閑話休題
結局筑紫が帰宅出来たのは昼以降だった。昼食も魔夜美邸で食べたのと、筑紫の母も紗夜のことは信頼しているので特に問題はなかった。
服は淡い緑色のドレスコードに決まったのだ。着替えを手伝うのはジャンケン大会で勝ったメイド二人と紗夜である。
閑話休題。二人はゲームの中で再開する。
「大丈夫でしょうか?」
「……絶対に高級チョコケーキ用意しといてね?」
「それは勿論ですわ。それと今日はどうしましょう?」
「僕の装備、特に手袋が欲しいね」
「分かりましたわ、では行きましょうか」
ニャイアルたちはNPCの鍛冶屋へと向かう。ロックバードの作りたいものと素材を渡すと前回と同様に奥へと消えて行く。
「そーいやパーティーって誰が来るの?」
「ほとんどお父様の友人ですわね。私のお兄様は今回は出張のため欠席ですわ」
「久し振りにお兄さんのことについて聞いたよ、元気なの?」
「えぇ、お父様が完全に次の跡目はお兄様にしようとしていますわね。少し可哀想ですわ」
「めっちゃ忙しそうだもんね、最後に見た時は目が死んでたし」
「私はその分自由に出来ますから嬉しいですわ」
サヤの兄、魔夜美勇人は現在成人して様々なところに引っ張り出されている真っ最中である。兄妹関係は良好であり、兄が継ぐことも賛成している。
メイド達からすれば主人が居ない屋敷を永遠と掃除しているよりは紗夜とお話ししたり、筑紫を愛でている方が幸せなのである。
「出来たぞ、大事に使え」
「はーい、ありがと」
目立たない程度の青色の、指の先端が出ているタイプの革手袋が渡される。
岩大鳥の革手袋
防御力:5
効果:手ブレ防止、摩擦ダメ無効。
これでロープや梯子を滑るようにして降りても問題なくなった。
「余ってる素材でフードも作れるがどうだ?」
「そなの? ならお願い」
「分かった」
もう一度奥に行って、少しすると再び戻ってくる。
「被ってる状態だったら視界は多少悪くなるが見つかりにくくなる、お代も安くしとくぞ」
「良いの?」
「あぁ、この街では闘技場で見込みのありそうな奴は優遇されるからな」
「なるほどね」
三割ほど安くなった代金を払ってフードと手袋を装備する。フードは見た目は灰色だが、内側は革手袋と同じ青色だった。
岩大鳥のフード
防御力:12
効果:被っている時に限り隠密効果・小
ニャイアルはもう一度礼を言って鍛冶屋を後にする。これで装備してない部位は無くなったのだ。探索や戦闘も多少楽になるだろう。
「では探索に行きましょうか」
「だね、レベルも上げなくちゃいけないし」
転職を二回し、種族の方もレベルも上がってきたことで必要な経験値も多くなってきている。今まではウルルの働きでかなりのスピードでレベルアップ出来ているがそれがいつまで続くかは分からない。
前線に居るプレイヤーの平均種族レベルは八十から九十ほどだ。転職も大量にしているのでニャイアルたちがそこに辿り着くのはまだ先のこと。
ウルルを呼び出し、ニャイアルたちは地割れエリアへと向かったのだった。
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