諦めず抗って その3
通常の鳥がまるでマシンガンのようにニャイアルたちに襲いかかって来る。数が多いので全て避けることが出来るのはウルルのみだろう。
「MP回復薬欲しい」
「分かりました」
シルクロードからMP回復薬を渡される。それを側に置いてボムショットで数を減らすことを決意したのだ。
スピンバードの密度はそれなりに高いのだ。これもシルクロードが苦戦した原因の一つだろう。ニャイアルはタイミングを見計らって撃ち続ける。
「良く当たることが出来ますね……」
「真っ直ぐ来てくれるからね、《ボムショット》」
そのタイミングで丁度彼女のMPが空になるが、密度は大分薄くなった。残りのスピンバードは簡単に躱せるだろう。
そして全ての鳥が地面に刺さり、倒れるとロックバードは空中で身体を震わせていた。そして口の隙間から赤いヒビが入った岩が見えた。
ロックバードはそれを口から身体ごと振って遠心力を付けて吐き出して来る。ニャイアルたちはある程度説明は受けていたが、これは難関の一つとして言われている。
その岩は地面に落ちると壊れずその場に残ったままだ。しかし少しづつ大きくなり始めている。
「アレ壊さないと大ダメージだよね?」
「恐らく自分以外は死ぬと思います!」
「HPの無さが浮き彫りになりましたわね……」
急いで岩の破壊へと取り掛かる。シルクロードはマジックチャージスラッシュで斬りかかる。だが最大まで溜めずに半分程度なのだ。
シルクロードは一旦下がると岩が小さく爆発した。小さくと言っても二メートルほどは範囲があるので下がらないと巻き込まれてしまう。
この爆発のせいで一気にダメージが与えられずに破壊が遅れて、最終的に大爆発すると言う物なのだ。しかしウルルはスキルで感知して回避し、サヤとニャイアルは中距離から遠距離なので爆発を気にしずに攻撃出来る。
「よーし!」
「ここからが厄介ですよ」
「グルルルル!」
「ニャイアルちゃん、任せましたわ」
起爆するギリギリで岩を破壊すると、今度はロックバードは甲高い鳴き声をあげて周りを飛ぶ。
「チャンスは一度かな」
この行動は再びスピンバードを呼び寄せているのだ。もう一度ボムショットで撃ち落とすのはMPが勿体無いので撃ち落とすことにしていた。
「《ウェポンチェンジ》」
そしてニャイアルの手元に晴翔から買った武器に変わった。ニャイアルは構えて必ず当たるタイミングを狙う。
「すーはー……《ブリーズショット》」
その魔弾は着弾したが……。
「キィッ……ィイイイイイ!!!」
「嘘……ぐふっ」
「不味いですわ! 《恵の祈り》」
「ニャイアルちゃん!」
「ガゥッ!?」
撃ち落とされることはなく、逆に口から飛ばされた複数の小石が対応出来なかったニャイアルに直撃する。何とか咄嗟のサヤの回復で耐えるが……。
「やっば……」
しかしニャイアルは気絶状態になり動けなくなった。このままでは対空手段が無くなる、そんな焦りと共に戦いは終盤へと向かうのだった。
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