働き蜂の変異
「《ボムショット》」
「《岩雨の祈り》」
敵は上へと飛び上がり針を向けて急降下を試みる、がそれはニャイアルによって撃ち落とされる。それに加えて落下して来た所にサヤの魔法とウララの追撃が入った。
だが敵はまだオーラを纏ったまま、今度は目が怪しく光る。
「早くここから離れて!」
ニャイアルがそう叫ぶと立っていた場所に黒の槍が突き破ってくる。ギリギリで避けることが出来たが、前までの蜂は魔法は使ってなかった。
「進化している、と言うことでしょうか?」
「多分……」
「ガゥッ……」
「防御力も上がっていますからかなり厄介ですわね……」
「……ウルル、撹拌出来る?」
「ガゥッ!!」
ウルルはスキルを発動させると、ワザと敵の攻撃を誘いつつ動き回る。そしてその隙に狙いを翅へと向ける。
「《ダブルショット》」
「やりましたわ!」
翅を失った敵は急によろめき始める。ウルルも翅を噛み千切って戦いは終わった。
「ふぅ……女王蜂と弱点は一緒で良かったけど……」
「複数匹やって来たら少し厄介ですわね、スキルや魔法を使わなければ怯みそうにありませんし」
「なら蜂との戦闘は避けれるなら避けないと」
「えぇ、分かりましたわ」
蜂の討伐依頼はあるが、一旦避けて他の敵と女王蜂を探すことにした。奥に進んでも相変わらず花は枯れており、空気は重い。
「ん、何か来る」
「ワゥッ」
身構えると花畑の中から戦ったことがある花の化物が現れた。しかし姿は萎えており、枯れかけている。
「こっちもこっちで様子が変……《ブリーズショット》」
「《恵みの……あら?」
「……」
花の化物はたった一発で胴体に穴が開き、ポリゴンの欠片となって消えた。余りの弱さにニャイアルたちは困惑する。
「蜂は強くなり……それ以外の敵は弱くなったのでしょうか……」
「だとしても弱すぎでしょ……」
「ワゥッ……」
「色々おかしなことになっていますわね」
「女王蜂が原因なのは分かりますが……たった二週間程でここまで変わってしまうのは変ですわ」
「とりあえず早く見つけないとね」
「そうですわね」
女王蜂を探し始めてから一時間ほど、遂に討伐隊らしき姿を遠くから発見する。女王蜂は近くに居ないようだ。
「盗み聞きは出来ますか?」
「任せて」
身を隠しながら耳を立てる。
「今何人死んだ」
「八人、今回も失敗か……」
「なぁやっぱりちゃんと準備時間作った方が……」
「バカ言え本部が早く討伐しろと言ってるんだ、全員死ぬまでやるぞ」
「千里眼の奴らも協力してくれたら良いのに」
「烈火の怒りもヤキが回って来た、か……」
「早く倒して下部を上げないと入団許可が取り消しになるから行くしかねえけどさぁ」
「あのニャイなんたらとか言う奴らのせいよ……」
「もう一度行くぞ!!!」
人数は十人前後、それぞれ嘆いたり愚痴を呟いたり急かしていたりしていた。その中にはニャイアルたちが聞き覚えのある単語も混じっている。
「……って言う感じ」
「一気にキナ臭くなりましたわね……」
「また面倒くさいことに……」
「とりあえず気づかれないように着いて行きましょうか」
「だね」
「ワゥッ」
ニャイアルたちは警戒しつつ、討伐隊の後を追うのだった。
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