諦めず抗って その2
突進を避けながら次の行動を考える。突進が終わった後も軌道を変えて突進を再度しようとロックバードはしていた。
「《ボムショット》」
「ガゥッ!」
そのためか低空飛行になっているのだ。そこをボムショットで狙う。無事に着弾するがさほど効いていない様子だった。
「《サンダーアロー》! 岩の装甲を剥がすまでは弱点部位となる部分はありません!」
「撃ち続けるしかないか《ブリーズショット》」
「厄介ですわね……《恵の祈り》」
サヤの鈍足の祈りは足に作用するのでビッグバードには意味をなさない。色とりどりの果物を飛ばしてダメージを与えていた。
ブリーズショットは弾速がいつもよりも増しているが、やはりダメージは少ないようだ。スキルを使いすぎるとMPが足りなくなるので通常狙撃に切り替える。ウルルは攻めるタイミングを見失っているようだった。
「言うのをを忘れていましたがMP回復薬はそこそこありますので使いたかった言ってください!」
シルクロードは剣が届かない、突進時のカウンターを狙うにしても危険すぎるので魔法メインで戦っていた。純粋な魔法職ではないためダメージは控えめだ。
突進を何度か繰り返すと、ロックバードは地上に降りて戦い始める。空を飛んでいる時と比べて大きく見える。
「翼振り回して来るのか」
「迂闊に近づけませんわね、《石獄の祈り》」
「ぐっ……」
シルクロードは前に出て翼を剣で防ぎながら攻撃を当てる。サヤが溜め時間に入ったことを確認したニャイアルは急いで援護には入る。ウルルはサヤの前に移動し庇うようにしている。
翼を振り回す度に小石が飛ぶので離れていてもダメージを喰らってしまう時があるのだ。それを吹き飛ばすためにボムショットを使わないといけない。
「《ボムショット》《チャージショット》」
「足止めが出来れば良いですわ」
爆風と共に地面から生えた石が、ビッグバードを捕らえる。しかし一度暴れるたびにそれはヒビが入っていく。
「……! ちょっと剥がれてきた!」
「そうなったら岩を飛ばして来るのでご注意を!」
「当たったらタダでは済みませんわ」
その言葉通り人の顔ほどある岩が弾き飛ばされてきた。いっぺんに全て飛んでくるわけではないので落ち着いて岩を見れば回避は可能だ。
「ヤバいっ?!」
しかし周りを警戒しつつ反撃の機会を窺っていたシルクロードが無理な体制で岩を回避したため転んでしまう。
運の悪い事に丁度岩がそこに飛んできていた。だが危機を感じ取ったニャイアルが咄嗟に構える。ターゲットは勿論その岩だ。
「《ブリーズショット》」
「ありがとうございます!」
パーンッと小気味の良い音が響きその岩は破壊される。シルクロードは即座に体制を立て直し再び回避に専念する。
「キィイ! キィィィイ!!!」
「ここからが本番です!」
「うわぁ……」
「頑張らなければなりませんね……」
そして青い身体に灰色に輝く翼を持ったロックバードは空へと飛び上がった。そして近くには道中で見かけた鳥も飛んでいる。
ようやく後半戦である本番が始まったのだった。
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