あの後は
ロックバードを倒した後、盛り上がったまま配信は終わり頭を休ませるためにニャイアルたちはログアウトしたのだった。そして現在は……。
「筑紫ちゃん、こっちですわ!」
「ま、待って!」
現実のビーチで遊んでいた。理由は紗夜が貸し切りのビーチに筑紫を誘ったことと、慰労のため。そして一緒に遊びたいと言う気持ちもある。
今は海に入ろうとして筑紫が置いて行かれている状況である。筑紫より紗夜の方が足が速いのと体力があるためこうなってしまった。
「浮き輪はそこにありますわ、忘れずにつけてくださいね」
「はーい……」
しかも筑紫は泳げないので浮き輪を使わないと溺れてしまう。羞恥心に耐えて浮き輪を付けるしかなかった。
紗夜の水着はトップ側を肩紐でとめず、肩を出したタイプのお洒落な黄色のビキニだ。モデルと間違えられるかもしれないレベルで体型も良い。
筑紫は当初はスク水を持って行こうとしたが、それは止められた。代わりに用意されてあったのは紗夜と同じタイプの水着である。
初めて着るタイプだったので着る時も紗夜に手伝われてしまいまだ少し顔は赤い。
「ふふ、私が動かしてあげますわ」
「僕にくっつきすぎだから!」
後ろから抱きつくようにして、泳ぎながら浮き輪を押していた。筑紫は抵抗しようにも出来ないのでそのまま身を任せるしかないのだ。
「筑紫ちゃんはこんなにすべすべの肌で可愛いのに彼氏が居ないのは不思議ですわね?」
「出来るわけないじゃん」
「私ならこんなに可愛い子が居たら我慢出来ませんわ」
紗夜は小声でそう言った。しかし筑紫には聞こえて無かったようだ。
「何か言った?」
「何でもないですわ、今度は水上で鬼ごっこでもしましょうか」
「紗夜……? やるけどそれって鬼は」
「私ですわ、十秒待つのでその間に逃げてくださいね。勿論このまま捕まりたかったらここに居ても良いですわよ?」
「逃げるから!」
必死に足をバタつかせて距離を取る。本人は必死なのかもしれないが紗夜から見ればとてもとても可愛らしいものだった。
なお紗夜の水泳の実力は全国大会で成績を残せるほど上手いのだ。筑紫の必死の逃走も虚しくたった数秒ほどで捕まってしまった。
「ん……普通にタッチするだけで良いじゃん……」
「その割には顔は正直に喜んでいますわね?」
「ち、ちがっ」
「ふふ、ならもう少しこうしてますわね」
「うー……」
そのまま更に抱きつかれて筑紫は羞恥心と喜びが混じった声をあげる。それを陸地から見ていたメイドたちは何人か鼻血を垂らしていたものの、辛うじて意識は保ったらしい。
その日は一日中ビーチで遊んで次の日にまたゲーム内で会おうと約束した。紗夜は覚悟していたが自分たちの人気が跳ね上がっていることに気付かずだが。
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