晴翔の鉄槌
魔山は飲めばバフがかかるお茶をフリム以外に入れた。晴翔は一口飲んでから話し始める。
「単刀直入に言うよ、完全には協力出来ない」
「何故でしょうか?」
「僕にも僕の事情があるのさ、別に嫌がらせとかじゃないよ。それに手は抜かない」
「具体的にはどう言う事でしょうか?」
「新作の武器の試し撃ち、幾つか試したらそれで終了だよ」
「その新作の武器ってどのくらい強いの?」
「モノによるけど簡単に言うとニャイアルさんとサヤさんが持ってる武器の数十倍だよ。ここら辺の敵に向かって使えばオーバーキル待ったなしだね」
そう言いながら剣や杖、弓にスナイパーライフル、ロケットランチャーのような武器を出す。どれも今のニャイアル達では買えない物ばかりだ。
「……全部扱えるって事だよね」
「一通りだけどね、スキルを持ってなくても動作さえ覚えてしまえば問題ないさ」
「これなら期待は出来そうですわ」
「そう言ってくれるならありがたいよ」
「ウチならそれくらいの武器だったらニャイアルさん達に格y」
「レベル上限のこと忘れたのか守銭奴」
「しょ、将来の事を考えたら安い投資やからなぁ」
「お前……表出ろ」
こめかみに青筋を浮かべながら襟首を掴んで、何処かへと連れて行く。そして数分後、真っ青になったフリムと少し落ち着いた晴翔が帰ってきた。
「すまない、それとコレを受け取ってくれると嬉しい」
「え、えぇ……」
「う、うん……」
トレード機能で二人にそれぞれ五百万Gと複数の貴重そうなアイテムが渡される。
「このバカ女がまた何かやらかしたらいつでも連絡してくれ、それと渡したアイテムの効果は使うと数秒間姿を消せるから有効に使ってくれ」
「ありがと」
「感謝しますわ」
「お茶も……どうぞ……」
ついでとばかりに魔山からもさっき飲んでいたお茶の葉を渡された。
「色々飛んだけど……まぁこれが今の僕の出来る支援だ。これで大丈夫かい?」
「問題ありませんわ」
「大丈夫」
「なら契約成立だね、ありがとう」
「そう言えばフリムさんに何したの?」
「あー……想像に任せるよ」
「わ、分かった」
「なら一回解散にするよ」
ニャイアル達はその場を後にし、近くのベンチへと座る。そして恋人繋ぎをしながらサヤはメールを確認していた。
「あら、メイド隊の一部が思ったよりも早く着きそうですわ」
「本当?」
「そうですわ、他のメイド達も順調みたいですね」
「なら早く僕たちの準備を終わらせないとね」
「頑張りましょうか」
「はーい」
冒険者ギルドのランクもまだCランクなのだ。ニャイアルたちは少しだけ恋人としての時間を過ごしてから、また依頼を受けに行ったのだった。
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