「逃げたい」byニャイアル
「はぁ……はぁ……」
「ウルル、お疲れ様ですわ。ニャイアルちゃんも大丈夫でしょうか……?」
「なんとか……」
「ワゥッ……」
息絶え絶えながらもその場に座り直し、砂漠エリアの方を見る。砂嵐は過ぎ去りなくなっていたのだ。ニャイアルにとってはこれほど戦闘以外で全力で走るのは久し振りなためサヤにもたれ掛かっていた。
「恐らくボス戦前でしょうが、まるで一個の村のようですわね」
「あー……確かに。ボス戦前のエリアで何か買えるって初めてじゃなかったっけ」
「そうですわね、少し休憩したら色々見回りましょうか」
周りにプレイヤーの姿はチラホラ見かける程度なので特に問題はない。ニャイアルがサヤに頭を撫でられること十分後、動き始める。
「結構広いのかな?」
「えぇ、それと私の手元にいつもの画面も出ましたわね」
ニャイアルが見ると例の画面が出ていた。
フィールドボス《ビッグワーム》へ挑みますか?
YES/NO
「ワームかぁ」
「地中に潜られたら厄介ですわね」
「麻痺状態にさせたら防げるかな?」
「やってみないと分かりませんわね」
「ま、何とかするよ」
「ふふ、頼もしいですわね」
真っ白や逆に虹の様な色、幾何学模様など様々なテントが並んでいる。その内店を開いているテントは全体の三割程度だった。
周りは頑丈そうな木の壁で囲まれており、小さな街の様だったのだ。中には品揃えは少ないものの武器屋やスキルを買える店もあり、小さな観光名所にも思える。
「お、MP回復薬売ってる」
「これは嬉しいですわね、買っておきましょうか」
「お金も余裕出来たしね」
要らない素材を売り払う等をして再びお金に余裕は出来ていた。MP回復薬は少し値が張ったが、二人は買い込む。
「さて……戦ってみる?」
「そうですわね」
MP回復薬を何本か飲み、満タンにさせてからニャイアルたちはビッグワームと戦うことにしたのだ。それともう一度ここに来る途中で砂嵐に遭遇したくないからだ。
YESを押すといつもの開けた地形に転送される。砂丘はあるものの遮蔽物となる物は存在していないのだ。
「ちょっとヤバいかも」
「常に動き回るくらいの心掛けで狙撃した方が良いかも知れませんわね」
数秒後、中央の地面からニャイアルたちが遭遇した砂嵐に匹敵する大きさのワームが飛び出したのだ。しかしまだ完全に身体は地上に出ていない。
「……逃げたい」
「これは……強烈ですわね」
「ワゥッ……」
若干ニャイアルたちは引きつつも、戦闘が始まったのだった。
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