修学旅行とお礼
筑紫はログアウトした後、次の日の学校に備えて休む。そして学校に向かい、ホームルームの時間になると担任から完全に忘れていたことを聞かされる。
「そろそろ北海道へと向かう修学旅行なので計画的な準備とそれに伴う授業を……」
「(あ、完全に忘れてた……)」
「(そう言えばそうですわね)」
ゲーム内で様々な事件や出来事があったせいで紗夜すらそのことざ頭から抜け落ちていた。彼女たちは席こそ離れているものの同じクラスなので学校行事は二人でいる事が多いのだ。
その日の内に自由行動やイベントでの班決め、簡単な日程説明が行われた。
「ふふ、宿泊する時のホテルは全て二人部屋を取れて良かったですわね」
「気まずいから良いけど寝顔取りすぎないでね?」
「まるで少しなら撮って良いと言うことでしょうか?」
「だってダメって言っても止まらないじゃん……」
「今回は素直に引き下がろうとしたのですが……許可が出ましたので有り難く撮らせて頂きますわ」
「……ズルい」
「そこで反論しないが可愛いですわね」
「うぅ……」
紗夜はとても良い笑顔になりながら筑紫の頭を撫で、その日の学校は終わった。帰宅した筑紫たちは早速ログインした。
「こんにちは!」
「やー子さんこんにちは」
「こんにちは、あれから大丈夫でしたか?」
「はい! 赤字も何とかなりそうです! あ、お客さんが来たので失礼しますね! それと後で昨日のお礼を渡しておきますので!」
「お礼は別n」
「渡しておきますので!!」
「う、うん」
「貰えるものは素直に貰って損はないですわ」
ニャイアルがお礼を拒否しようとしたが、やー子に押し切られた。彼女が戻ってくる前に、ウルルを召喚しておく。
「ワゥッ!」
「ウルル、申し訳ありませんわ」
「僕も無理矢理庇わせてごめんね……」
「ワゥッ! ワゥッワゥッ!!」
「ウルルは優しいですわね」
「後で屋台一緒に行こっか」
「ワゥッ!!!」
ウルルは元気よく鳴きながら、嬉しそうな顔をしていた。そうしているとやー子がニャイアルたちの元へと帰って来る。
「えーと流石にお金は余裕がないので払えないけど……昨日の余ったアイテムとニャイアルさんにこれを!」
「ん? これは……装備?」
「はい! 折角なので今の装備に合う物を作りました!」
やー子から渡されたのはやー子が使わなかったマラソン薬や回復薬と煙幕弾などと、黒色の腰に付ける蜘蛛の巣の模様がある小さめのバッグだった。
黒蜘蛛のウェストポーチ
防御力:3
効果:小さめの物を三つまで収納出来る。収納枠を一つ無くすことで1日に3回、任意でMPを5消費し、《スパイダーネット》と言う敵を一体拘束する魔法が使える。
ニャイアルはまだ一つしか物が入らない革のポーチしか持っていないので即座に装備し、スパイダーネットの方も有効化
「やー子さんありがと!」
「いえいえ! 今回礼を言わなきゃいけないのは私の方だから!」
「感謝しますわ、ではそろそろ行きましょうか」
「お気を付けてー!」
「ん、やー子さんもまた変なのに絡まらないようにしてね?」
「また力になれる時があれば向かいますわ」
「はい!!!」
やー子に見送られながらニャイアルたちは外へと出て、約束通り屋台へと向かうのだった。
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