Q.正面からバカ正直に真っ直ぐ走ってくる敵は?
ゴブリンたちは一斉に警戒し始める。しかしまだニャイアルの場所は見つけられてなさそうだ。その間に一匹、二匹と処理していく。
流石のゴブリンも、何匹かは気づいたようだ。そのタイミングを狙ってニャイアルは移動を始める。魔力探知での警戒も忘れずにしてポイントへ移動した。
最初に元いた場所へと行ったゴブリン数匹を撃つ。残りのMPはまだ七割残っている、リソースの余裕はあった。ヘッドショットを決めながら弓矢を持っているゴブリンを全て倒すことに成功する。
順調に倒していってはいるが、ここでニャイアルにとって一つ想定外のことが起きた。それは……。
「へぇ……それは流石に不味いかな?!」
狼の上に乗ったゴブリン、ゴブリンライダーが十体出てきたことだ。しかもかなり速く、このままでは袋叩きに合う。早急に対処しなければ不味いだろう。
(シュシュの効果を使うしかないけど……三秒か。使い所ミスったら死ぬ気がする)
周りの通常ゴブリンたちとも勿論戦わなければならない。近くまで来たゴブリン一体の胴体を撃ち抜きながら、少しでも距離を取る。発動条件はほぼ身体を地に付けなければならない。
ゴブリンライダーは狼さえ処理すればただのゴブリンに成り下がる。チャージショットで先ずは一体倒すことにした。その一発は狼の眉間を撃ち抜き、ゴブリンは落とされた衝撃で気絶した。
ゴブリンライダーの弱点は二つ。一つは狼の耐久面は単体と変わらないこと、もう一つは……。
(真っ直ぐ来てくれるならただの的!)
真っ直ぐ馬鹿正直に突撃してくれているおかげで、狙いが付けやすいのだ。とは言ってもそのまま撃ち続けていたら倒されるのはニャイアルの方なので逃走する。
適当に見つけた草むらへ飛び込む。そしてシュシュの効果を発動させる。
(集中しろ僕……)
ニャイアルの姿が文字通り視認しづらくなる。彼女を探すために立ち止まってゴブリンライダーは一秒の間に二体撃ち抜き、背後に転がり込む。
敵は未だ気づいていない。混乱している間にもゴブリンライダーたちは数を減らしていく。半分を切ったところで透明化も切れた。
近くの岩陰に隠れ、急いで突撃してくるゴブリンライダーを二体処理する。集中力が一種のゾーンに入り、少しだけ時間の流れが遅く感じる。
ニャイアルは何も考えず、何も言わずに引き金を引く。その度に敵は倒されていく。筑紫の人生史上一番真面目な顔をしていた。しかしゴブリンライダーの一体の処理が遅れ、噛みついてくる。
回避するのは不可能だと悟った彼女は、被弾覚悟で自身のHPと引き換えに引き金を引いた。
「キォンッ?!」
「ギャッ……」
一人で全てのゴブリンライダーを倒した彼女を怖がり、ゴブリンたちは逃げていく。そこに残っているのは気絶しているゴブリンとニャイアルだけだった。
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