賽は投げられていた その5
ニャイアルたちは下水道エリアへと急ぐ。罠の可能性も十分にあるが行ってみないと分からないからだ。作戦も何もないがそこは臨機応変にである。
「下水道ってどこ?」
「下水道は……こっちですわ! 場所は冒険者ギルド内で貰える地図にありますわ!」
「そうだったの?!」
ニャイアルは街の地図が置いてある場所を一切見てなかったのだ。しかしそこら辺はしっかりと確認しているサヤのお陰で今回は助かった。
サヤに着いていくと確かにそこには下水道の入り口となる扉があった。扉を開けると下へと進む石階段になっている。
「下水道はモンスターも徘徊してるそうなのでそちらにも注意が必要ですわ」
「うん、PK居ると良いなぁ」
「是非とも私たちで倒せる範囲だと祈りますわ」
「ま、援護は僕に任せてよ」
「えぇ、頼りにしてますわ。ウルルちゃんもですわ」
「ワフッ!!!」
ウルルも準備と覚悟が出来てるのか力強く吠える。二人は突入の前にステータス確認をした。レベルアップしていたからだ。
名前:ニャイアル
種族:猫又lv8 職業:狙撃魔銃士lv6→7
HP:120 MP:230→270
筋力:9
頑丈:12
器用:10
敏捷:23→24+4 【種族ボーナス】
精神:22→24+3
知力:24+4 【種族ボーナス】
スキル:【魔銃ダメージ増加lv4】【チャージショットlv3】【ボムショットlv1】【精神強化lv3】【鑑定lv1】【消音lv1】【魔力探知lv2】
SP:9→12
STP:0
装備:武器【白金のスナイパーライフル】頭【無し】体【魔銃士の迷彩服】腕【無し】脚【初心者のズボン】靴【ボアの靴】アクセサリー【深緑のシュシュ】【革のポーチ】
今回はSPは使わずに貯めておく。MP不足にならないようにニポイント精神に振り、残る一ポイントは敏捷に振り分けた。
ニャイアルたちは石階段を降りて行く。石階段はそこまで長くなく、直ぐに終わりが見えた。ニャイアルが魔力探知を行い、複数のプレイヤーを確認する。
「居たけどどうする?」
「先制攻撃を仕掛けたい所ですが……普通のプレイヤーだったら困りますわね」
「うーん……ウルル、ちょっと行ってみて」
ウルルは石階段を降り終える。そうすると会話が聞こえてきた。
「ん? 何だこいつ、下水道にこんなモンスター居なかったよな?」
「俺らを狙いに来たPKKの罠かもしれん、一応殺っておこうか」
その会話が終わり、二人の男たちが剣を構えた瞬間にウルルは男たちへと襲い掛かる。襲ってくることは分かっていたが思ったよりも素早かったのか反応出来ずに首を噛まれていた。
「やっぱ黒か……僕たちも行くよ」
「そのようですわね」
二人も遅れて階段を駆け降りる。近くにいた周りのPKたちも気づいたのか足音が複数ニャイアルたちに近づいて来る。
「《チャージショット》」
「《樹の祈り》」
ウルルが抑えていた剣士を撃ち抜き、残る一人はサヤの標的になる。男は止めようとして来るが後一歩間に合わずに拘束された。
そこをニャイアルに射殺されると同時に、近づいていた足音が姿を現す。装備はバラバラだが数はそれなりに居る。
「ぶっ殺してやれ!」
「アイテム落とせやぁ!」
「野郎ぶっ殺してやらァァア!!」
しかしニャイアルたちは臆さずにそれぞれ構える。
「うわぁ……ヤがつきそうな人たちばっかり」
「本物はこれの比ではありませんわよ?」
「え、見たことあるの?」
「おっと……お口が滑りましたわ」
「えぇ……?」
「ふふ、敵が来ますわよ? 《木槍の祈り》」
サヤはワザとらしくそう言うと、溜め時間に入る。ニャイアルもため息を吐きながら銃口を敵へと向けたのだった。
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