表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/151

お誘い

その後は、配信日は明後日の昼からだとサヤから聞かされログアウトした。そして次の日、紗夜から家に来て欲しいと連絡される。


(昨日は大変だったよ……リアルでも会う可能性もあるし気をつけないと)


筑紫は昨日の蕩け切った表情のことは敢えて記憶から消している。そうこうしている内に屋敷の前へと辿り着く。


予め連絡がされているのか、メイドが出迎えてくれた。


「抱っこでもしましょ」


「ダメ」


毎回この様な会話がされているが、筑紫にとっては慣れているものである。うん、と言ったら最後大変なことになるので絶対に言わないことにしているのだ。


「おはよう御座いますわ」


「おはよ、話って?」


寝癖が付いている筑紫とは違い紗夜はしっかりと整えている。服はしっかりしたものでは無いもののお嬢様だと感じさせるものである。


「筑紫ちゃんを私たちが主催するパーティーに招くことになりましたわ」


「パーティー? なんで僕が」


「えぇ、私のお父様からお願いですわ」


今までもパーティーの話はたまに聞かされていたものの誘われることはなかった。筑紫からも行ってみたいと言ったことはない。


紗夜の父は筑紫の父と非常に仲が良い。詳しくは知らないが中学の時からの知り合いと言う噂はある。


「何でいきなり?」


「将来有望な若者とコネクションを持つため、と聞きましたわ。悪い話ではないと思いますわ」


「うーん……」


「来て頂けたら特別に料理長から高級チョコケーキを」


「行く」


筑紫にとって高級チョコケーキは面倒くささを上回るのだ。一度食べた時にしばらく放心状態になるほど美味しかったのだ。


「ふふ、ならそうお父様に伝えておきますわ。日程の方は三日後の十八時からですが……筑紫ちゃんのお母様にはもう伝えていますわ」


「ありがと、服装は?」


「えぇ、オーダーメイドで作りたいのですが……時間がないので一つ考えましたわ」


紗夜が手を鳴らすと様々なドレスを持ったメイドたちが部屋へと入って来る。ここで筑紫は気づく、客間ではなく紗夜の私室へと通されたことの意味を。


ゲームでは高い敏捷性で何とかなるだろう。だがここは現実だ、聴力は健在だが身体能力はそうはいかない。


「ま、待って」


「紗夜お嬢様も私たちもお着替えを手伝いますよ」


何故かメイドたちの顔は肉食獣のようになっている。既に両手はメイドたちに捕まえられ逃げる事は不可能だ。


「筑紫ちゃんに会いそうな服があり過ぎて困りますわ。あ、メイクも試しますので帰りは少し遅くなりますわね」


「やっぱかえr「高級チョコケーキは」分かったから!」


筑紫はその場で力を抜きなすがままになる。紗夜を含む三人から頭を撫でられているが諦めた目でその場に座り込む。


「どうして……」


「私と年上人気が高いですわね」


紗夜はそう言いつつ元々着ていた服を脱がしていく。その日の魔夜美邸の午前は筑紫の悲鳴とメイドたちの歓声が聞こえたのだった。

読んで頂きありがとうございます、後悔はない(百合アニメ見ながら書きました)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ