準備期間
その日は回復薬の購入や調合をして終わり、次の日になる。九時に起きた筑紫はのんびりと準備をしながらテレビを見る。どうやら君は何がしたい?の話題が上がっているようだった。
「アップデートかぁ、ただでさえ色々追いついてないのに……」
近々大規模アップデートが入るとのことだった。初心者用にも多少は何か出るそうだがやはり前線の進んでいる方の内容の方が大きい。
起きてから一時間後にゲームにログインする。それと同時にサヤもログインして来た。
「おはようございます、ニャイアルちゃん」
「おはよー……」
「それでは昨日言っていた所に行きますか?」
「うん、今の時間帯にやってると良いけど」
二人は出店エリアへと向かう。夏休みだと言っても朝だからかまだプレイヤーが居る所は少ない。しかひ幸運なことに目当ての所は空いていた。
「いらっしゃいませ……昨日の方ですか……?」
「うん、とりあえず連れて来たかったサヤも居るけどね」
「好きに見て行ってください……」
サヤは一つの首飾りに目を付ける。それは一つの緑色に輝くジュエルが付けられた物だった。効果は樹属性の魔法攻撃の威力を上げるものらしい。
「これにしますわ」
「ありがとうございます……ニャイアルさんは?」
「んー……他の部位の防具が欲しいんだよなぁ」
「そうですか……それなら第三の街に防具を作っている私のような同業者が居ます……そこを目指しては?」
「んー、ありがとう。とりあえず目指してみるよ」
「感謝いたしますわ」
「ありがとうございました……」
ニャイアルたちは一旦その場を離れる。とりあえずは第三の街に行くしかないとのことだ。二人は冒険者ギルドで同じ依頼、猪を十体討伐するのを選ぶ。
「そう言えば依頼はあまり受けてませんわね」
「冒険者ランクも上げなきゃなぁ……面倒」
「上げたら恩恵もそれなりにあるそうなので頑張りましょう?」
「はーい……」
一人だけテンションが少し下がりながら森へと向かう。サヤのレベル上げが目的なのでウルルは今回はお休みだ。今回はサヤがメインで戦うことになる。
「《鈍足の祈り》」
「《チャージショット》」
猪の体はダメージが少し通りにくい。チャージショットを使ったとしても八割しか減らせないのだ。しかし時間稼ぎが出来れば十分なので問題はない。
「《木槍の祈り》」
猪の動きは目に見えて遅くなった。そして攻撃魔法が直撃し、そのままポリゴンの欠片となる。この辺りの敵はこの戦法で大抵なんとかなると言うことが判明した。
木槍の祈りは二匹巻き込めれば御の字の範囲の狭さだ。しかしその分ダメージは高い。急所に当たればニャイアルの通常狙撃より高い攻撃力を誇る。
ただしサヤのMP消費も増えているので精神値にSTPを振り分ける必要が増えたのだ、詠唱時間も増加しているため前以上に気をつける必要はある。ただしそれを差し引いても強力な妨害が出来るのは強い。
ニャイアルはサヤの気を引き、サヤはその間に敵の動きを止める戦い方が少しづつ身に付いてくるだろう。ウルルはその二人のカバーが出来るので有難い存在だ。
その日はサヤの方が現実の予定が入っており早めに解散した。明日は配信日兼ボス攻略なのだ、筑紫は緊張しながら就寝した。
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