貫通特化
ウルルとの屋台巡りをして第五の街へと無事に帰還したニャイアルたちは、目星い装備が無いか見回っている。プレイヤーの数もそれなりに居るので何かは見つかりそうだ。
特にニャイアルのもう片方のメインウェポンはMPの消費が激しい分使うことが少ないので変えても良いのだ。
そうしているといつも通り暇そうにしている晴翔の出店を見つけたのだ。
「晴翔さん、お元気でしでしょうか?」
「こんにちは」
「こんにちは……暇すぎて死にそうだったよ。何か見てく?」
「僕の装備をそろそろ更新したいんだけど……」
「ふむ……どんなのが欲しいんだい? ニャイアルさん達は常連さんだから色々出せるよ」
「属性攻撃は前に買ったから……貫通特化、とか? 燃費は普通の奴で」
「燃費は普通で貫通特化ね。これじゃ無いしこれでもないから……あった。少し値段は張るけど良い?」
「大丈夫」
晴翔が出したスナイパーライフルは黒のシンプルな見た目に白で銃口の方向に口を開けた蛇が描かれていた。そしてニャイアルは所持金の確認と性能を見る。
PNT-005
攻撃力:200〜300
効果:装甲貫通力30%増加、与ダメージ5%増加。
「スナイパーライフルはそもそも貫通しやすい武器だけどコレは更に特化させた武器だね。射程は大体三百から四百程度。攻撃力もあるけど相性が悪くない限り属性攻撃の方が強いから気を付けてね。代金は二十万、払える?」
「も、問題ない」
「毎度あり」
ごっそり減った懐に精神的なダメージを受けたニャイアルは若干肩を落とした。しばらくは目標の為にも金策をしなければならないだろう。
「ありがと、またお金が貯まったら来るよ」
「今後ともご贔屓に」
その場を後にしたニャイアルたちは冒険者ギルドへと向かった。
「今ってランクいくつだっけ?」
「今の冒険者ランクはCですわ、色々頑張らなければいけませんね」
「はぁ……まだ女王蜂も生きてるみたいだしね。それの再戦もしないと」
「女王蜂は私たちだけでは厳しいかもしれませんわね。一先ず今は気を付けつつ狩りをしましょうか」
「はーい」
周りのプレイヤーの話を聞いていると、女王蜂は未だ健在で凶暴性を増していると嘆いていた。彼女たちは警戒しつつ花畑エリアへと足を踏み入れる。
「《ウェポンチェンジ》」
「試し撃ちにちょうど良さそうな的が来ましたわね」
「ワゥッ!」
前からは肥大化しか花の化物、受けた依頼の一つの討伐対象であるフラワーマンだ。敵も気づいたのかツタを震わせて威嚇をする。
「どんな感じになるかな? 《チャージショット》」
「私とウルルは見守りましょうか」
フラワーマンは鈍い身体を必死に動かしながらニャイアルへと接近する。敵はツタを振り下ろそうとした瞬間に、彼女の溜め時間は終わる。
「ん、上手いこといったね」
「前回は分かりませんでしたが、この敵の弱点は首元ですわ」
「ずっとツタがそこにだけ最低でも数本はあったからね、狙ってみたら弱点だった」
「ふふ、この調子でどんどん行きましょうか」
フラワーマンを一発で倒したニャイアルたちは奥に行きすぎないように次の敵を探しに向かうのだった。
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