キングスケルトン戦 その3
ニャイアルたちとスケルトンキングは一斉に動き出しサヤはニャイアルに、ウルルはシルクロードの前に出る。
魔法攻撃のため、あの斧よりはウルル以外は耐えられるのだ。サヤは純粋な魔法職のためニャイアルの補助に行ったのである。
「魔法が邪魔……」
「私の魔法も打ち消されてしまいますわ……」
「どうにかして狙いをずらさないと行けませんね」
「……ワゥッ!」
そう話すとウルルが少し間を開けた後に元気よく鳴く。そうするとウルルはスキルを発動させながら勢いよく壁を上り、ボスの近くの背後へと駆ける。
スケルトンキングもそれに釣られて動くが、背後に回わられ、ニャイアルたちに隙だらけの背中を見せた。ヘイトは完全にウルルへと向いており、攻撃は容易である。
「今の内、ですわね。《岩雨の祈り》」
「《ファイアーボール》《エンチャントアース》……敏捷値特化は恐ろしいですね」
「僕が育てたからね、《チャージショット》」
それぞれ強力な攻撃を当てながら、ウルルの様子を確認する。
「ガゥッガォッ!」
ある程度は避けられているが、やはり何回か直撃とはいかないもののダメージを負い始めていた。スケルトンキングの魔法の密度は高いので、ウルル一匹で相手にするには辛い。
HPが危険域になる前にニャイアルは撤退の指示を出して、回復薬を準備した。だがここで二回目の全体攻撃がやって来る。
「おっとっと……後耐え切れて一回だっけ?」
「そうです、出来る限り急ぎましょう」
また身を隠す場所が壊され、かなり減ってしまった。彼女たちの言う通り後一回が限界だろう。そしてスケルトンキングは杖を地面に刺す。
そして杖の先端が黒く光ったと思うと、杖を中心として地面を這うように黒い電気を纏った青い炎が大量に放たれた。
追尾はしていないが、球の大きさと速度はそれなりにあるのでやはりゆっくりと攻撃している暇は無い。むしろ誘導が効かないので更に忙しくなった。
逆にウルルは壁を走っている限り安全になった。魔法は壁までは来ていないため、突進などでダメージを与え続けることが出来る。
「前が見えないけど、《ブリーズショット》。うん、当たるね」
「私は回避に徹しますわ……」
「このくらいの密度なら大丈夫です」
ニャイアルとシルクロードも、通常攻撃や溜め時間が入らない攻撃をしてダメージを重ねて行く。サヤは一番短い魔法でも回避がギリギリなため、回避に専念する。
しかし少し経った頃にニャイアルは一つの音を前方から聞き取る。元々地面を這って来る魔法もバチバチと電気の音を鳴らしていたが、何か違うのだ。
「ん? って危なっ?!」
「どうしましたか?!」
「大丈夫でしょうか?!」
「僕の心配より二人とも前から別の魔法来てる!」
ニャイアルが間一髪で避けたのは雷の矢、サンダーアローだ。だがこれも黒く染まっており、サイズも大きくなっている。
これがサヤとシルクロードにも迫っている音を聞き取ったのだ。ニャイアルは即座にそれを言って警告する。
「ならば……《マジックスラッシュ》」
「ふぅ……ありがとうございます」
サヤは横に飛んで、シルクロードはタイミングを見計らってジャストタイミングで切り裂いた。この攻撃にも気をつけなければいけないことを確認した彼女たちはまた体制を立て直すのだった。
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