蹂躙完了
ノーデルが到着してからは一方的な蹂躙劇が始まっていた。前線プレイヤーと言っても彼らは寄生をし、援助を貰って来ていた。
自力で辿り着いたのが彼らの中だと二人しかおらず、強さは天と地ほど離れていた。
「次はアタシが鬼か? ぁあ?」
「ガフッ……」
「早く逃げないと殺されてしまいますよ……!」
「それくらい分かってる!! クソッ」
多少の距離があっても一瞬で詰めて一人づつ潰して行く。恐らく闘技場で戦う時よりも余裕があるのか少し笑っていた。
「蹂躙ですわ」
「だね。あ、また一人倒れた」
「流石です! ノーデルさん頑張って!」
一方ニャイアルたちとやー子は邪魔にならないように隅に移動していた。ノーデルの表情は文字通り鬼となっており、非常に怖い。
「今のうちに逃げられればまだ」
「おいおい、逃さないぞ。《強投擲》」
「はやっ」
やー子に脅迫をしていたプレイヤーは隙を見て逃げ出そうたしたが、鉄球を投げられ失敗に終わる。もう一人の声を荒げている方も何も出来ずに追い詰められていた。
「何で俺らばっかに……」
「運が悪かった、それだけだろ?」
「本部に必ず連絡するぞ、良いのか?!」
「好きにしろ、《ハイスタンプ》」
最後の一人を潰すと、ニャイアルたちに近づいて来た。
「大丈夫か?」
「はい! ギリギリなんとかなりました!」
「僕たちもなんとか生きて帰れたね」
「ですわね、出来ればしばらくはこの様なことはしたく無いですわ……」
「暴れたかったらアタシを相手にして良いんだぞ? お前らならいつでも相手になってやる」
「力強いっ!」
「ふふ、ニャイアルちゃんは人気者ですわね。私は断りさせて頂きます」
ノーデルはニャイアルを無理矢理抱き寄せて頭を撫でていた。だが力加減を若干誤ったのかHPが一割減っていた。
「すまないな、どうしても撫でたくなってしまって……」
「死ぬかと思った……ノーデルさんと戦うとしても僕たちが前線に辿り着いてからだよ」
「なら楽しみにしておく、お前らならあんな連中よりも強くなれるぞ」
「あはは……」
「別の敵が寄ってくる前に早く帰りましょう! 万が一だけど街にスポーン地点を移している可能性もあります!」
「そうだな」
そして街へと戻り街を見る。戻ってくるまではそれなりの時間はあったがやー子たちを狙っていたプレイヤーの姿は無くなっていた。
「ふぅ……良かったぁ」
「ウルルに復活したらちゃんとお礼をしませんといけませんわ」
「どうやら帰ったようだな、それとやー子はこれを受け取ってくれ」
「はい?」
ノーデルがトレード機能で何かを渡すとやー子は驚いた表情をしていた。
「こんなに沢山……?!」
「アタシが持っていても腐るだけだ、ならやー子に使ってもらった方が良いだろう」
「百万G……大切に使います!」
「ま、さっき倒した連中の金も混ざってる。自由に使ってくれ」
やー子たちがそんなやり取りをしていると、ニャイアルは思い出したかのように時計を見る。
「やっば……そろそろ落ちないと」
「あら、もうそんな時間でしょうか? なら私も現実に戻らないといけませんわね」
ニャイアルたちはやー子とノーデルに挨拶と礼をしてからログアウトしたのだった。
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