだ。
時間になり、配信が始まる。既に視聴者数は九百人に届いていた。だが案の定荒らしやアンチコメも当然増える。
「皆様こんにちは、サヤですわ」
「ニャイアルだよ」
「今日は一つ大事な報告がありますわ。ニャイアルちゃんお願いしますわね」
「……うん、もう気づいてるリスナーも居ると思うけど実はここ最近配信中はコメント欄で、配信外ではPKとして僕たちの妨害をしてくる集団が居るんだ」
その瞬間一瞬アンチや荒らしコメが止まる。まさか触れられるとは思っていなかったのだろう。リスナー側も少し騒ついている。
「それで僕たちに配信活動を辞めろって言ってきてるんだけど……僕たちは抵抗するよ。応援してくれるリスナーが居るからね、絶対に負けない」
「えぇ、なので皆様の気持ちだけ受け取りますわ」
今のサヤの言葉は、アンチや荒らしを懲らしめようとしていた視聴者に向かってのものだ。コメント欄はほぼニャイアルたちを応援する声で埋まっている。
「皆んなありがと、頑張るね」
ニャイアルは基本的に配信中でも笑顔を見せないがこの時だけは嬉しそうに笑った。コメント欄の流れは更に速くなる。
名無しさん:頑張って!
名無しさん:ニャイアルちゃんが笑ったうっ
名無しさん:応援しますわー
名無しさん:死んでしまえ
名無しさん:顔真っ赤のアンチさんww
名無しさん:ファイト!
「恥ずかしいんだけど……」
「ふふ、格好良かったですわよ?」
「……アーカイブ無しで良い?」
「駄目ですわ」
名無しさん:駄目ですわ
名無しさん:駄目ですわ
名無しさん:駄目ですわ
名無しさん:可愛いからダメ
名無しさん:駄目ですわ
名無しさん:尊死したいから許さん
「どうして……」
一瞬にしてニャイアルの味方が居なくなったがいつもの事だろう。こうして宣戦布告兼意思表明は終わり配信に移るのだった。
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