ウルルの戦い方
良い感じの隠れ場所を複数見つけた後、ニャイアルはウルルに近くで戦ってもらうように指示する。サヤも近くでカバーをし、ニャイアルは最小限の援護射撃に回る。
「もふもふですわね」
「ワフッ?」
何も知らないプレイヤーからすれば、お嬢様が犬の散歩をしているようにも見えるだろう。しかしどちらとも何かあればすぐに対応できるようにしている。
するとそれに釣られた一匹の熊が背後から走って襲いかかって来る。いち早くそれに気づいたウルルは熊よりも速く動き迎撃に当たる。ニャイアルはいつでも撃てるように、サヤも一瞬遅れて溜め時間に入る。
ウルルは振り回されるかぎ爪をバックステップで避け、同じようにかぎ爪で引っ掻いたり噛み付く。それに気を取られている合間にサヤの溜め時間が終わり、魔法が放たれる。
ウルルは巻き込まれる前に逃げ、熊はそのまま燃え尽きていった。サヤは褒めるようにウルルの頭を撫でて、ウルルは撫でられた後、熊を食べるように噛み付いた。
(あー……餌か。まぁ勝手に食べてくれるなら今は問題ないかな?)
「食物連鎖ですわね」
倒してもポリゴンの欠片とならなかった所から彼女たちはそう察した。サヤはともかくニャイアルの方はペットを飼ったことはなかったのだ。
そのまま次の標的と言う名の餌を探すようにウルルは周りを忙しなく動く。サヤはそれを止めようとしてウルルに気を取られた。
「やばっ」
それを見ていたニャイアルは、プレイヤーらしき人影が一人サヤたちへと弓矢を構えているのに気づく。その矢が放たれるよりも前に彼女は頭を狙って撃つ。
「ぐはっ……」
「PKが近づいていましたか……油断は行けませんわね。ニャイアルちゃんに感謝ですわ」
倒れた音に気付いて、サヤたちも振り向く。ウルルも反省したのか大人しくなった。この後はたまにニャイアルが処理しつつも、だいたいサヤたちだけで戦うことが出来た。
そして転職条件が揃ったサヤと共にニャイアルたちも街へと戻る。教会へ行く前にサヤがこう告げて来た。
「そのウルルちゃんですが……今の状態では一度倒されると復活出来ないそうですの。冒険者ギルドで一万でウルルちゃんを仕舞えたり、倒されても一定時間で復活するアイテムが買えるそうなので私が転職している合間に買ってあげてたらどうですか?」
「マジで?! ちょっと高いけど買うかぁ」
ここでニャイアルたちは一旦サヤと別れる。冒険者ギルドのショップを見ると召喚石と言う名前のアイテムが一万Gで売られていた。
召喚石
連続使用不可
破壊不可
蘇生時間:10時間
説明:1体の仲間にした通常モンスターを仕舞うか召喚が出来る。1度召喚か仕舞うと1分間は使えなくなる。
ニャイアルはこれを買い、一旦ウルルを仕舞った。しかしここで一つの問題に気付く。
「……戦闘中に即座に使えないじゃん」
わざわざ一度メニュー表を開けなくてはいけなくなるノダそれに気づいた彼女は何かないかとショップを見ると、アクセサリー装備のポーチを見つけた。
革のポーチ
防御力:1
効果:小さめの物を何か一つだけ入れることが出来る。召喚石などを入れるのがベストだろう。もしこのポーチが壊れた時に中にアイテムが入っていたら、そのアイテムはアイテム欄に送られる。
アクセサリー枠を一つ潰してしまうが付けるしかない。これも買って装備して中に召喚石を入れ、サヤと合流するために教会へと向かった。
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