探索と……?
「下から登って来たね」
「確かにその手足なら可能ですわね」
「ウキーッ!」
下に降りようとすると早速壁を登って来た手足の長い猿、正式名称ロングモンキーが襲いかかって来た。素早さもあったが……。
「《ブリーズショット》、まだ登って来る猿居るかも」
「ゥキッ?!」
だがニャイアルたちから見れば遅い方なので敢えなくヘッドショットを決められる。まだ登り切っていなかったロングモンキーは奇襲を仕掛けようとするがニャイアルに気づかれたため、頭が見えた瞬間に撃ち落とされたのだった。
「私たちも落下しないように気をつけないと行けませんわね」
「だね、ロープとか梯子に捕まりながら狙撃するのは勘弁だし」
「手袋的な装備が必要かもしれませんわね。このゲームは摩擦でもダメージを受けると聞きましたわ、手袋などがあれば軽減出来るそうですけども」
「それは困るなぁ、早めに買っておこ」
「そうですわね」
この高さではウルルは分からないが、ニャイアルたちだと即死は免れない。階段は数が少ないのでロープと梯子を滑るようにして降りた方が早いのだ。
そして近くにあった階段を使って下に降りると、そこは思ったより暗く、敵の鳴き声などが多数聞こえる空間だった。
「……ワニね」
「接近される前に倒しましょうか」
降りた瞬間、川から三メートルはある褐色のワニが飛び出して来た。威嚇なのか口を大きく開けて勢いよく閉める。金属が擦れるような音がしていたのでかなり鋭利な牙なのだろう。
「《ウェポンチェンジ》《ボムショット》」
「《樹の祈り》」
もう一つのスナイパーライフルに持ち替え、ボムショットを使って怯みと麻痺を狙う。だがダメージは通っていそうなものの麻痺はせず、怯んだだけだった。
しかし時間稼ぎは出来たのでギリギリで樹の祈りの溜め時間が終わり、ワニを拘束する。そこからはそれぞれ拘束が解ける前に叩き、討伐に成功した。
「かったぁ……」
「ウルルも呼び出しておきましょうか」
「そだね」
今のような硬い敵が現れた時のためにウルルを呼び出しておく。召喚されたウルルは川の水を飲み、背伸びしていた。
「さてと……上に居るのは誰?」
ニャイアルの耳は地獄耳と言われるほど良い、だから上からニャイアルたちへと弓矢や魔法を使おうとしていたPKを見上げる。
「バレたぞ!」
「ま、まだ俺らが上を取っているんだ! ダメだったら逃げれば良い!」
PKたちは慌てているが上を取れていると言う有利からか引く気はないらしい。
「私はギリギリ届きませんわね……」
「僕がやる、ウルルは登れそうなら行っといて」
「ワゥッ!」
ニャイアルが銃を構えて応戦しようとしたその時、予想外のことが起きる。
「うあーっ?!」
「たすけてえええ!」
「地面に落ちて潰れろ!」
「へ……?」
「ニャイアルちゃん、何が起こったのでしょうか?」
突如現れた豪華な装飾がなされた戦鎚を持つ、軽装備な大柄な女性のプレイヤーがPKたちを薙ぎ払い下へと落としたのだった。
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