増えて行く妨害
「ワニ硬い!」
「出来れば早めに倒してもらえると助かりますわ!」
「ワゥッ!」
現在の状況はワニ三体、ロングモンキー五体、ゴブリン八体に囲まれている。何故こんなに敵が来ているかと言うとこのエリアに来た時に見つけた巣に近づいたからだ。
一種類の魔物の巣ではなく、色んな種の巣だとは思わずに戦いに行った結果こうなっている。非常に不味いが危なげなく戦えている。
「《ボムショット》、これ一発急所に喰らっても耐え切れるって……」
「ウルルはゴブリンを優先してください、《恵の祈り》」
ウルルはロングモンキーを相手にしていたが、サヤはギリギリ自分でも相手に出来ると判断したのかそう指示を出す。ニャイアルももうすぐ三体倒せる所まで来ている。
「おっと……《ブリーズショット》」
突進を避け、背後を取った瞬間に撃ち抜き三体目のワニがポリゴンの欠片となる。すぐさまサヤの方に駆け寄って援護に入った。
ロングモンキーは基本固まって攻撃して来る。なのでワニには効かずらかったボムショットも有効なのだ。一気にロングモンキーが片付くとウルルの方も戻ってくる。
「ウルルも終わった?」
「ワゥッ!」
数が多いためサヤは多少ダメージを喰らっているが、街に戻るほどではない。ウルルとニャイアルはノーダメージなのでそちらも問題ない。
「少し立て直したいけど……そうは行かなさそうだね」
「忙しない方たちですわ」
降りれる場所が今ニャイアルたちが見ている前方なのは幸運だっただろう。複数のプレイヤーが此方に武器を向けているのだから。
そしてリーダー格らしき男は口を開く。
「お前ら底辺共がシルクロード様と同じ画面に写るなよ、今すぐに殺して配信中でも妨害してやりたいがここで配信活動をやめるn」
「《ブリーズショット》、長いし短く纏めてよ」
「ここまで過激派だとは思いませんでしたわ、対処について本気で考える必要がありますわね」
「グルルルル!」
サヤは頭を抱えてしまう。ある程度覚悟はしていたがそれよりも酷かったらしい。リーダー格の男はニャイアルに頭を撃たれ倒れる。
「数が多いですわね……」
「前よりは少ないけど他に居たら厄介だしなぁ、ウルルは上に登って伏せてるPK居たら倒しといて」
「ワゥッ」
「一先ず今はここを乗り切りましょうか、《石獄の祈り》」
「はーい、《ボムショット》」
サヤはニャイアルが時間を稼いでくれることを信じて溜め時間の長い魔法を選ぶ。相手の連携はバラバラなので対処は容易だろう。
そして二十分以上が経過した頃、ようやくPKたちが全滅する。
「出来れば取りたくない手段でしたが……一旦街に戻りましょうか」
「分かった」
「クゥーン……?」
ウルルの心配そうな鳴き声と共にニャイアルたちは一度街へと戻ったのだった。
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